アビスパ福岡 VS モンテディオ山形 (レベスタ)

2008年6月12日 12:22

2008-17 アビスパ福岡 VS モンテディオ山形 (レベスタ)

前節、鳥栖との対戦で山形の戦いをテレビで見ていたのですが、テレビで見る山形と現場で見る山形は驚くほどにまったく違いました。前回のエントリーでチーム力としては鳥栖とそんなに変わらないのではという感想がいとも簡単に覆されるほどの洗練されたチームワークと組織力。小林監督はわずか半年にしてJ1昇格を争えるほどのチームに仕立てあげてきましたね。個々の動きで戦いを挑んだ福岡はいとも簡単にいなされてしまいました。

山形の試合はとにかく堅いですね。小林さんが大分を率いていた時の堅さを彷彿とさせる試合内容でした。山形の選手はダイアゴナルランのように自分のポジションを大きく離れてスペースを作る動きや、流れの中での大胆なポジションチェンジなど、チームとしてポジションを崩すような横の動きはほとんどありませんでした。もちろん、縦にスペースを見つければサイドバックの選手やハーフは動き出しが早く上がっていくのですが、バランスが崩れるようなことはありません。しかしながら、試合が止まった時には宮沢が前線に入って北村とポジションチェンジを行うなど、リスクを最小限にしながらも相手の守備とマンマーク陣形を崩そうとする形で、自分たちができることを場面に応じてしっかりやるというサッカーでしたね。

この辺りが堅いと思わせる部分でありましたし、更に、攻撃の人数も前半はほぼ4人で攻め上がっていたのでカウンターに対するリスクマネージメントが自ずとできている状態でありました。鳥栖のようにボランチやサイドバックが縦横無尽に飛び出してくる組織ですと攻撃がはまったときには素晴らしい連動を見せますが、その分相手にスペースを与えてカバーリングが遅れればカウンターの餌食となることもあります。どちらがいいサッカーかというと、そのプレーの質や、相手に対する優位性などもありましてなかなか結論はでないでしょうが、とにかく山形の堅実さはよく目を引きました。

山形はこのように、持ち場を大きく離れる事がないので、高い位置でボールを奪われた時にもすぐに守備組織を組む事ができます。そこでも無意味につっかけることなく、味方が網を貼れる状態になってじわじわと追い込んでいくような形で守備を行っていました。福岡のボールを持っているサイドの選手が窮屈になり、どこにパスを出してもとられるんじゃないかという雰囲気を作っていましたね。決してそこで抜かれてもかまわないという形のプレスでボールを強引に奪いにいくわけでもなく、かといって間合いを開けすぎてパスコースを作ってしまうわけでもなく、まさに網をしかけておくという形のコンパクトで素晴らしい守備組織だったと感じました。

福岡はこの守備組織に対してかなり手をこまねいていたと思います。山形が攻撃に手数をかけなかったこともあり、さしたるピンチもなかったのですが、すぐに守備組織を引いてくるのでボールの出しどころに窮々としておりましたね。大久保も抜けたり引いたりと工夫は見せていたのですが、レオナルドを制してまでボールを納めることはできませんでした。サイドをスピードのある動きで抜けたところにパスが出たときにはチャンスを作っておりましたが、その際にも逆サイドの山形のサイドバックの絞り方がうまく、中央をぎりぎりで防いでいましたね。

山形の攻撃も福岡と同様に、トップにボールが納まりませんでした。長谷川や北村(ポジションチェンジした際には宮沢)にはマンマークがついているので、福岡のディフェンスとして楔のボールが出された時に狙いやすいというのがあったと思います。ですので長谷川に対するボールはほとんどが事前につぶされておりました。ただ、これまでの福岡のマンマークとちょっと違って、中盤の選手には明確にマークをつけるという形ではやっていなかったように思えます。ですので、山形の中盤のフリーの選手がちらほらとでてきたときに、彼らにボールが出た時の寄せが一歩遅れる面がでておりました。よって、思ったよりも宮沢や財前が完全にフリーで待ち構えていたときもありましたが、そのときに山形の選手が彼らにボールをだす事ができずに事なきを得たという場面もありました。

という形で、長谷川がディフェンスを引きつけ、サイドの選手は中央にしぼらずに外に張り付いていることが多かったので、中盤のいわゆるバイタルエリアと言われる部分にはスペースがかなりあったのですが、前半はなかなかそこを使う事ができませんでした。ところが、後半に入るとボランチの選手がそのエリアに侵入してくる事になります。長谷川が高い位置でディフェンスを引きつけている状態で、ボールがサイドを展開するとディフェンスの人数が人にいるところに偏ってくるのでどうしてもバイタルエリアを開けてしまいます。そこにボランチの秋葉や佐藤が入ってきてからのミドルシュートという選択肢が増えてきたので福岡が後手に回らざるを得なくなりました。後半の山形は、前半に比べて単純に攻撃の人数を増やしてきたのですが、その波に押し込まれてしまうがごとく、福岡は先制、追加点と次々に点数を許してしまいました。特に、両ボランチの攻撃への参加は福岡のラインを押し込むポイントになったと思います。

3点目ですが、福岡がクロスの時からの失点に抱えている問題として、タレイがサイドでマークについたとき簡単にボールを上げさせてしまうという悪い面があります。彼はスペースのカバーリングなどには優れていますが、1VS1で対峙すると守備力の弱さがでてしまいますね。ただ、中央の守りを厚くできるはずですのでクロスがあがってきたときのマネージメントの方に問題があるのかもしれません。また、セットプレイでの失点(失点と思われても仕方がないシュート)を喫するのもタレイのエリアが多いですね。前節の中山や、今節のレオナルドの惜しいシュートもタレイがゾーンを請け負っているエリアであります。そのあたりが今後福岡と対戦する相手としてついてくるポイントとなりそうな気がします。ゾーンで守っていると、相手は勢いをつけてジャンプにきますから待ち構えてからジャンプする状態よりもスタートの段階で分が悪いですよね。

後半終了間際に猛攻を見せた福岡ですが、シュートミスなどもありまして完封負けを喫してしまいました。それにしても、後半のフォワード投入作戦でゴールが生まれるのを見たことがないですね。黒部なんかはいたのかいなかったのかすら見分けがつかないほど消えていました。また、田中もフォワードの位置に上がってからは、思うようにボールが回ってこないのもありましたが、目立つプレーができておりませんでしたね。もっとボールに絡んでゲームメイクをする動きをしないと、サイドのスペースを使うときだけしか生きない状態だと福岡の攻撃はちょっと苦しいですね。その辺りが久藤を自由にして攻撃に特化した動きをさせた時との違いが顕著でありますね。

さて、山形には昨年まで福岡に在籍していた長谷川、宮崎といった選手たちが試合に出場して見事なお礼まいりを見せてくれました。長谷川も宮崎は福岡時代では見せたことのないような素晴らしい落ち着きからのゴールでしたね(笑)それにしても九州の人間は関わってくれた人間に対してはすごく温かいですね。長谷川、宮崎のスタメン紹介の時には敵でありながら拍手がありましたし、3点目を決めたのが宮崎というアナウンスが流れると、試合中にも関わらず拍手が沸き起こりました。宮崎への拍手は大量失点ということで半ば自虐的な拍手でもありましたがね(笑)

同じく昨年まで福岡に在籍していた小林監督はインタビューで「在籍していたのは個人的な事だから」と多くは語りませんでしたが、内心はかなり溜飲が下がったのではないでしょうか。福岡は、毎年のようにこうやって貴重な人材を流出させていってますよね。それでも、フロント陣にとっては思い知らされるような事でもないのでしょう。だって連敗後にたった1勝しただけで「我々の判断は間違っていなかった」と言い切れる方々ですからね。


 

サガン鳥栖 VS  アビスパ福岡 (ベアスタ)

2008年6月 2日 15:10

2008-15  サガン鳥栖U-13 VS アビスパ福岡U-13
2008-16  サガン鳥栖 VS アビスパ福岡

第1クールは、思い描いていた勝ち点を得られないばかりか、将来のためにという経営指針や3試合の結果をみて判断するという約束が雲散霧消してしまい、現有戦力、現体制のまま今年を戦わざるを得なくなってしまった福岡と、第1クールはなかなかの好位置につけ、昇格へ向けてチーム一丸となって戦う鳥栖。このような状態で行われた2008年度九州ダービー第2戦でしたが、気迫に勝る福岡の完勝で幕を閉じました。

試合ですが、ここであえて筆者の直観的な感想から言わせてもらいますと、この試合の鳥栖の4-4-2のボックス戦術が福岡のマンマーク戦術に段々と手詰まりを起こしていき、なす術がなく打ちひしがれる様は、まるで前節、仙台が福岡に敗れた時のVTRを見るかのようでした。試合が進むにつれて自分たちがやろうとすることができず、チャンスもできず、点差もつまらず、過ぎていくのは時間のみ。手詰まりが段々と焦りに変わり、そしてやりたいことの半分もできぬままに試合が終わってしまった感があります。

岸野監督もインタビューなどで、福岡の出方は分かっていたし、福岡のやり方も分かっていた、ただ、試合をこなしていく上での修正が効かなかったし、先に点を取られて落ち着きがなくなっていたとおっしゃっています。ですので、マークにつかれることも分かっていたのでしょうが、そのマンマーク戦術に対抗するためには、相手と1VS1になる事が多いのでそこで恐れずに仕掛けていく勇気と、目の前の相手を打ち破って突破する力が大事なんですよね。実際、谷口の同点ゴールも義希がボールを持ってドリブルでしかけていたからこそであります。タレイにひきずられながらもドリブルで前を向いて攻めたからこそ、谷口についていた布部がつり出されることになり、マークが一瞬空いた隙を狙っての素晴らしいパスでした。

この試合では、気持ちの部分において負けていたという指摘もあります。試合において「気持ち」というのは数値化もできず、理論としても成り立たないので厳密にそれが理由になるかと言われると証明することはできません。ただ、勝とうとする気迫、鼓舞する勇気があればドリブルでのしかけや、シュートブロックへの体の投げ出し、カウンターの時の攻守の切り替えなど、ひとつひとつのさぼらない動きにつながり、見ている人は敏感に気づきますよね。勝利へとつながる次の動きに対して躊躇しない、疲れを感じさせないプレーというのが精神面によって影響を及ぼし、そこが「気持ち」の違いと表現できるとすれば、福岡の選手たちの方が鳥栖の選手たちよりも完全にうわまっていましたね。福岡の前線からの激しいプレスに鳥栖の選手たちが完全に圧倒されていました。

ただ、鳥栖の選手たちは何かをやろうとしてもがく姿は十分に見てとれました。各々がスペースを作ろうとして縦横無尽に走り回ったり、ポジションを変えたりとして、また、その成果が現れる兆しもできていました。ところが、皮肉にもあまりにも動きすぎた結果、パスを出したいスペースに選手が入っていなかったり、展開したいサイドに選手がいなかったり、本来の役割を担うべき選手がいないという事が多く見受けられました。実際、動き回る事によって、福岡のディフェンスラインの前の大きなスペースを空けることもありましたが、スペースを作ることが最終目的となってしまい、そこきっかけとして使う事ができなかったのが残念です。特に、今日の高地はいつもよりもボールに触る回数が少なかったですし、シュートに直結するような仕事がまったくできていませんでしたね。

だからこそ、仙台戦の結果でも書いていましたが、藤田ワントップの高地トップ下など、彼らを中央に固定しつつも自由にさせることによって、福岡のマークのブレを生み出し(ワントップだとストッパーとスイーパーの動きを中盤のフォローへと柔軟に変えなければいけない)、そして周りの動きを引き出す(彼らがいる場所が分かっていたならば"壁"として使う事によってワンツーなどに利用する)など、手詰まりを起こしていたからこそ、フォーメーションを変えることによって打開を図ると言ったことも戦術の一つの選択肢としてなかったかなとは思いました。前半から両サイドの裏へロングボールを再三放って布部の疲弊を誘うといった泥臭いような事もやってみたかったですね。

谷田に関してはちょっと不運でしたね。いい位置にいるにも関わらずなかなかボールがそこに出てきませんでした。岸野監督からは交代後に、彼自身の前半の動きと後半の動きの違いや彼が行うべきプレーについて指導を受けていたみたいですが、彼がフリーでいた時に彼を使ってあげるという周りのサポートも必要だったかのように思えます。

筆者的に鳥栖の弱点を改めて感じてしまったのは、柴小屋、飯尾の位置からのロングフィードですね。藤田と谷口が中央でセンターバックを引きつけている状態で、レオナルド、高地が低い位置にいると、福岡のディフェンスラインのサイドのスペースを空きますが、そこへサイドバックである谷田、日高、ボランチの義希、衛藤などがいい走りをしても、残念ながら彼らの足元にボールがでてきませんでした。その他にも藤田や谷口がサイドを狙ったボールがそのまま頭を越えてでてしまったりとかもありましたね。ディフェンスラインからのフィードは通ればビッグチャンスにつながる可能性を秘めています。柴小屋と飯尾のミスキックは非常に痛かったですね。F・デブールやミハイロビッチがいたら鳥栖は3点くらい取れていたかもしれません(笑)

守備に関しては、失点はすべて相手をフリーにしたことが一番の原因でした。PKを奪った久永もあのゴール前の深い位置でフリーでボールを受けて前を向く事ができましたし、長野のシュートも絶好のシュートポジションでボールを受け、衛藤が釣られてしまうくらいターンがうまかった事もありますが、前を向いてシュートを打つ余裕を作らせてしまいました。マンマークの守備で来る福岡に対して、鳥栖は人に着くことができずに失点をくらってしまうという、ホントにこの試合は皮肉のオンパレードのようでした。

また、赤星は前回の無念さを晴らす事ができませんでしたね、残念です。彼がとられた3点に関しては、すべてチーム全体のミスというのもあるでしょうが、前回の汚名返上のためにも、なんとかどれか1点くらいは止めて欲しかったですね。

さて、2連勝をあげた福岡ですが、全体が与えられたタスクを非常に誠実にこなし、全体の意志統一と気迫のこもったプレーが勝利へと結びつきましたね。先に点を取って追いつかれても、慌てることなく戦える余裕がありました。それも、各々がタスクを与えられているという試合に対する安心感があるからこそだと思います。点を取られても同点まででしたので、当初の予定であるマンマークでの守りを基本としながら隙を見て攻撃をしかけるという軸がぶれていませんでした。そういう意味からいくと、谷口のヘディングをクリアした布部のプレーはこの試合での大きなポイントだったかもしれませんね。

福岡がこの配置にして、攻撃、守備のバランス面がよくなったことも確かなのですが、筆者的には、中盤から下が厚くなったことによって、久藤が攻撃に特化した動きができるようになった事が大きいと思います。彼はボールを持てて的確なパスを送ることができますので、福岡の現在のカウンターへの切り替えの遅さを補う動きができていると思います。大久保と久藤は足元が強く、そして柔らかく、彼らが攻撃のためをつくることが実際に点につながっていますよね。

さらに、久藤とタレイを底に並べ、サイドバックを上がらせる事によって攻撃を作り出していた頃は、タレイの動きに制限ができていました。ところが、タレイも、中盤から下が厚くなって味方と相手の動きに対して余計な気を使う必要がなくなり、比較的中盤におけるフリーマン的な役割を持たさるようになりました。自由を得た事によって彼が元から持っている能力を発揮することができ始めましたね。ちょうど、昨年、シーズン途中で加入したての頃では能力の片鱗は見せてもいまいちフィット感のなかったセレッソのジェルマーノが、昨年の終盤頃にフィットして大車輪の活躍を見せだした頃に似ております。チームというのは恐ろしいもので、ひとつの歯車がかみ合いだしますと、それが全体に波及して好循環を生みますね。

ただ、福岡のこのマンマーク戦術はあくまでリアクションサッカーなので、継続性や、昇格という意味で行くとこのままではつらいかなとは感じます。いまのJ2では攻撃的であれ、守備的であれ、自らが動きのアクションをとって主導権を握るサッカーができないと4位までは勝ちあがっても3位になるには一つの壁があるのではないかと。

マンマークの場合は、相手のポジションやフォーメーションがはまると、この仙台や鳥栖相手のように非常にいい戦いができるのですが、広島戦がいい例でありますが、ワントップとツーシャドウのような、相手と自陣のポジションとマンマークがはまらない相手では対処に戸惑いが見られました。また、先に点を取られてしまうと攻撃と守備のバランスが崩れることはいままでの福岡を見ると火を見るより明らかです。マンマークする相手チームがコンパクトでなく、間延びして前線への放り込みサッカーになりますと、自らまでも間延びして打ち合いになるという欠点もあります。このように、マンマークをしいて個人の力で打開するという点は、福岡には個人能力の高い選手がいるので疑う余地はないのですが、そこにはまらなかった時にもどのように戦っていくのかという解決策を選手に提示しておかないと、勝ち点の取得にブレがでてくるのではないかと思います。

また、試合とは関係ないところになりますが、、経営面に関しては、逆に勝つことが最大のまやかしでもあります。勝ってしまえば、今回、一番大きな問題となっている経営の問題や、体制の問題などがすべてぼやけてしまいます。今後、全勝してしまえばその問題が再発することもないのかもしれませんが、負けが混んでしまったらまたこの問題が噴出してきます。さて、その時にいまの経営陣はどのような回答を準備する事ができるのか。

リトバルスキーの監督延長による試合の勝敗と、リトバルスキーの監督延長による経営・体制の問題は分けて考えないといけないところです。大袈裟に言えば、試合の勝敗が問題になるのはチームが存続しているからこそでありまして、経営体制と経営基盤がこのまま揺らついている状態では、チームそのものの存続すら危うくなるかもしれません。再び連敗が続けば同じような問題で再び紛糾することは必至です。サッカーチームの運営というのは試合の勝敗で済まされることではなく、長期的視野で見た時にどのようなチーム作りをしていくかという点の方が大事なのですが、いまひとつ、福岡の現体制からでは伝わってくるものがありませんよね。

さて、試合の話に戻りますが、最後、福岡を完膚無きまでに叩き潰したこの試合での広島との違いを上げるとすれば、鳥栖はワン、ツーまではできていると思います。藤田や谷口がマークを外して引いてきて、そのタイミングで中盤がパスを通して彼らがダイレクトで落し、再び中盤の選手がボールを受けて相手を崩すきっかけを作る。ただ、この先がシュートなのか、新たなサイドへの展開なのか、ラストパスなのかという部分の判断と周りのサポート、そして正確なプレーという点が広島よりも劣っているところであり、湘南、仙台、福岡に勝てない部分だと思います。広島のワン、ツー、スリーが鳥栖はまだ、ワン、ツーで終わってしまっています。

そういう意味から行くと、決して負け惜しみではないですが、鳥栖がやろうとしているサッカーには今後の大きな成長の余地を感じましたし、福岡はこのサッカーを続けることによっても、今後の成長の余地の少なさというのを感じました。もちろん、単純に目の前のダービーに勝利し、試合で勝ち点を得ることが重要であり、実際に所属している選手の力量を鑑みると、互いにいまの状態にあったサッカーをやっているというのも感じました。

...と、長々と振り返ってみたのですが、いろんなシーンを思い浮かべれば浮かべるほど、無念さの募る九州ダービーでした。

 

アビスパ福岡 VS ベガルタ仙台 (レベスタ)

2008年5月27日 18:39

2008-14 アビスパ福岡 VS ベガルタ仙台

前日に行われたサポーターとのカンファレンスでより一層の不信感を募らせる事になってしまった福岡の経営陣。アビスパのサポーターとしては消極的続投でとても現体制を心から支援をしようと思えない状況とは言え、目の前の試合を放棄するわけにはいきませんので、この体制で残りのJ2リーグを戦っていくチームを応援しなければなりません。

試合開始前から、カンファレンスへの意思表示ともいえる応援の自粛。はじめは、しんと静まり帰ったスタジアムだったのですが、セットプレイのチャンスで自然と拍手が沸き起こり、そして歓声、悲鳴、安堵、さまざまな観客の生の声に応えるがごとく、福岡の選手たちが躍動し仙台から久しぶりの勝ち点3を得ることができました。このスタジアムの雰囲気というのがまさにサポーターの後押しであり、サッカーの応援というのを根本的に見直さなければならないのではとさえ思えるような雰囲気でした。

さて、試合なのですが、ほぼ完璧な形での勝利だったので福岡の攻撃、守備がよかったのは言うまでもありません。しかしながら、そのやり方としましては広島戦で行ったマンツーマンディフェンスとほぼ変わりがなく、相手が仙台であり、しかもツートップにトップ下を明確に置かないボックス型、という福岡が守ろうとしている陣形に相手がハマってしまった感があります。

筆者としては、たとえば早い段階から中島が1列下がって平瀬のワントップにするなり、関口、リャンヨンギのどちらかが上がってスリートップ気味の戦いにするなりなどと、フォーメーションを変えることによって福岡の守らせ方を変えてくると、相手が付け焼刃の守備なのでおもしろいかなとは思っていたのですが、手倉森監督の考えとしては、練習でやっていない(と思われる)戦術を突然試合で試すのは勇気がいるという判断だったのでしょう。田村を中原に代えて来たときも、大きく攻撃の方に手数をかけてポジションがぶれるような形ではありませんでした。あえて言うならば3-5-2の形で、トップの選手の人数を変えていなかったので、そのままストッパーが一人に応対するのみでよく、浮いている布部とルダンのプレーがそのまま生きていましたね。

福岡の守備は明確で平瀬、中島のツートップをストッパーの二人がマンマークでついて、スペースに入って来たときには山形、布部が前後からカバーリングに入る。サイドにいる関口、リャンヨンギにはサイドの選手がきっちりとマーキングを行い、もしもマークの選手を放す時には明確に受け渡しを行う。こういう形の守りで仙台相手に通用したポイントとしては、ボランチの永井や千葉がフリーランニングで飛び出すタイプではなく、攻撃に携わる時はボールに絡みながら上がっていくというプレイスタイルにあると思います。ボランチが攻撃に参加してきた場合は、ボールに対する守備になりますのでマークの対応がしやすかったですね。それでも、永井のドリブルを止め切れずにPKを与えてしまったときにはこれまで同様の負けパターン(失点 → 守備の軸がぶれる → 更なる失点)という流れかとは思いましたが、神山がまさに神がかりなセーブで福岡を窮地から救いました。こればっかりは監督はどうしようもないですからね(笑)

気になると言えば、ルダンが入ってきたときに長野が司令官に対して大きく手を広げて「どうするんだ」みたいなポーズをしたことですかね。せっかくうまく行っていた守備を壊されたくないという意思表示だったように思えますが、布部を1列上げ、ルダンをスイーパーに置くというのは、やり方を変えずに選手に配置で対応するという非常に理にかなった交代だったと思えます。常日頃からこのような采配だったら文句もでないのでしょうけど(笑)

攻撃ですが、大久保のワントップということで、早めの攻撃に移るためにはボールを足元に納める形にしたかったところでしょうが、どうしても高いボールになってしまってきれいなポストプレイというのは見られませんでした。しかしながら、久藤、タレイ、鈴木という技術力の高い選手が中盤に控えているので速攻をしかけずとも、遅攻のパス回しで十分形にはなっていました。

中でも、鈴木惇のスペースに入っていく動きと正確なパス、そして久藤の落ち着いたボールさばきと前へのパスは効果的で、仙台が隙を見せた瞬間を見逃していませんでしたね。両サイドの田中、中島は外に張り付きすぎな状態であっても長いパスがばしばし通ってくるので走りがいもあったでしょう。こういう息の合ったプレイがやがてチームの信頼関係向上となり、互いに相乗効果を生み出しますよね。大久保があげた2点目も久藤からの素早い前方へのパスが非常に見事でした。もちろん、決めた大久保も前へと向かう突破の姿勢が生んだゴールですね。

1点目をあげた田中はサイドを深く切り込むところまではいいのですが、クロスに関しては福岡サポーターの溜息を誘う事が多かったですね。彼が目立つのは中にしぼってから左足でのシュートが多く、それはそれでもいいのですが、やはり彼の仕事はどちらかと言えばアシストを決める事がチームのためだとは思います。クロスの精度があがらないともう一段階上の選手にはなれないでしょう。

しかし、それにしてもやはり福岡は技術力の高い選手が多いですね。鳥栖の場合はボールを持ってプレッシャーがかかるとバタバタしてしまう事が多いのですが、福岡は個人能力が高いのでそういった中途半端な逃げのキックでボールを失う事は鳥栖よりも少ないですよね。仙台のプレスと個人能力にきりきり舞いだった鳥栖を考えるとやはり潜在能力の高いチームではありますよね。広島のペトロヴィッチ監督が第一クールが終わると「福岡も怖い」みたいな事を言っておりました。

最後にひとつ。仙台ゴールキーパーの林ですが、フェアプレイを見せてくれました。福岡の久藤が倒れているときに福岡の選手はプレーを続け、シュートまで持ち込みました。林は福岡は味方が倒れている時に攻めてきたと割り切ってカウンターに入ってもよかったのだと思いますが、すぐにボールを外にだしました。怪我をしている選手のためにプレーを止めることに関しては、規約などでも論議を生んでおりますが、筆者は素直に良いプレーだと感じました。

さて、次節は鳥栖が福岡と対戦するわけなのですが、警告累積で出場停止のキムシンヨンがいない中、どのような選手構成で福岡に挑むのかが楽しみではあります。単純に谷口を入れてツートップのまま挑むのか、恐らく同じやり方でくるであろう福岡にはまらないように藤田のワントップでやってくるのか、いずれにしても第一クールでの敗戦の借りを返さなければなりません。筆者的には上述したように、義希と衛藤の攻撃参加がキーポイントになると思います。


 

試合に集中できる鳥栖 試合に集中できない福岡

2008年5月24日 23:16


甲府戦の鳥栖は、最後はねばりきって守りましたね。最後は焦るプレーが多かったと思います。スローインを味方の背中にあてたり、クイックプレーでフリーキックのチャンスをふいにしたり。この場面、フリーキックのチャンスをふいにするだけでなく、押されているチームのポジション(ライン)を押し上げたかったのに、さっさとはじめてさらっと奪われることによって、甲府の攻撃にさらされる時間を減らすことができません。まだまだ若いし、未熟なチームだと感じました。

余談ですが、試合後の岸野さんのインタビューで、ブサイクな勝ち方、藤田を代えたかったけど交代枠がなかった、など、筆者が思っていたことを述べていらっしゃったのがうれしくてしょうがりませんでした(笑)

第一クールでだいたい、サッカーのレベル観や鳥栖のサッカーとの相性が判断できる状態になりました。徳島サポには申し訳ないですが、負けてはいけない相手です。広島、仙台、湘南に勝てる状態を想像できない鳥栖にとっては、自分達よりも下位のチームには絶対に負けてはなりません。是非とも勝ち点3を手土産に帰ってきて欲しいです!明日はテレビの前で絶叫したいと思います(笑)

さて、福岡。組織で守備ができない福岡は、個人の力で守らざるを得ません。横浜FC戦、このBlogでとことん指摘している山形の対人プレーの守備力の皆無さでアンデルソンと池元に決められて試合を決められました。C大阪戦、個々の能力(特に鈴木淳のはつらつさ)でいい試合をしてましたが、失点シーンは布部が香川を止めきれませんでした。

そんなこんなで猶予期間で得られた勝ち点はゼロ。ところが、チームがよくなる「兆し」というのが見えたという裁判では証拠にも根拠にもならない感覚的な判断で司令官の続投を決めた福岡。いまの司令官との契約を続ける明確な根拠はなにひとつだされずにサポーターは納得するのでしょうか。

挙句の果てには「クラブ経営を考える機会になった」、「リトバルスキーの知名度を考えて」などとサポーターの心を逆撫でする発言。今年のアビスパ福岡はどうやら、社長に対してクラブに対する気持ちや経営に対する姿勢を学んでいただき、そして対外的な営業は監督の知名度に頼って行うという1年のようです。判断することができない経営者、責任を取る事ができない経営者、今年のチームの目的、チームが実現するスコープとは一体なんなのでしょうかね。

明日は、ホントは新日鐵大分の試合を見にいきたかったのですが、地域の行事の関係で午前中がつぶれるので、午後からレベスタへ出かけてきます。スタジアムの雰囲気が楽しみです(苦笑)


 

2008年九州Jリーグ4チーム選手相関

2008年5月15日 12:57

九州のチーム同士で、選手の行き来がないか調べてみたところ、このような結果がでました。

■福岡
なし

■鳥栖
柴小屋(大分)

■大分
ホベルト(福岡)

■熊本
小森田(福岡、大分)
矢野(鳥栖)
喜名(福岡)
有村(鳥栖、大分)
木島(大分)

福岡、鳥栖、大分は意外と選手が行きわたっていなかったですね。一昔前は、鳥栖はアビスパを出された選手を獲得することが多かったですよね。生津、三好、服部、ビスコンティ等々。

鳥栖としては、これまでは予算や地域性などを勘案して補強していたのが、技術やポジションなど、ある程度チームとしての思いの中で補強できるようになった証だと思います。サガンドリームスがチームを経営するようになって、大学卒の即戦力ルーキーも増えましたし、いわゆる生え抜きといった選手たちの試合出場率が格段に増えました。

逆にその路線をいま歩んでいるのが熊本。手短にと言っては失礼かしれないですが、近い地域で練習試合の相手にもなった当該対戦相手の中で戦力外になっている選手を獲得するというのは、その選手の特性もつかみやすいですし、チーム間の因縁を取り除けば実に理にかなった補強だと考えます。生活の拠点も大きく変わるわけではないですからね。

熊本サポーターは1試合、1試合の勝敗に左右されて一喜一憂するのではなく、身の丈経営でオラがチームを支えるという大きな観点で是非ともチームを見ていって欲しいと思います。

 

アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島 (レベスタ)

2008年5月12日 13:24

2008-12 アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島

前節、熊本に敗れた後、進退伺いを出した司令官に対して3節の猶予を与えた福岡経営陣。筆者の感覚では、J1への昇格を本気で目指しているチームにも関わらず、3試合...勝ち点9を失う事の重さをご理解されていない様子だと受け取りました。それは、監督の交代を急ぐか否かの部分ではなく、J2は勝ち点1どころか得失点差で涙を飲む事さえありえるリーグなのにも関わらず、猶予という形で時間を与えるという経営陣の方針です。もちろん、昨年のヴェルディのように司令官を変えずに連敗後チームを立て直した実例もあります。勝負はげたをはくまでは分からないのですけど、監督に預けるのか、いち早く手を打つのか、早めの方針を出さないと動ける部分も動けませんよね。少なくともこの広島戦で残された猶予のうちの1試合が結果を残すことなく消化されました。

福岡は広島に対しての防御策なのか、戦い方がうまくいかない事に対する戦術変換なのかは分かりませんでしたが、なんと今季初めて3バックで広島に対して挑んできました。しかも、前半開始当初は見る限りではほぼマンマークに近く、ストヤノフのオーバーラップに懸命にマーキングする黒部という珍しい構図も見てとれました。開始当初は目の前の選手に集中するという効果もあってか思いのほかしっかりと対応できているように見てとれました。

しかしながら、寿人のワントップに対し、マーキングに当たるのがゾーンで渡されていたのかもしれませんが、寿人が中央に入った時に3バックの中央に位置していた山形が直接見る形になりました。3バックの中央の選手がつり出されてしまうと、ケアする人間が誰になるのかという問題がやはり発生するのでありまして、前半の寿人のシュートがクロスバーを叩いたシーンはその問題点が明確に見てとれました。いとも簡単にスペースに向けて出されたパスと、そこを狙う寿人のスピードに追いつけなかった山形をフォローする選手はいませんでした。

このとき、他の選手はどうだったかというと、柳楽は一人余っていましたし(ツーシャドウの選手がまだ低い位置にいたから)、宮本はツーシャドウの一角の選手のマークを見ていました。5バック気味にという話だったかもしれませんが、久永はリハンジェ、中村は服部についているわけでありまして、山形をカバーできる要素はどこにもありません。これまでの敗因で1VS1の守備が原因と言っていた司令官は、再び、広島の攻撃陣に対して工夫もなく1VS1の弱さを露呈する形になったわけですよね。寿人がノートラップでシュートを打ちやすい左足が使えるエリアを空けていたのも余計に目立たせる結果となりましたね。

余談ですが、何年も前から言っているのですが、3バックにした時のサイドの選手で運動量、攻撃力、守備力がもっともバランスの取れている選手は大分の高橋と思います。

さて、広島の攻撃が素晴らしかったのは、必ず「ワン、ツー、スリー」までは動きが連動していること。

たとえば、ツーシャドウである森崎浩と高柳がサイドの開いてマークを連れていくとそのスペースを狙って寿人がポストプレイに入ってき、ポストを受けた寿人の元へ今度は両サイドのどちらかの選手か(リハンジェ、服部)もしくはボランチ(青山、森崎和)がボールを受けにくる。もしくは、槙野、森脇がボールを持って上がってくると、サイドの選手が受けるための引いてきたエリアに対してツーシャドウが入ってきてボランチ経由でボールを受け取る。

などなど、スペースを作る動き、スペースを狙う動き、そしてそのスペースでボールを受けた選手をフォローする動きが非常にピッチ上で目立っておりました。逆に言うと、J1の上位レベルのようなスリーからの更なる連動や、細かい流れるようなパス交換はありませんでしたが、このワン、ツー、スリーを徹底することにより、必ずいつかはほころびがでてくるという丁寧な動きを続けておりました。

先制点は実にその動きが顕著に結果に現れたわけでありまして、

ワン:
ツーシャドウはボランチがドリブルであがっていくスペースを作り、寿人は中央のスペースを作るためにマークを引き連れてサイドへ逃げる動き。

ツー:
寿人が作ったスペースに猛然と走りこむ森崎浩と、森崎和は中央をドリブルをしかけてサイドに開いた寿人へパス。

スリー:ボールを受けた寿人はスペースへ走りこむ森崎浩へダイレクトの落とし、このとき、左サイドにはゴール前へフリーで走りこむ服部。

このワンツースリーはボールを受けた森崎がそのままシュートしたことによってツーで既に完成系に至ったわけなのですが、思わず感嘆の声をあげてしまうほどの奇麗な崩しでした。福岡は人数が足りなかったわけではなく、2人に対して6人の守備陣が反応していたのですが、寿人と森崎の動きにまったくついていけていませんでした。

これは個人批判ではなく、あくまで司令官に対する質問なのですが、それにしても、山形は、寿人のポストやスペースへの動きに翻弄され、更には森脇のシュートがポストに当たった際にも、その前のプレイで簡単に飛び込んで行って森脇のシュートフェイントに交わされ、以前から彼の守備力のなさをこのサイトで散々と指摘しておりますが、それでもまだ、3バックの中央という非常に大事なポジションで使われるほど司令官に見出されている守備能力とは一体どのあたりなのかというのを知りたいですね。彼はどちらかと言えば攻撃に特化する選手だと思うのですが。そういう意味では布部も同じでありまして、3点目を失うきっかけになった左サイドでの服部のドリブル突破を許したのはまぎれもなく布部です。

広島の3点目も実に秀逸でありまして、服部がドリブル突破をした際に福岡のディフェンスはすべてが寿人の方へ向いていましたね。その前のプレーのフリーキックを蹴った森崎浩に対しては誰もついておりませんでした。森崎浩はフリーキックがバーに当たった瞬間は頭を抱えたかもしれませんが、再びシュートチャンスが訪れた時にははずしませんでしたね。きれいなシュートでした。

福岡は守備はともかく、攻撃はホントにもったいないシーンが続出でありまして、せっかく黒部、大久保という高い選手が中央に構えていて広島の3バックを中央に引き連れているんですが、すべてがさっきの広島の例で例えると「ワン」で終わっていました。広島としては3バックという特性上の問題でもある、両サイドのスペースというのはいかんとも守りづらいところ。中央の二人が広島ディフェンスを引き連れることによってそのスペースが空いていたのですが、そこを狙うべく選手がほとんどいなかったのがホントにもったいなかったと思います。

ボールのないところでそのスペースを狙う事により、たとえボールは引き出せずとも、相手の選手を引きつけていくだけで、タレイ、城後が動けるエリア、狙うエリアというのを作ることができます。いや、むしろタレイ、城後、鈴木がそういったところを狙う動きをしなければならないのかもしれませんね。鈴木は前半で替えられましたが、戦術、パートナーとのミスマッチが非常にかわいそうでしたね。後半に田中が入ってサイドの動きを活発にしたのがその現れでしょう。

ミスマッチと言えば、後半にいつものごとく続々と投入されるパワープレイ要員なのですが、先発でボランチに入っていた鈴木、城後、タレイとの総入れ替えの結果、田中が放り込みの船頭となっておりました。この試合ではフリーキックなどのミスが多かったかもしれませんが、タレイを残すという手はなかったですかね、もしくはこの最終形を念頭において鈴木を残しておくとか。刻一刻と変化するピッチの状況に合わせた戦いをするのも必要なのですが、ビハインド時の点の取り方や最終局面での戦い方を頭に描いていると、交代選手ももう少しうまくやりくりできるのではないかと思います。

...と、司令官ばかりを指摘しておりますが、後半ロスタイム前のハーフナーのシュートは決めなければいけませんよね。ま、福岡の選手も口々にインタビューで答えておりますが、あのようなひとつひとつのチャンスを確実に決めること、そして目の前でマーキングした選手には絶対に仕事をさせないこと、この2つが成し遂げられるだけでも戦況は変わるのでしょうが、それができない状況だからチーム組織で何とかしなければいけないんですけどね。...と結局司令官に戻ってしまったわけなのですが(笑)

いずれにしても、広島の強さが際立った試合ではありました。次節の鳥栖はどのようにしてこの広島を相手にするのかが楽しみです。

アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本 (レベスタ)

2008年5月 7日 13:09

2008-11 アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本

互いに前節に大敗を喫してしまい守備の立て直しが必須とされる両チームの戦い。九州ダービーとタイトルを打たれた試合ではあったのですが、目の前の敵よりも如何に自分たちのチームの力を発揮して戦う事ができるのかという試合であったのですが、思わぬ形でロアッソ熊本の勝利と相成りました。

まず、ロアッソ熊本ですが、攻撃面ではボールを持って隙を見つけるとロングボールを福岡のディフェンスラインの裏へ送っておりました。ただ、その攻撃が実効的であったかというと、中山が長野や柳楽に競り負けていたので必ずしも組み立てに直結するわけではありませんでした。しかしながら、そのセカンドボールを福岡が完全に支配していたかといえばそうでもなく、時折、熊本にとっても好都合な状態が作れていました。極端な言い方をしてしまえば熊本にとっての攻撃の起点はルーズボールを拾ったエリアと言ってもいいかもしれません。熊本としては、サイドバックなどをあげて人数をかけて攻撃に手数を加えるわけではないので、下手にボールポゼションをとって相手にとって高い位置でボールを奪われるよりは、蹴り合いの試合にして元々組織的ではない福岡の守備を乱す事ができれば自ずと崩れるという意識があったように思えます。

実質、その攻撃が効果を表すわけでありまして、1点目も4点目も上村からのロングボールを高橋の技術力(トラップの見事さ!)であまりにあっけなく得点に結び付けてしまいました。ロングボールに対処できなかった柳楽と宮本は周りが見えていなかったのか、あまりに簡単にボールに飛び込んでしまいましたね。それにしても、高橋の落ち着いた決定力は見事でした。もちろん、フリーキックも圧巻でしたが。

熊本の守備は特に後半から顕著になっていたのですが、意外にもサイドの選手に対しては特に厳しくマークをつけず、ボランチに入ったボールに対しては確実に人数をかけてプレスに入ってしました。なるほど、鈴木、タレイというところから長短のパスを織り交ぜられると対応がやっかいになります。おそらくそのパスの起点をつぶす事によってグリフィスの飛び出しや田中、久永へのスルーパスを未然に防ぐという狙いがあったように思えます。鈴木やタレイが前を向けずに後ろに下げると、福岡のディフェンスラインはフィードに難があり、また、フォワードを狙うにしても距離の長いボールになりますので、上村や河端、矢野と言ったディフェンス陣がしっかりと跳ね返す事ができておりました。

サイドにマークをつけずとは言いましたが、このからくりは、久永や田中にボールが入っても福岡のフォロー(ボランチやサイドバック)が遅いため、ワンツーや彼らのスルーパスなどで完全に突破される危険性は非常に少なく、ボールが入ったときについた選手が1VS1で飛び込んでしまわずに時間さえかける事ができれば、中央の守備をそろえたり、福岡のフォローへの対応も可能となります。また、久永や田中は圧倒的なスピードや圧倒的な技術(フェイント)でかわし切るタイプではなく、ドリブルで突破する際に"間"を取りつつ、相手の動きを読んで逆に動いてかわすようにして抜いていくタイプですので、ディフェンス側さえ誤らなければある程度の時間を稼ぐ事ができます。よって、必要以上にサイドを警戒するよりは、このようにボールの出どころである鈴木とタレイの局面でつぶす方が効果的ではありました。

前半終了間際の福岡の2点目がタレイから飛び出した中村へのフィードである点、鈴木が前を向いてドリブルを始めるとファールで止めざるを得なかった点などを考えると、ボランチに対するプレスはもしかしたら後半から修正が入ったのかもしれません。ちなみに、福岡の2点目は熊本にとってはタレイのフィードに対して飛び出したキーパーの小林が触れることができなかったのが致命的でしたね。

上村は2点をアシストしたのはよかったのですが、福岡の1点目はその上村がマークについていた大久保を完全に見失っていました。このプレイの前にちょっとした小競り合いがあったのでたまたま上村を見ていたのですが、コーナーキックが蹴られる瞬間に前ではじこうとして大久保よりも更に前に出すぎてしまった結果、頭を飛び越えてフリーにしてしまいましたね。ある意味、得点も失点も彼の出来次第で左右されるチームですね(笑)

さて、よく考えると、このコーナーキックもタレイが蹴ったボールですね。福岡は、現代サッカーとはちょっと離れますが、彼を完全な司令塔において、彼のためのチームを作りあげる方が勝ち点にはつながるような気がしますね。そのためにも相方には守れるボランチがいればと思うのですが、どうしても福岡の両ボランチは攻撃に特化してしまって、中盤での守備に貢献できません。

また、この試合でちょっと目をみはったのが小森田。彼も元福岡の選手でありますので、御礼参りというにはちょっと遅いかもしれませんが、きっちりと決勝ゴールという形で恩返しを行いました。彼は、福岡や大分時代には、ディフェンスラインの前にいた状態でボールをさばくだけでなかなか運動量が上がってこなかったのですが、今日の小森田はロングボールが入る際には、高い位置にポジションを取ってセカンドボールを狙ったり、時には自らロングボールを競ったりと、積極的に攻撃に関与しておりました。そのような運動量がチャジホが左サイドを突破した際にニアに飛び込んだゴールにつながりました。筆者としてはまったく動かない選手であるような印象であったので、この試合の小森田の活躍は目をみはりましたね。ボランチでありながらも攻撃に特化するという彼に与えている役割がうまくはまっているのでしょう。

福岡は攻撃の際に、ディフェンスラインの裏を狙おうというプレイが多くて、大久保や黒部という選手を生かす事ができませんでした。彼らが足元でキープすることによって、味方の押し上げや、起点より前方への飛び出し等が期待できるのかもしれませんが、すべてのボールがポストプレイヤーとなるべき選手の上を越えたり、横へ展開されたりしております。もっと足元へ入れてみたらおもしろいのになとは思っていました。

福岡の守備ですが、相手の狙い目は裏へのロングボールであることは明らかであったはずです。相手の明確な目的に対して対処の方法を確立できていなかったのが悔やまれますね。特に、高橋がロアッソの攻撃の軸...いや、攻撃はそこからしか成り立たないことは明白であったにも関わらず、その高橋にロングボールを通されていとも簡単に決められたのは十分反省の余地があるのではないでしょうか。得点にはなりませんでしたが、後半開始早々に左サイドにいた上村からのアーリークロスを高橋がフリーでヘディングした際に、マークの確認がまったくできておりませんでした。このように交替で入った山形とセンターにしぼった宮本のコミュニケーションのなさも気になりました。

司令官は、サイドの選手がえぐってクロスを中央の選手が決めるという、いかにもなドイツ的な戦い方を好んでおりますが、なかなか福岡では浸透しきれません。もしかしたら、いまの福岡は、昨年の愛媛のように快速ツートップで組んだ方が相手チームの裏へのフォローが分散されるので点につながるかもしれませんね。2点差があって相手が中央を固めてきた際には、大久保、黒部、ハーフナーにクロスをあげることによってゴールのチャンスが生まれてはいましたが、90分間できる戦い方ではないですからね。

この敗戦によって福岡の司令官が苦境に立たされた事は言うまでもありません。これからどのようにチームが向いていくのでしょうか。

 

アビスパ福岡 VS ザスパ草津 (レベスタ)

2008年5月 1日 00:36

2008-09 アビスパ福岡 VS ザスパ草津

非常に辛らつな言い方をしますが、これぞまさに日本の2部リーグの11位と14位のチームが争っている戦いという感じでした。両チームの選手のみならず、審判の判定なども含めて、チケットの料金を払ってでも見に来る価値があるとはとても言えない試合でした。そのくらいの試合でありましたので、客席に空白が多いのはやむを得ないのではないかというところです。福岡の選手たちの潜在能力を考えると、この程度のサッカーの質で戦っているのは非常に残念です。

まず、全体的に感じたのは、第三の動きがまったくなかった所。ひとりひとりが何かをやろうと動きだす事はもちろんあるのですが、残念ながら、その動きに合わせて他の選手が動かない。結果、草津の選手はロングボールに終始し、福岡の選手もボールを預けるところがなくてドリブルをつぶされる。時折、ワンツーやサイドチェンジが繋がりますが、それは空いている選手を使っただけに過ぎず、そこに導く過程に工夫があったかと言えば首を横に振らざるを得ません。特に福岡は、フォワードの頭をボールが通り越していくか、もしくは足元に入っても次の攻撃に繋ぐことができないことが多くて、攻撃をじっくりと組み立てる余裕がありませんでした。それにしてもツートップがまったくかみ合っていなかったですね。

草津は、登録では鳥居塚がFWだったのですが、実際は島田がトップの位置に入っていました。草津はチーム全体として島田に任せるという意図がありますので、他のメンバーは基本的には全体が守備を意識した戦いだったのですが、そういう意図があるにしても、もっと攻撃のバリエーションを作っていかなくては今後も厳しいなとは感じました。そういう意味では、草津のセットプレイはいろいろと動きやサインプレーを駆使して魅せてくれましたけどね。どうしてもしっかり守ってセットプレイなどの少ないチャンスを決めるという形で行かざるをえないですよね。

サッカーは個々の動きが連動した結果によってチーム全体で作りあげるものですから、たとえサイドでの攻防が行われていたとしても、たとえフォワードが攻めている場面であったとしても、その逆サイドの選手もディフェンスの選手も次の動きを予測し、また、予め決められたチームオーダーの元に動くことがチーム全体の活性化でもあり、質の高いサッカー(=勝てるサッカー)に繋がっていきます。この両チームではそのようなシーンが見られることはほとんどありませんでした。ただ、目の前に空いたスペースを使ったり、目の前に空いている選手にパスを送ったりと、相手を崩すアイデアやボールを奪うアイデアが個々の力に委ねられ、互いが巧妙に繰り出すパズルの解き合いのような展開とは程遠く...。

草津の失点ですが、筆者的には、久永一人の個人技で上げた得点だからこそ、責任を負うべきは崔成勇のみだと考えます。実は、草津のボランチ(松下だったかな)が中央でボールをキープしていた時に、フリーでいた右サイドの崔成勇ではなく、左サイドに展開を行いました。その際、右サイドの崔成勇は両手を広げてなぜこちらにボールが来ないのかのような形でアピールしました。その後、ボールが松下まで戻ってきて、もう一度右サイドにいた崔成勇へ大きく展開。先ほどあれだけアピールしたので、何かやってくれるのかと期待したら、なんとトラップミスして久永に奪われる始末。更に、ドリブルで攻めあがる久永の切り返しに簡単に飛び込んでシュートを叩き込まれるという悲惨さ。こういうワンマンシーンを見せられると、この試合で頑張っている他の10人が不憫でならない気がします。。。前のダービーで一人のミスが全体に影響するシーンを2回も見ただけに、このシーンも見ていて少しだけ切なくなる瞬間でした(苦笑)

草津の得点も、島田は左足しかないとわかっていながらも、福岡のディフェンス陣(宮本、タレイ、長野)はその左足を止めることが出来ませんでした。切り替えしに2人が振られてしまってましたね。宮本はこのシーンだけを見ると残念な対応でしたが、全体の動きとしてはよかったと思います。味方が攻めあがっているときに、しっかりとしぼってセカンドボールを拾ったり、草津のカウンターの基点をつぶす働きをしていました。彼が左サイドバックで入ってクロスやドリブルなどの攻撃面では貢献できないかもしれませんが、その分、しっかりと守備で貢献できていると思います。

気になったのは、福岡は終盤になると柳楽が非常に疲れていて(怪我でもしてた?)草津のフォワードの動きに対応できていませんでした。草津が終盤にセットプレイが多くなったのは、足がついていかない柳楽が体で止めざるを得なくなったからが主な原因でしょうね。

福岡はもうちょっとエンジンをかけてチーム作りのピッチを上げていかないと、このまま何も創られる事なく終わってしまうシーズンになりそうです。ただ、同じ指揮官の下で既に1年半戦っているので、この先に伸び代があるかどうかは分かりませんが。。

 

アビスパ福岡 VS サガン鳥栖 (レベスタ)

2008年4月22日 01:10

2008-07 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖

「好事魔多し」

サガン鳥栖サポーターにとっては身に堪える試合、アビスパ福岡サポーターにとっては溜飲の下がる試合になったのではないでしょうか。これまで、開幕前の不安から考えると、ここまで思いの他順調に勝ち点を重ねてきた鳥栖と、開幕前の期待から考えると思うようなサッカーができずなかなか勝ち点を伸ばす事ができないでいた福岡。両チームのダービーを迎えるに当たっての思いとは裏腹に、その試合の行方は実に思わぬ形で決着をつくこととなりました。

福岡は前節までのスタメンから大幅に選手を入れ替えて来ました。入れ替えてきたスタメンが前回の岐阜戦の後にエントリーした、筆者が考えるもっとも福岡が安定するスタメンというのが...。ダービーで、しかもそのメンバーによって完封負けを喫するというのが非常に皮肉でしたが(苦笑)

鳥栖は、試合開始当初から、これまでの細かいつなぎで崩すスタイルではなく、どちらかと言うと長いボールがいつもより多い状態での攻撃となっていました。というのも、その答えは簡単で、福岡が高いディフェンスラインをひいてきたので比較的裏を狙うボールが通っていたからです。地道に細かいパスで回り道をするよりも、直接ゴールに近いところでボールを受ける事ができるならば、その道を選ぼうとしてしまうもの。シンヨンのオフサイドが多かったのも、裏を一発で狙おうとする動きが多かったから故ですよね。

ただ、福岡もディフェンスラインが刷新した事によって、思っていた通り、前節よりもディフェンスラインが最終局面で強くなっていました。鳥栖も退場後に人数の不利がありながらもサイドの深いところや、ペナルティエリアまではしぶとくボールを運んでいきました。しかしながら、宮本、柳楽という守備に長けている(当たり前ですが)選手が立ちはだかるので最終的には自由な動きができずにブロックされていました。心なしか長野も思い切りのいいプレイができていたような気がします。

鳥栖のディフェンスラインも、これまでどおりに激しくプレスをしかける中盤とのギャップがないようにコンパクトにラインを保っていました。ただ、逆にこのコンパクトなラインがグリフィスや田中の動きが生きる状態を作ってしまったともいえます。グリフィスや田中はマンマークにつかれたり、ディフェンスラインを引いて守られるとスペースをつけなくなるのでなかなか彼らのプレイが生きづらいところ。特に田中は、岐阜戦では大久保、黒部などの味方にスペースをつぶされてしまって仕事ができる状態ではありませんでした。グリフィスと田中の動きを制することに難儀したのは、中盤のプレスを掻い潜られたり、ディフェンスラインからのロングボールによって裏のスペースを上手く使われたところだと思います。退場シーンも、柴小屋がグリフィスに触れていたかどうかはともかくとして、裏を完璧に取られていました。変わって入ったパクも裏に抜けるグリフィスや田中への対応に苦労していましたね。途中、加藤を下げてまでも義希を最終ラインに置いたのは、攻撃の選手を入れる意味もあったのでしょうが、スピードのある選手に対応するという意味で実に的確なベンチワークだったように思えます。

福岡にとっては試合の展開が非常に好都合になりましたね。福岡が一番怖いのは、攻めなければならない状態になったときに攻守のバランスが崩れること。攻撃に注力してしまうと、どうしても前がかりになってしまいがちでリスクマネジメントに欠けてしまい、反撃を食らうことが多くなってしまいます。もらった得点とは言え、先制点と追加点を奪えたことは、その後の時間を精神的な負荷なく守備に注力をすればよくなり、いいところでボールを奪えば、攻めあがってきた相手の裏を単純に狙うことができるので余計に田中とグリフィスが更に生きることになります。

失点についてですが、筆者的には加藤のミスはボールを奪われた事ではないと考えます。ボールを奪われたシーンももちろんやってはいけないプレーですが、そのボールを取り返そうとしてグリフィスに対して簡単に飛び込んでしまいました。これが一番よくなかった対応だと思います。もし、グリフィスが味方のパスによりあの位置でボールを受けて加藤がマークについたのであったら、彼はボールに飛び込まずに時間をかけて味方の守備陣系が整うまで粘りのディフェンスを見せるはずです。ミスでボールを失ったことによって冷静さを欠いて奪いに行こうとしたプレイが田中へのアシストにつながりました。

鳥栖の攻撃ですが、谷口の投入して3トップにしたのは、退場して人数が足りなくてもこれまでと変わらず繋ぎとロングボールの双方を織り交ぜて攻撃を組み立てていた状態から、もっとゴールに近いフォワードの位置で勝負をしようという意図に切り替えたのだと思いました。ただ、それにしては依然とつなぎにこだわる部分が多かったように思えます。攻撃の手順として、どちらが鳥栖らしいかと言えばもちろん素早いプレスから高い位置でボールを奪い、細かく繋いでオーバーラップを交える攻撃がよいというのは実に明白です。しかしながら、この試合は2点リードされて、1人少ないといういつものサッカーが出来ない事態であり、いわばギャンブルをしかけないといけないような状態になっております。そのための3トップで、ロングボールの放り込み続けるのも辞さずの構えだったのでしょうが、現場の動きがベンチの思惑とはちょっと違った部分もあったのではないかなとは思いました。

結果論でしょうが、前線にフィジカルに強い選手がいたので、もっと単純にクロスや長いボールを入れてよかったですよね。サイドで1VS1になっても、ゴール前に味方の選手がそろっていたので必ずしも目の前の選手を抜く必要ありませんでしたよね。ガンバ大阪の橋本は右サイドバックに入ったときは、タイミングのいいオーバーラップを見せてボールを受けた後に、相手を交わしきることないまま実にいいタイミングでクロスを上げています。相手を抜くことはクロスを上げる状態を作る手段の一つであって、必ずしも目的ではありません。キムシンヨンが精神的に落ち着いて試合に望める状況を作りだしたいですよね。

とにかくこの試合の鳥栖の選手はミスが多かったと思います。大小様々なミスがありましたのでこの試合で勝てなかったのは当然の結果だと思います。ただ、選手たちが口々にしていた「ミスが原因であり、技術面や戦術面での問題ではないので次の試合に影響ない」という考えはちょっと危険かなと。今回のミスは草津戦では表立っては目立たなかった積極的なミス(シュートミス、パスミス、連携ミス)から受動的なミス(キャッチミス、トラップミス、キックミス)とミスの種類が変わっております。これらの受動的なミスは積極的なミスに比べて精神面に依る所が大きいです。ミスが原因だから次はこのような試合にはならないという事ではなく、このミスが蔓延する状態になった原因や精神状態、試合への入り方をしっかりと分析して、技術面でも心理面でも不安のないようにしっかりと次の試合に備えて欲しいです。

福岡も、同様にこの試合の事は忘れて、今日のスタメンで更にバランスよく守備と攻撃の時間帯を自らのイニシアチブによって作り上げることが重要ですね。グリフィスと田中が生きるためには大久保はどのような動きをしたらいいのか。タレイのよさを引き出すために久藤、久永、中村、宮本はどの位置で構えたらいいのか。福岡は攻撃のポイントであるグリフィス、田中、タレイを生かす形で全体を構築すれば自ずと守備も安定すると思います。彼らは個々の能力が非常に高いので、局面において人数をかける部分を間違えなったら、必要最低限の約束毎さえ守ることができれば、戦術に依らなくても攻撃も守備も十分に戦える事ができると思います。

最後、筆者の感想ですが、博多の森のピッチがいつもよりも芝が短く、そしていつもよりもボールが弾んでいたように思えます。赤星は福岡大学ですので博多の森でも何度となく試合をした事があるはず。彼の想定でのボールの動きと少し違うところがあったのではないでしょうか。プレー、環境、共に慣れが生んだ悲劇とも言えるかもしれません。ただ、2点目を取られた後、特に後半に何回もあった赤星のファインセーブはこの試合を最後まで分からないと思わせた要因でもあったと思います。

今年最初の九州ダービーはおよそ、予想もつかぬ展開となってしまいました。次回の対戦までには互いにチーム状態をあげていき、技術と精神の充実した戦いであって欲しいですね。

アビスパ福岡 VS FC岐阜 (レベスタ)

2008年4月14日 20:44

2008-05 アビスパ福岡 VS FC岐阜

昨シーズン終了後、資金難でJリーグ参入が危ぶまれたようなチーム状況でありながらも的確に補強を行った結果、開幕してからは着実に勝ち点を積み上げているFC岐阜と、昇格という目的のために理想とするサッカー像を捨ててまで結果を求めてシーズンインしたものの、なかなか波に乗れないアビスパ福岡。両チームの対戦は意外な結果で幕を閉じました。

序盤はアビスパ福岡が持ち前の技術力を発揮してボールを支配しますが、試合全体の流れとしては実にスローペースでした。その根底にあるところは、岐阜が守備重視でありカウンターを狙いながらも一発のロングボールに終始することなく、ボールを失わない事に重きを置いた攻撃であったことが考えられます。支配していた福岡も、岐阜のスローペースにはまってしまってシュートチャンスを作り出す事はありませんでした。

岐阜の守備は非常にシンプルでありながらも徹底されていて、センターフォワードに対するマーキングと、ハーフに対するマーキング、そしてボールを供給するボランチに対するマーキング。これらを局面で相手の動きに合わせながら実に粘り強く受け渡しをしておりました。目立たないながらも、ボランチの菅と北村がダイアゴナルランで入ってくる中村と久永を自由にさせないようにしっかりとついて行っておりました。

ところが、そのマーキングにほころびができた時がまさに失点の場面でありまして、岐阜の守備組織としては北村が久永のマークを受け渡した瞬間に中村北斗を見なければならないのにも関わらずフリーマンとしてバイタルエリア浮いておりました。右サイドへ展開する前のフォワードのポストプレイのシーンは福岡のフォワード二人が左サイドに固まっていたので、センターバックはマーキングのためにそのサイドを固めます。そこで中盤の久永、中村が右サイドへ流れ、第三者の動きとして山形が上がってきました。この段階で右サイドのスペースにおいて数的優位を作る状況ができあがっております。それは、フォワードの選手が意図的か意図的ではないかはわかりませんが、センターバックの注意を左サイド引きつけるという使命を果たした上の結果です。

その右サイドへ流れ込む久永と山形の動きに岐阜のマーキングが一人ずつ遅れていきました。山形にも久永にもマークをつけようという意図は見られました。しかしながら、ダイレクトパスの連携でそのマークの受け渡しは不完全に終わりました。あえて言うならば久永を渡した後に中村を見逃した北村、もしくは中村が入ってくる所のスペース(シュートコース)を抑えに行くのが遅れた小峯の責任が少しだけ大きいと言ったところでしょうか。

このように、福岡の選手たちも個々の能力が高いのでそれぞれの思惑が一致した際の崩しというのは、非常に華麗で大胆な攻撃が実現します。タレイというパスにおけるアクセントを加える事ができる選手の加入も大きいです。しかしながら、それらはチームとして機能しているかというとまた別問題であることはこの試合、そして徳島戦の結果...いや、昨年からの指揮官の振る舞いを見ると言わずもがなという形でしょうか。

岐阜はこのような形で先制されたにも関わらず、攻め急ぐ事をよしとしませんでした。1点取られて前半から焦る事に何の効果も生まれないということを彼らは知っていたし、またその事をチーム全体として理解していたからだと思われます。これまでと同様にマークを外さず、ボール、人、それぞれの動きを見極めて時には全体がリトリートしてでも守り切る。そのような意図が伺えた前半でした。

後半になると状況が変わってきます。それまで機を見ての攻撃参加であったボランチと両サイドバックが積極的にボールサイドに絡むようになってきました。全体的な位置が高くなるので自然とボールを奪う位置も高くなります。そのスペースをついて福岡が追加点を上げていればこのような結果にはならなかったかもしれません。ただ、全体の位置を高くして攻防を挑んできた岐阜を受け流すチーム力、守備の時間帯という意識を持って全体的にリトリートするという展開の駆け引き力を福岡は持ち合わせていませんでした。

岐阜と福岡の違いをあげるとすれば、福岡は守備の時に(特にボールを持っている)サイドの選手について行ってしまうと、中央でフリーになっている選手のマークがおろそかになること。バイタルエリアで前を向いてボールを受けられる機会をあまりに多く作っておりました。片桐にボールが入る前、高木にボールが入る前、得点に至らなかったシーンでもボランチの選手や梅田が中央でフリーでボールを受けております。ラストパスの前の前の状態が前を向いてボールを一番良いところに捌ける状態にあるのです。パスコースを限定されて、しかたなくサイドに開いた(福岡からすれば追い込んだ)という形ではありません。

徳島戦の後に福岡の指揮官が問題は中盤の守備にあるという事を挙げておりました。筆者としてはこの指摘はまさにもっともな所だと考えます。というのも、福岡の最終ラインは山形、布部、長野、中島でありまして、お世辞にも守備に特化した人間が後ろで構えているとは思えません。どちらかというとサイドバックの攻撃参加がありきとなっている体系でありますし、筆者はこれまでも山形の守備力の不足(長野との連携の悪さ)を指摘しております。

だからこそ、中盤で如何にパスコースを制限することができるか、中盤で如何にボールを奪う事ができるかという中盤の守備力が大きく関わってきます。ところが、福岡はそのような状態であるにも関わらず、中盤にも攻撃的な選手を置いており、特にタレイは筆者が見るところでは決して守備力があるとは思えないボランチであり、久藤がカバーリングしているプレイでは補いきれない部分であると思います。

岐阜の4点目は顕著でありまして、岐阜から見た左サイドでボールを持つ選手に対して山形とタレイの二人がマークに行くものの、ボールを奪おうとするアクションを連携して行えずにやすやすとクロスを挙げられております。守備側が二人、特にサイドで動く範囲が限られている場面であったら、どちらかが奪い取るがごとくプレス(アタック)に行き、交わすところを狙って後ろで待ち構えている選手がボールを奪うという形を作らなければなりません。ところが、二人でまさにアリバイディフェンスがごとくずるずると引いて結果、梅田のヘディングゴールにつながりました。中央の吉田と中島の動きにも問題はあるでしょうが、数的有利な部分でクロスがあがるところを未然に防ぐ事ができれば何の問題にもなりませんでした。

また、高木の3点目のシーンですが、久藤が高木に抜かれてしまってゴールを奪われるのですが、岐阜はさらに左サイドにフリーの選手が構えているのです。久藤は左に展開された時を頭に入れながら目の前の対人守備をこなさなければならないという非常に不利な状況でありました。それぞれの失点シーンを見ても分かるように、基本的にペナルティエリア内やゴールライン近くにいる守備側の人間が少ないです。単純な理論ですが、守備側の人数が少ないとボールがこぼれた時にクリアができる可能性が減り、相手の目の前にボールがこぼれる可能性が高まります。

福岡のサイドバックは様々な役割を与えられておりまして、攻撃時にはサイドに開いてウインガーの動きを、守備の際には中央へしぼってストッパーの動きが求められていますが、守備に入ってしまうとこのように不安を露呈してしまいますね。対人守備に対する弱さ、クリアする場面でもミスというのがあまりにも顕著になってしまいました。

福岡のメンバーで守備専門と言われる人間は長野だけでしたね。久藤も元はトップ下や攻撃的サイドハーフの選手ですし、久永、タレイは言わずもがな、布部に至ってはフォワードもさせられている選手ですし、中村北斗もボランチや右サイドバックで起用されているものの、魅力は攻撃的な部分ですし。(高校時代はすっぽんマークと言われていましたが)でも、そう考えると長野もいまの指揮官ではフォワードとして起用されていましたね(笑)

筆者は、むしろ、中盤より上の選手たちが個人技に優れている選手が多いが故に、逆にロアッソ熊本のように矢野、河端、上村、福王とセンターバックが4人並ぶような体系であっても福岡の攻撃は機能するのではないかと思うわけです。少なくとも、指揮官が攻撃が好きなのであれば、センターバック二人は対人に強い強力なストッパータイプを置くことが必須だと思われます。宮本、柳楽、長野、中村、この4バックでタレイと久藤or布部or城後をボランチに置き、ハーフは田中、久永、中払、久藤の中で調子がいい選手を起用していく。そうすれば少しは守備の問題も解消されるのではないかと思います。宮本も中村も程よくオーバーラップできる選手ですしね。

また、筆者的には田中は常にスタメンで起用した方がいいと思いますけどね。失点を喫してから田中を入れたのですが、黒部、大久保、グリフィスと前線にたくさんの選手が入り混じりますので田中が生きるスペースが完全につぶれておりました。足元でつないだり、前線にロングボールを放る攻撃では田中の良さはまったく生きませんし。

福岡は指揮官も含め、チーム全体として失点の結果を精神論のみならずチーム全体のバランスを見るべきではないのかなと思うのですけどね。

さて、話は長くなりましたが簡単に岐阜の話題を。片山は上背もあってボールもキープできるし、カウンター攻撃においてトップにはってもらうには適した人材ですね。その周りを個人技がある片桐と高木がいい形でフォローできていると思います。特に、片桐は開幕の甲府戦でアシストを見せたように溜めてパスを出せる選手ですので高木や梅田などの中盤の選手もスペースに飛び込みやすいですね。

ボランチの二人は目立たないながらも与えられた役割をこなすがごとくハードワークしておりました。後半からはどちらかが1列前に前進して(福岡のマークが甘いためにフリーで前を向いたからかもしれませんが)左右にボールを散らす仕事も担っておりました。

センターバックの川島と小峯は...実は不安な点も多く(笑)
でもこの不安な点は、ボールを持った際の足元の弱さですから、マンマークや対人といった守備的要素がおろそかになっていたわけではありません。最終局面では体も張っていたし、振り切られることなく粘りの守備を見せておりましたね。

守備ではそつなくこなしていたものの、攻撃面でちょっとだけ不満だったのがサイドバックの吉村と那須。吉村は相変わらずクロスの精度がなかったですね。彼がオーバーラップしてもっと効果的なクロスを挙げる事ができれば得点につながっていただろうに、いいタイミングで飛び出しているだけにもったいないなと感じました。那須はちょっとボールを持ちすぎ。コースを探しているのかもしれませんが、味方全体の流れとは違うエリアに持っていきますのでもっとシンプルにさばけばと思いました。彼がサイドでキープする事が岐阜の攻撃に生かされていませんでしたよね。やはり、岐阜のサッカーとしては空いている前線の選手に対してシンプルにボールを供給することが求められると思います。1点目の片桐へのパスはまさにゴールに直結するシンプルでいいプレイでした。


 

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