サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ (ベアスタ)

2008年8月25日 20:43

2008-24 サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ

消化試合が湘南よりも1試合多い鳥栖にとっては、勝ち点差4とは言っても事実上3位を受け渡すか、それとも死守するかと言っても過言ではない重要な対戦。

両チームともに死闘をつくした戦いは、僅差であるというスコア以上に試合運びと作戦面、技術面、状況判断能力、すべてにおいて湘南に軍配があがりました。守備に関しては早い時間に先制点を奪った湘南の攻撃の威力が弱まっていたのでともかくとして、とかく攻撃に関しては見た目で感じた惜しい試合という感触以上に選手たちは力の差を感じたのではないでしょうか。

鳥栖はカウンターで失点を喫していましたが、試合開始当初からの鳥栖のコーナーキックの場面に失点の布石はありました。鳥栖のコーナーで湘南の選手が3人も攻撃用の選手として残しているにも関わらず、鳥栖も同じく3人の選手しか自陣に守備用の選手を置いていませんでした。これは、相手の選手よりも1人多く自陣に残すという定石からはずれたプレイであり、相手のカウンターに対する防御の意識の欠如としか言いようがありません。実際、得点をとりにいくためにリスクをかけなければいけない状況でもなく、相手の動きに対して適応する能力が欠けていたということでしょう。結果は事なきを得たのですが、このようなひとつひとつの場面に対する集中力が最終的には試合の結果を生んでいます。人数の残し方が、意図のあるプレイであったとすれば、前半のこの時間帯でリスクをかけた攻撃を行うという事自体が状況判断ミスだと思います。

点をとられたカウンター時にも守備に対する統一性の希薄さからか、カウンター攻撃に備えてディフェンスの人数は戻ってくるものの、人に対するマークがあまりにも分散しすぎて湘南の攻撃に屈してしまいました。ただ、この失点時の湘南のプレイに関しては相手を褒めざるをえないでしょう。右サイドから左サイドへの大きな展開のパス、そして左足でダイレクトでクロスを上げる技術と、その早いクロスをボレーで確実に決める技術。まるでテニスを見ているかのように首を右に左に振りながら見ていたらゴールが決まってしまったという早い展開でした。

対して、鳥栖の攻撃は、サイドでボールを受けた選手が1VS1で抜こうとして、完全に抜いてからクロスをあげようという動きや、ゴール前でも相手を完全に抜いてからシュートを打とう、パスでディフェンスを崩してからシュートを打とうという、つまり、いい形で持ってからボールを蹴ろうとしようとしすぎたのではないかと思います。だからこそ、せっかくクロスをあげても守備側が中をそろえる時間がありますのでセンターバックにはじき返されてしまうし、抜いてシュートを打っても、次のディフェンスの選手がシュートブロックに入ってきておりました。

では、多少無理な体勢からでも素早く正確なボールを蹴る事ができるかと言われれば、いまの鳥栖の選手ではミスキックの連続になってしまう。ゴールの枠にさえ飛ばないシュートや、直接ラインをでてしまうクロスが如実に物語っておりました。要するに、まだまだ技術として未成熟な選手が多いという事ですね。

構えている相手を崩さなければならない状態になってしまうのは、当たり前ですが相手に守備体制を整える時間を与えてしまっていることがひとつの原因でもあります。相手に守備を整える時間を与えないためには、これも当たり前ですが相手が守備を整える前にしかける事が必要です。そのひとつの方法としてのダイレクトプレーを利用するがあります。そういう観点から言うと相手の守備が整う前のダイレクトプレイは少なかったように思えます。相手のゴール裏で整った守備を崩すためにダイレクトでしかけるプレイも見えましたが、そうなってくるとそろっている相手が襲いかかってくるためにプレッシャーが半端ではなく、結果、パスミス、トラップミスにつながって決定的チャンスを作るには至りません。

また、中盤でボールをカットしてから前を向いてボールを持っても、フォローがない場合はドリブルで前進しようとする動きが見えないことが多かったですね。鳥栖のハーフ陣の清水、山城、という面々は往々にしてこのような状態に落ち入りやすいです。相手はリトリートするしかない状態ですので停滞するのはもったいないかなという場面もありました。ゴール前で相手が人数をそろえている状態でのしかけと、中盤でボールを持ち出して一人交わしたら後は独走ができるという状態でのしかけというしかけの位置の違いはあるかもしれませんが、チャンスを作るという点では低い位置でのしかけもたまにはあった方がいいのかなとは思いました。

ここで「たまには」と書いたのは、無理してしかけることによってボールを失うことの怖さがあるからです。その辺りは状況として押し込んでいるのか、押し込まれているのか、もしくは対面している相手との力関係ですね、その辺りでの判断力というのを選手に求めなければなりません。局面での1VS1で助けてくれるのは戦術でも何でもなく、あくまで個人の力なのですからね。

失う怖さという観点で言うと、バックパスで溜息をつく観客が多いのですが、バックパスはボールを奪われないための一つのプレイなのです。筆者としては、確率の低い飯尾や内間のロングフィードを見るよりは、確実に室にバックパスで返してボールを失わず、室のロングフィードで一気に前線へ放り込んだ方がまだ可能性はあるような気がします。観客の皆様にはバックパスは消極的なパスと意図のあるパスの2種類がある事をご理解していただけたらサッカーが更に面白くなるかもしれません。たとえバックパスでもボールを保持している間は相手にゴールを奪われる事はないのです。

さて、今回の試合は、相手の守備がマークに付く前、相手のラインが整う前にパスを供給するプレイができるか否かで今回の勝負は決着がついた感があります。サッカーは0.5秒の違いでゴールの有無が変わるスポーツです。0.5秒を作り出すために、90分間を走り続けなければなりません。しかしながら体力は無尽蔵にあるわけではないので、効率的な走りが要求されます。そのプレイが鳥栖はできずに湘南はできたということだと思います

では、効率的な走りというのはどういうことか。筆者は湘南のプレスと守り方にその一端を垣間見ました。

今回の試合は中盤の選手は比較的ボールを持たせてもらうことができました。それは、湘南としては中盤にプレスをかけても鳥栖のフォワードを交えた組織の攻撃でかわされてしまう可能性があり、ゆくゆくは藤田やキムをフリーにしてしまう恐れがあるので、それならば中盤を作られてもゴール前で防げばよいという考えがまずひとつあったのではないかと思います。

次に、ロングボールによって裏を取るということも鳥栖の攻撃のひとつなのですが、湘南はセンターバックがボールを持ったときには一転してするどくチェイスをかけて自由にボールを蹴らせませんでした。センターバックからのロングボールは藤田、キムと高さがあるだけに、正確なボールを蹴られてつながれると厄介でもあり、更に鳥栖のセンターバックは足元の技術がないためにつっかけることによって容易にミスを生み出してボールを得る事ができる。

この辺りの強弱のついたプレスと守り方は見事としか言いようがなく、事実、ある程度中盤やサイドにボールを持たれる事に対して目をつぶっても、ゴール前を固める事によって中盤からの玉だしやサイドからのクロスはジャーン、斉藤、田村という屈強のディフェンス陣+高さのあるボランチにことごとく跳ね返されていましたし、鳥栖のセンターバックにつっかけることによって何度となくキックミスを誘ってマイボールにしていました。

湘南は組織での戦いを挑むよりは、可能な限り個人能力での戦いに戦場をシフトさせることによって結果的に鳥栖の動きを封じたというのが全体的な感想です。

また、鳥栖は全体的に、岐阜戦もそうだったのですが、ボランチ、サイドバックがフォワードを追い越すシーンはほぼ皆無でした。特に、高地のドリブルは相手にとっても驚異なはずなのですが、いかんせん、ドリブルを開始する位置が低すぎました。とにもかくにも、この試合は攻撃に人をかけているようで肝心な肝のパターンを作り出すことが果たしてできていたかという点と、キックミスとも戦術の実行ミスともどちらともとれないプレイが多すぎていささか首をかしげたくなるシーンが多かった事は確かです。

特に、流れの中のクロスやコーナーキックなどのセットプレイはほとんどがニアでつぶされていたのですが、そのニアに入ってくる選手がいないためにチャンスがチャンスになっていませんでした。流れの中のクロスでニアサイドが多かったのは相手の守備陣が交わされてもくらいついてコースを切っていたためにそのようなボールになっていたのか、はたまた単なるキックミスなのかわかりませんが、それにしてもニアに来ると分かっていてもそこに飛び込んでこない藤田とキムのツートップには試合中に何を学習しているのかと問いたい気分でした。しかもこともあろうに、クロスが悪いと両手を広げて不満を示す始末。鳥栖の選手のクロスの精度が悪いのはいまに始まったことではありません。だからこそ、そのクロスにこの日ならではの癖があるのならば、その癖を読み切ってそのポジションへ飛び込んできてほしかったと思います。鳥栖の選手は前提としてクロスが下手なんです。だからこそ、鳥栖のフォワードは一人がニアサイド、一人がファーサイドなどと分散して待ち構えるような形で自ら打開していかなければならないのです。ニアやファーに分散してこぼれ球が中央に入って来たときにはそこに飛び込んでこないハーフの選手やボランチの選手の責任にしてもいいと思います。藤田とキムの動きはチームオーダーだったのかもしれませんが、もしそうだったら、得点がとれなかったのは首脳陣の責任ですね。

コーナーもニアばかり狙っていたのですが、あれが作戦だったのかよくわかりません。作戦だったとしても、止まっているボールや操っているボールですらまともに蹴る事ができない選手が、早いボールを正確にパスという形(もしくはいると思われるところにそらす)ことができて、さらにそのボールをゴールにシュートするという一連の流れが彼らにできるかというご甚だ疑問ですね。コーナーキックの狙いがよく分かりませんでした。

船谷は評価保留です。遠いところでも狙える繊細なパスの技術がありましたが、それだけにボールの回し方がJ1と違ってディフェンスラインの後方に蹴ってほしいと要求する放り込みJ2サッカーになじんでしまう可能性があります。また、試合序盤に比べて段々と運動量が落ちて存在感が後方になってきました。前方での仕事ができない堅実なボランチならば鳥栖には五万といます。彼の技術は高く買いますが1試合だけなので評価保留です。私はあのプレイっぷりだったら衛藤の方が鳥栖に向いている選手だと思いました。

最後に、内間の退場は彼が悪いのではありません。コーナーキックをミスキックで終えた高地と、こぼれ球の放り込みをミスキックしてしまった日高、彼らの二つのキックミスが呼び起したものです。結果的に攻撃態勢に入っているチーム全体のピンチを内間が救った事になりました。もちろん、内間も1枚カードをもらっているので対処の仕方は他にもあったかもしれませんが、あの状況では審判の心証も含めていたしかたないことだと感じます。

今年のJ2も例年のように広島以外のチームが上位にたったらたちまち勝てなくなるという循環で混戦模様になってきております。この混戦を勝ちきれる力が備わっているかどうかは今後の彼らの戦いっぷりが証明してくれるでしょう。

次節のダービー...負けたら終わりを予感させる上位、湘南との戦いでした。

 

サガン鳥栖 VS FC岐阜 (ベストアメニティスタジアム)

2008年8月13日 19:32

2008-23 サガン鳥栖 VS FC岐阜

先月の鳥栖と横浜FCの一戦以来、約一か月ぶりとなるサッカー観戦となりました。やっぱり、サッカーは生観戦が一番ですね。

前日の結果より、湘南が同勝ち点ながらも3位に浮上してきまして、得失点差で劣る鳥栖としては、先を見据えると何としても勝ち点差をつけておきたいところ。試合開始当初の互いのチャンスを見ると、一歩間違ったら乱打戦になってもおかしくなかったこの試合は、何の因果かスコアレスドローに終わるという全体の流れを考えると不思議な形で試合がフィニッシュしてしまいました。

この結果、勝ち点1を加えてかろうじて3位を死守して第2クールを終了しました。秋口からの戦いに不安と期待が交錯するなか、いよいよ第3クールがはじまります。

試合ですが、せっかくのホームでの試合にも関わらず入り方が非常に悪かった気がします。試合開始直後から相手のプレッシャーに鐵戸がつっかけられてしまいました。その後も、岐阜の圧力に負けてしまってボールをけり出したり、パスミス、トラップミスでボールを失ってしまう展開が多くなり、そのボールを拾われて岐阜の攻撃にさらされることになってしまいました。ただ、岐阜のシュートミスやクロスミスに助けられる事が多く、危うく失点しかけておりましたが事なきをえず。そのうち、カウンター一発でセンターバックの間を抜ける素晴らしいロングボールを鐵戸が送り、キムシンヨンがキーパーとの1VS1を迎えましたが残念ながら制せず。鳥栖の方もそのあたりから、コーナーキックなどから決定的チャンスを何度か迎えますが得点できませんでした。

この頃から、岐阜はディフェンスラインを修正し、守備に人数をかけるようになります。特に那須の動きがチームとしての攻め具合と守り具合を調整していたように感じました。そして、徐々にディフェンスに集中してくる岐阜、人数をかけてしっかりと守ってくる相手に対して、鳥栖が慢性的に抱えている攻撃の弱点が如実に表れてしまいます。

ひとつはセンターバックからのフィード力のなさ。飯尾、内間はお世辞にも足元のプレイが上手な選手とは言えません。むしろプロの世界で戦っているにも関わらず、そのキック精度はともすればアマチュアにも劣る面があると言っても過言ではないでしょう。彼らの魅力は粘り強い守備と、体を張ったマンマーク、それが身上の選手ですので、彼らが攻撃に貢献するべくスペースへロングフィードを送ったり、中盤を通り越してフォワードの足元にボールをいれなければならないような攻撃状態を作る事がチームとしては機能していない事だと考えます。

やはり、鳥栖の攻撃としてはフォワードと中盤が連携しながらボールを運び、出来上がったスペースに対してボランチとサイドバックが飛び込んで行く形が理想形となります。そこを省略して、即座にディフェンスラインの裏側を狙わなければならない状態というのが岐阜の戦略にはまった状態であり、鳥栖の攻撃が殺された部分であるかのように思えます...

また、岐阜との違いとして顕著に現れたのが、個人の力によって試合を決定できるプレイができないということ。この試合では、時間が経つに連れて互いにディフェンスラインを崩さずに守っていたのではありますが、攻撃に関して決定的に違ったのは、鳥栖と岐阜の個人突破力、キープ力の違い。岐阜は片桐、片山のツートップがボールを持つと鳥栖のディフェンス陣はなかなかボールを奪うことができませんでした。こともあろうに、二人でボール保持者にマークについても奪えないどころか、交わされる怖さからか奪いに行くタイミングもなくて、あっさりとクロスまで上げられてしまう状態。実際の失点には至らなかったとは言え、非常にいただけないシーンではありました。個人で負けるならば集団でボールを奪う(もしくは自由にさせない)という形が身上である鳥栖であるから尚更囲んでもまごついているシーンが目立ちました。

が!それでも決定的なシュートチャンスはカウンターから何度も作っておりました。特に、レオナルドが入ってからの度重なるシュートチャンスは決めてしかるべきシーンが多かったですね。レオナルドと下地がはずしたペナルティアーク付近からのシュートは、なでしこジャパンを粉砕したアメリカ女子のシュートが決まったポイントでもありますので、現場で見ていて他のはずされたシュートよりもいささか残念度が高かったです(笑)ただ、レオナルドが入ってシュートチャンスが増えたのは、やはり前線のスピードアップと個人のドリブル突破力でしょう。非常に前線が活気付いていい交代だったと思います。

最後に、サガン鳥栖全体を通じて感じたのはボランチの二人のかみあわなさですね。高橋は運動量の低下が気になります。疲れがこの時期に来ているのでしょうか。彼は守備にも攻撃にも常に顔をだしてボールに絡んでくるのが仕事であるのですが、この日はポジションを崩すことなく無難な仕事に終始していたと思います。もしかしたら、それがチームオーダーであり、運動量の低下から来るものなのではないのかもしれませんが、彼本来の力を発揮できているとは思えませんでした。

対して、コンビを組む下地も高橋以上に低い位置でボールをさばいたり、ディフェンスラインをカバーしたりといういわば守備的に特化して堅実なプレーが持ち味の選手です。下地はいい選手なのですが、疲弊して動けない高橋と相まってボランチの二人が互いに無難な動きをしていたのでチーム全体としてのダイナミズムは生まれませんでしたね。衛藤がいたならばそのあたりの攻撃のオプションが増えていたのかなとは思います。下地がフォワードを追い越すシーンはいちども見られなかったのではないでしょうか。

結局、試合全体の流れとして、攻撃にも守備にもリスクをかけるポイントがずれていたのかなとは思います。互いに決定的チャンスでのシュートミスがあったことも確かなのですが、せっかくクロスがあがっても中央に人間がいないという状態があったり、相手が攻めてくる時間帯でしっかりと(偶然ではなく必然な形で)守りきる陣形を整えることも出来なかったような気がします。失点を恐れずに更なるリスクをかけて攻めていれば中央に人間がいてゴールが生まれた可能性も大いにあったと思います。

ただ、そうは言うものの、失点を恐れないリスクをかけた戦いというのは、下位相手に勝ち点ゼロで終わりたくない鳥栖にもアウェーでの戦いである岐阜にもなかなか決断できない部分でありまして、この時期のこの戦いでリスクをかけることをチームオーダーとしてよしとしなかったと言われれば、結局はなるべくしてなったスコアレスドローではないかという気もします。

ということで、リーグの順位表を見渡しますと、第2クールを3位で終えることができたという結果は非常に満足ですし、必ずしも悲観することはない位置につけているということで気持ちを落ち着かせたいと思います(笑)

 

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