アビスパ福岡 VS モンテディオ山形 (レベスタ)
2008-17 アビスパ福岡 VS モンテディオ山形 (レベスタ)
前節、鳥栖との対戦で山形の戦いをテレビで見ていたのですが、テレビで見る山形と現場で見る山形は驚くほどにまったく違いました。前回のエントリーでチーム力としては鳥栖とそんなに変わらないのではという感想がいとも簡単に覆されるほどの洗練されたチームワークと組織力。小林監督はわずか半年にしてJ1昇格を争えるほどのチームに仕立てあげてきましたね。個々の動きで戦いを挑んだ福岡はいとも簡単にいなされてしまいました。
山形の試合はとにかく堅いですね。小林さんが大分を率いていた時の堅さを彷彿とさせる試合内容でした。山形の選手はダイアゴナルランのように自分のポジションを大きく離れてスペースを作る動きや、流れの中での大胆なポジションチェンジなど、チームとしてポジションを崩すような横の動きはほとんどありませんでした。もちろん、縦にスペースを見つければサイドバックの選手やハーフは動き出しが早く上がっていくのですが、バランスが崩れるようなことはありません。しかしながら、試合が止まった時には宮沢が前線に入って北村とポジションチェンジを行うなど、リスクを最小限にしながらも相手の守備とマンマーク陣形を崩そうとする形で、自分たちができることを場面に応じてしっかりやるというサッカーでしたね。
この辺りが堅いと思わせる部分でありましたし、更に、攻撃の人数も前半はほぼ4人で攻め上がっていたのでカウンターに対するリスクマネージメントが自ずとできている状態でありました。鳥栖のようにボランチやサイドバックが縦横無尽に飛び出してくる組織ですと攻撃がはまったときには素晴らしい連動を見せますが、その分相手にスペースを与えてカバーリングが遅れればカウンターの餌食となることもあります。どちらがいいサッカーかというと、そのプレーの質や、相手に対する優位性などもありましてなかなか結論はでないでしょうが、とにかく山形の堅実さはよく目を引きました。
山形はこのように、持ち場を大きく離れる事がないので、高い位置でボールを奪われた時にもすぐに守備組織を組む事ができます。そこでも無意味につっかけることなく、味方が網を貼れる状態になってじわじわと追い込んでいくような形で守備を行っていました。福岡のボールを持っているサイドの選手が窮屈になり、どこにパスを出してもとられるんじゃないかという雰囲気を作っていましたね。決してそこで抜かれてもかまわないという形のプレスでボールを強引に奪いにいくわけでもなく、かといって間合いを開けすぎてパスコースを作ってしまうわけでもなく、まさに網をしかけておくという形のコンパクトで素晴らしい守備組織だったと感じました。
福岡はこの守備組織に対してかなり手をこまねいていたと思います。山形が攻撃に手数をかけなかったこともあり、さしたるピンチもなかったのですが、すぐに守備組織を引いてくるのでボールの出しどころに窮々としておりましたね。大久保も抜けたり引いたりと工夫は見せていたのですが、レオナルドを制してまでボールを納めることはできませんでした。サイドをスピードのある動きで抜けたところにパスが出たときにはチャンスを作っておりましたが、その際にも逆サイドの山形のサイドバックの絞り方がうまく、中央をぎりぎりで防いでいましたね。
山形の攻撃も福岡と同様に、トップにボールが納まりませんでした。長谷川や北村(ポジションチェンジした際には宮沢)にはマンマークがついているので、福岡のディフェンスとして楔のボールが出された時に狙いやすいというのがあったと思います。ですので長谷川に対するボールはほとんどが事前につぶされておりました。ただ、これまでの福岡のマンマークとちょっと違って、中盤の選手には明確にマークをつけるという形ではやっていなかったように思えます。ですので、山形の中盤のフリーの選手がちらほらとでてきたときに、彼らにボールが出た時の寄せが一歩遅れる面がでておりました。よって、思ったよりも宮沢や財前が完全にフリーで待ち構えていたときもありましたが、そのときに山形の選手が彼らにボールをだす事ができずに事なきを得たという場面もありました。
という形で、長谷川がディフェンスを引きつけ、サイドの選手は中央にしぼらずに外に張り付いていることが多かったので、中盤のいわゆるバイタルエリアと言われる部分にはスペースがかなりあったのですが、前半はなかなかそこを使う事ができませんでした。ところが、後半に入るとボランチの選手がそのエリアに侵入してくる事になります。長谷川が高い位置でディフェンスを引きつけている状態で、ボールがサイドを展開するとディフェンスの人数が人にいるところに偏ってくるのでどうしてもバイタルエリアを開けてしまいます。そこにボランチの秋葉や佐藤が入ってきてからのミドルシュートという選択肢が増えてきたので福岡が後手に回らざるを得なくなりました。後半の山形は、前半に比べて単純に攻撃の人数を増やしてきたのですが、その波に押し込まれてしまうがごとく、福岡は先制、追加点と次々に点数を許してしまいました。特に、両ボランチの攻撃への参加は福岡のラインを押し込むポイントになったと思います。
3点目ですが、福岡がクロスの時からの失点に抱えている問題として、タレイがサイドでマークについたとき簡単にボールを上げさせてしまうという悪い面があります。彼はスペースのカバーリングなどには優れていますが、1VS1で対峙すると守備力の弱さがでてしまいますね。ただ、中央の守りを厚くできるはずですのでクロスがあがってきたときのマネージメントの方に問題があるのかもしれません。また、セットプレイでの失点(失点と思われても仕方がないシュート)を喫するのもタレイのエリアが多いですね。前節の中山や、今節のレオナルドの惜しいシュートもタレイがゾーンを請け負っているエリアであります。そのあたりが今後福岡と対戦する相手としてついてくるポイントとなりそうな気がします。ゾーンで守っていると、相手は勢いをつけてジャンプにきますから待ち構えてからジャンプする状態よりもスタートの段階で分が悪いですよね。
後半終了間際に猛攻を見せた福岡ですが、シュートミスなどもありまして完封負けを喫してしまいました。それにしても、後半のフォワード投入作戦でゴールが生まれるのを見たことがないですね。黒部なんかはいたのかいなかったのかすら見分けがつかないほど消えていました。また、田中もフォワードの位置に上がってからは、思うようにボールが回ってこないのもありましたが、目立つプレーができておりませんでしたね。もっとボールに絡んでゲームメイクをする動きをしないと、サイドのスペースを使うときだけしか生きない状態だと福岡の攻撃はちょっと苦しいですね。その辺りが久藤を自由にして攻撃に特化した動きをさせた時との違いが顕著でありますね。
さて、山形には昨年まで福岡に在籍していた長谷川、宮崎といった選手たちが試合に出場して見事なお礼まいりを見せてくれました。長谷川も宮崎は福岡時代では見せたことのないような素晴らしい落ち着きからのゴールでしたね(笑)それにしても九州の人間は関わってくれた人間に対してはすごく温かいですね。長谷川、宮崎のスタメン紹介の時には敵でありながら拍手がありましたし、3点目を決めたのが宮崎というアナウンスが流れると、試合中にも関わらず拍手が沸き起こりました。宮崎への拍手は大量失点ということで半ば自虐的な拍手でもありましたがね(笑)
同じく昨年まで福岡に在籍していた小林監督はインタビューで「在籍していたのは個人的な事だから」と多くは語りませんでしたが、内心はかなり溜飲が下がったのではないでしょうか。福岡は、毎年のようにこうやって貴重な人材を流出させていってますよね。それでも、フロント陣にとっては思い知らされるような事でもないのでしょう。だって連敗後にたった1勝しただけで「我々の判断は間違っていなかった」と言い切れる方々ですからね。

コメント
因果応報。
小林さんや光平&モンゴルは山形の地ので充実したシーズンを送っている様で…
Posted by お疲れ様です。 at 2008年6月13日 08:18
それにしては出来すぎな結果でしたね。福岡は選手個々は能力が高い選手が多いので、如何にうまくチームとしてまとめあがることができるかって事ですよね。
Posted by オオタニ@KS.net at 2008年6月14日 09:07
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