アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島 (レベスタ)
2008-12 アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島
前節、熊本に敗れた後、進退伺いを出した司令官に対して3節の猶予を与えた福岡経営陣。筆者の感覚では、J1への昇格を本気で目指しているチームにも関わらず、3試合...勝ち点9を失う事の重さをご理解されていない様子だと受け取りました。それは、監督の交代を急ぐか否かの部分ではなく、J2は勝ち点1どころか得失点差で涙を飲む事さえありえるリーグなのにも関わらず、猶予という形で時間を与えるという経営陣の方針です。もちろん、昨年のヴェルディのように司令官を変えずに連敗後チームを立て直した実例もあります。勝負はげたをはくまでは分からないのですけど、監督に預けるのか、いち早く手を打つのか、早めの方針を出さないと動ける部分も動けませんよね。少なくともこの広島戦で残された猶予のうちの1試合が結果を残すことなく消化されました。
福岡は広島に対しての防御策なのか、戦い方がうまくいかない事に対する戦術変換なのかは分かりませんでしたが、なんと今季初めて3バックで広島に対して挑んできました。しかも、前半開始当初は見る限りではほぼマンマークに近く、ストヤノフのオーバーラップに懸命にマーキングする黒部という珍しい構図も見てとれました。開始当初は目の前の選手に集中するという効果もあってか思いのほかしっかりと対応できているように見てとれました。
しかしながら、寿人のワントップに対し、マーキングに当たるのがゾーンで渡されていたのかもしれませんが、寿人が中央に入った時に3バックの中央に位置していた山形が直接見る形になりました。3バックの中央の選手がつり出されてしまうと、ケアする人間が誰になるのかという問題がやはり発生するのでありまして、前半の寿人のシュートがクロスバーを叩いたシーンはその問題点が明確に見てとれました。いとも簡単にスペースに向けて出されたパスと、そこを狙う寿人のスピードに追いつけなかった山形をフォローする選手はいませんでした。
このとき、他の選手はどうだったかというと、柳楽は一人余っていましたし(ツーシャドウの選手がまだ低い位置にいたから)、宮本はツーシャドウの一角の選手のマークを見ていました。5バック気味にという話だったかもしれませんが、久永はリハンジェ、中村は服部についているわけでありまして、山形をカバーできる要素はどこにもありません。これまでの敗因で1VS1の守備が原因と言っていた司令官は、再び、広島の攻撃陣に対して工夫もなく1VS1の弱さを露呈する形になったわけですよね。寿人がノートラップでシュートを打ちやすい左足が使えるエリアを空けていたのも余計に目立たせる結果となりましたね。
余談ですが、何年も前から言っているのですが、3バックにした時のサイドの選手で運動量、攻撃力、守備力がもっともバランスの取れている選手は大分の高橋と思います。
さて、広島の攻撃が素晴らしかったのは、必ず「ワン、ツー、スリー」までは動きが連動していること。
たとえば、ツーシャドウである森崎浩と高柳がサイドの開いてマークを連れていくとそのスペースを狙って寿人がポストプレイに入ってき、ポストを受けた寿人の元へ今度は両サイドのどちらかの選手か(リハンジェ、服部)もしくはボランチ(青山、森崎和)がボールを受けにくる。もしくは、槙野、森脇がボールを持って上がってくると、サイドの選手が受けるための引いてきたエリアに対してツーシャドウが入ってきてボランチ経由でボールを受け取る。
などなど、スペースを作る動き、スペースを狙う動き、そしてそのスペースでボールを受けた選手をフォローする動きが非常にピッチ上で目立っておりました。逆に言うと、J1の上位レベルのようなスリーからの更なる連動や、細かい流れるようなパス交換はありませんでしたが、このワン、ツー、スリーを徹底することにより、必ずいつかはほころびがでてくるという丁寧な動きを続けておりました。
先制点は実にその動きが顕著に結果に現れたわけでありまして、
ワン:
ツーシャドウはボランチがドリブルであがっていくスペースを作り、寿人は中央のスペースを作るためにマークを引き連れてサイドへ逃げる動き。
ツー:
寿人が作ったスペースに猛然と走りこむ森崎浩と、森崎和は中央をドリブルをしかけてサイドに開いた寿人へパス。
スリー:ボールを受けた寿人はスペースへ走りこむ森崎浩へダイレクトの落とし、このとき、左サイドにはゴール前へフリーで走りこむ服部。
このワンツースリーはボールを受けた森崎がそのままシュートしたことによってツーで既に完成系に至ったわけなのですが、思わず感嘆の声をあげてしまうほどの奇麗な崩しでした。福岡は人数が足りなかったわけではなく、2人に対して6人の守備陣が反応していたのですが、寿人と森崎の動きにまったくついていけていませんでした。
これは個人批判ではなく、あくまで司令官に対する質問なのですが、それにしても、山形は、寿人のポストやスペースへの動きに翻弄され、更には森脇のシュートがポストに当たった際にも、その前のプレイで簡単に飛び込んで行って森脇のシュートフェイントに交わされ、以前から彼の守備力のなさをこのサイトで散々と指摘しておりますが、それでもまだ、3バックの中央という非常に大事なポジションで使われるほど司令官に見出されている守備能力とは一体どのあたりなのかというのを知りたいですね。彼はどちらかと言えば攻撃に特化する選手だと思うのですが。そういう意味では布部も同じでありまして、3点目を失うきっかけになった左サイドでの服部のドリブル突破を許したのはまぎれもなく布部です。
広島の3点目も実に秀逸でありまして、服部がドリブル突破をした際に福岡のディフェンスはすべてが寿人の方へ向いていましたね。その前のプレーのフリーキックを蹴った森崎浩に対しては誰もついておりませんでした。森崎浩はフリーキックがバーに当たった瞬間は頭を抱えたかもしれませんが、再びシュートチャンスが訪れた時にははずしませんでしたね。きれいなシュートでした。
福岡は守備はともかく、攻撃はホントにもったいないシーンが続出でありまして、せっかく黒部、大久保という高い選手が中央に構えていて広島の3バックを中央に引き連れているんですが、すべてがさっきの広島の例で例えると「ワン」で終わっていました。広島としては3バックという特性上の問題でもある、両サイドのスペースというのはいかんとも守りづらいところ。中央の二人が広島ディフェンスを引き連れることによってそのスペースが空いていたのですが、そこを狙うべく選手がほとんどいなかったのがホントにもったいなかったと思います。
ボールのないところでそのスペースを狙う事により、たとえボールは引き出せずとも、相手の選手を引きつけていくだけで、タレイ、城後が動けるエリア、狙うエリアというのを作ることができます。いや、むしろタレイ、城後、鈴木がそういったところを狙う動きをしなければならないのかもしれませんね。鈴木は前半で替えられましたが、戦術、パートナーとのミスマッチが非常にかわいそうでしたね。後半に田中が入ってサイドの動きを活発にしたのがその現れでしょう。
ミスマッチと言えば、後半にいつものごとく続々と投入されるパワープレイ要員なのですが、先発でボランチに入っていた鈴木、城後、タレイとの総入れ替えの結果、田中が放り込みの船頭となっておりました。この試合ではフリーキックなどのミスが多かったかもしれませんが、タレイを残すという手はなかったですかね、もしくはこの最終形を念頭において鈴木を残しておくとか。刻一刻と変化するピッチの状況に合わせた戦いをするのも必要なのですが、ビハインド時の点の取り方や最終局面での戦い方を頭に描いていると、交代選手ももう少しうまくやりくりできるのではないかと思います。
...と、司令官ばかりを指摘しておりますが、後半ロスタイム前のハーフナーのシュートは決めなければいけませんよね。ま、福岡の選手も口々にインタビューで答えておりますが、あのようなひとつひとつのチャンスを確実に決めること、そして目の前でマーキングした選手には絶対に仕事をさせないこと、この2つが成し遂げられるだけでも戦況は変わるのでしょうが、それができない状況だからチーム組織で何とかしなければいけないんですけどね。...と結局司令官に戻ってしまったわけなのですが(笑)
いずれにしても、広島の強さが際立った試合ではありました。次節の鳥栖はどのようにしてこの広島を相手にするのかが楽しみです。

コメント
まあ、勝てる要素が見付かりませんので当然の結果。
鳥栖さんへ広島対策の参考に成り得たかどうかも怪しい試合ですが…
それにしてもどの様な事情があるか解りませんが、
落第が確定しているにも関わらず行われる奇妙な追試。
あと二試合どんなスタンスで観戦すれば良いのやらorz
「大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。
個性を生かすシステムでなければ意味がない。
システムが人間の上に君臨することは許されないのだ。」
とはオシム爺の言葉ですが、リティに聞かせてやりたいよ。
Posted by お疲れ様です。 at 2008年5月14日 18:03
いつもコメントありがとうございます!
>どのような事情
すみません、私の勝手な想像なのですが、ここまで問題をひっぱるとなると契約上で何か金銭面に関わる大きな問題が残っているのではないかと詮索を始めたくなるわけです。解雇した際の違約金とか、辞任した際の年俸の辞退など。
社長は単に、自分がいる間に予実で悪い結果を残したくないのだと思います。そのあたりがチームの将来や今期の昇格などと無関係に、単なる今年度の"数字上の黒字"を求めているのではないかと思うのです。
また、コメントにもありましたように、システムは自らのチームの選手(個性)と、相手との関係で戦略を練るものであります。リティは広島の戦い方に対して3バックがあわないというのを感じ取ることができなかったのか。
もうひとつ、布部や中村のコメントなどに「個人の対応力の問題」などの文字を見ると、周りから見ているサッカー観と選手たちのサッカー観が違うのかなとはちょっと思いました。リティや布部が言うように個々の能力で勝てるならば、組織はいらないと思います。個々の能力で勝てないから組織でやらなければいけないわけであって、そこを精神力や個々の力のアップで求めている以上は、同じ過ちの繰り返しになると思います。
私は断言しますが、布部に香川を止めることはできないと思います。彼は守備の選手ではありません。勘と経験でボランチはできるかもしれませんが。
福岡サポータとしてのもどかしい気持ちはお察し申し上げます。
我々も2003年は暗黒の時代をすごしていますしね(笑)
ただ、我々の暗黒時代は選手の質がそろっていなかったからですね。
選手がそろっているだけに今の福岡サポーターのみなさんの方がもどかしいかもしれませんね。
Posted by オオタニ@KS.net at 2008年5月14日 22:42
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