アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本 (レベスタ)

2008年5月 7日 13:09

2008-11 アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本

互いに前節に大敗を喫してしまい守備の立て直しが必須とされる両チームの戦い。九州ダービーとタイトルを打たれた試合ではあったのですが、目の前の敵よりも如何に自分たちのチームの力を発揮して戦う事ができるのかという試合であったのですが、思わぬ形でロアッソ熊本の勝利と相成りました。

まず、ロアッソ熊本ですが、攻撃面ではボールを持って隙を見つけるとロングボールを福岡のディフェンスラインの裏へ送っておりました。ただ、その攻撃が実効的であったかというと、中山が長野や柳楽に競り負けていたので必ずしも組み立てに直結するわけではありませんでした。しかしながら、そのセカンドボールを福岡が完全に支配していたかといえばそうでもなく、時折、熊本にとっても好都合な状態が作れていました。極端な言い方をしてしまえば熊本にとっての攻撃の起点はルーズボールを拾ったエリアと言ってもいいかもしれません。熊本としては、サイドバックなどをあげて人数をかけて攻撃に手数を加えるわけではないので、下手にボールポゼションをとって相手にとって高い位置でボールを奪われるよりは、蹴り合いの試合にして元々組織的ではない福岡の守備を乱す事ができれば自ずと崩れるという意識があったように思えます。

実質、その攻撃が効果を表すわけでありまして、1点目も4点目も上村からのロングボールを高橋の技術力(トラップの見事さ!)であまりにあっけなく得点に結び付けてしまいました。ロングボールに対処できなかった柳楽と宮本は周りが見えていなかったのか、あまりに簡単にボールに飛び込んでしまいましたね。それにしても、高橋の落ち着いた決定力は見事でした。もちろん、フリーキックも圧巻でしたが。

熊本の守備は特に後半から顕著になっていたのですが、意外にもサイドの選手に対しては特に厳しくマークをつけず、ボランチに入ったボールに対しては確実に人数をかけてプレスに入ってしました。なるほど、鈴木、タレイというところから長短のパスを織り交ぜられると対応がやっかいになります。おそらくそのパスの起点をつぶす事によってグリフィスの飛び出しや田中、久永へのスルーパスを未然に防ぐという狙いがあったように思えます。鈴木やタレイが前を向けずに後ろに下げると、福岡のディフェンスラインはフィードに難があり、また、フォワードを狙うにしても距離の長いボールになりますので、上村や河端、矢野と言ったディフェンス陣がしっかりと跳ね返す事ができておりました。

サイドにマークをつけずとは言いましたが、このからくりは、久永や田中にボールが入っても福岡のフォロー(ボランチやサイドバック)が遅いため、ワンツーや彼らのスルーパスなどで完全に突破される危険性は非常に少なく、ボールが入ったときについた選手が1VS1で飛び込んでしまわずに時間さえかける事ができれば、中央の守備をそろえたり、福岡のフォローへの対応も可能となります。また、久永や田中は圧倒的なスピードや圧倒的な技術(フェイント)でかわし切るタイプではなく、ドリブルで突破する際に"間"を取りつつ、相手の動きを読んで逆に動いてかわすようにして抜いていくタイプですので、ディフェンス側さえ誤らなければある程度の時間を稼ぐ事ができます。よって、必要以上にサイドを警戒するよりは、このようにボールの出どころである鈴木とタレイの局面でつぶす方が効果的ではありました。

前半終了間際の福岡の2点目がタレイから飛び出した中村へのフィードである点、鈴木が前を向いてドリブルを始めるとファールで止めざるを得なかった点などを考えると、ボランチに対するプレスはもしかしたら後半から修正が入ったのかもしれません。ちなみに、福岡の2点目は熊本にとってはタレイのフィードに対して飛び出したキーパーの小林が触れることができなかったのが致命的でしたね。

上村は2点をアシストしたのはよかったのですが、福岡の1点目はその上村がマークについていた大久保を完全に見失っていました。このプレイの前にちょっとした小競り合いがあったのでたまたま上村を見ていたのですが、コーナーキックが蹴られる瞬間に前ではじこうとして大久保よりも更に前に出すぎてしまった結果、頭を飛び越えてフリーにしてしまいましたね。ある意味、得点も失点も彼の出来次第で左右されるチームですね(笑)

さて、よく考えると、このコーナーキックもタレイが蹴ったボールですね。福岡は、現代サッカーとはちょっと離れますが、彼を完全な司令塔において、彼のためのチームを作りあげる方が勝ち点にはつながるような気がしますね。そのためにも相方には守れるボランチがいればと思うのですが、どうしても福岡の両ボランチは攻撃に特化してしまって、中盤での守備に貢献できません。

また、この試合でちょっと目をみはったのが小森田。彼も元福岡の選手でありますので、御礼参りというにはちょっと遅いかもしれませんが、きっちりと決勝ゴールという形で恩返しを行いました。彼は、福岡や大分時代には、ディフェンスラインの前にいた状態でボールをさばくだけでなかなか運動量が上がってこなかったのですが、今日の小森田はロングボールが入る際には、高い位置にポジションを取ってセカンドボールを狙ったり、時には自らロングボールを競ったりと、積極的に攻撃に関与しておりました。そのような運動量がチャジホが左サイドを突破した際にニアに飛び込んだゴールにつながりました。筆者としてはまったく動かない選手であるような印象であったので、この試合の小森田の活躍は目をみはりましたね。ボランチでありながらも攻撃に特化するという彼に与えている役割がうまくはまっているのでしょう。

福岡は攻撃の際に、ディフェンスラインの裏を狙おうというプレイが多くて、大久保や黒部という選手を生かす事ができませんでした。彼らが足元でキープすることによって、味方の押し上げや、起点より前方への飛び出し等が期待できるのかもしれませんが、すべてのボールがポストプレイヤーとなるべき選手の上を越えたり、横へ展開されたりしております。もっと足元へ入れてみたらおもしろいのになとは思っていました。

福岡の守備ですが、相手の狙い目は裏へのロングボールであることは明らかであったはずです。相手の明確な目的に対して対処の方法を確立できていなかったのが悔やまれますね。特に、高橋がロアッソの攻撃の軸...いや、攻撃はそこからしか成り立たないことは明白であったにも関わらず、その高橋にロングボールを通されていとも簡単に決められたのは十分反省の余地があるのではないでしょうか。得点にはなりませんでしたが、後半開始早々に左サイドにいた上村からのアーリークロスを高橋がフリーでヘディングした際に、マークの確認がまったくできておりませんでした。このように交替で入った山形とセンターにしぼった宮本のコミュニケーションのなさも気になりました。

司令官は、サイドの選手がえぐってクロスを中央の選手が決めるという、いかにもなドイツ的な戦い方を好んでおりますが、なかなか福岡では浸透しきれません。もしかしたら、いまの福岡は、昨年の愛媛のように快速ツートップで組んだ方が相手チームの裏へのフォローが分散されるので点につながるかもしれませんね。2点差があって相手が中央を固めてきた際には、大久保、黒部、ハーフナーにクロスをあげることによってゴールのチャンスが生まれてはいましたが、90分間できる戦い方ではないですからね。

この敗戦によって福岡の司令官が苦境に立たされた事は言うまでもありません。これからどのようにチームが向いていくのでしょうか。

 

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