アビスパ福岡 VS サガン鳥栖 (レベスタ)
2008-07 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖
「好事魔多し」
サガン鳥栖サポーターにとっては身に堪える試合、アビスパ福岡サポーターにとっては溜飲の下がる試合になったのではないでしょうか。これまで、開幕前の不安から考えると、ここまで思いの他順調に勝ち点を重ねてきた鳥栖と、開幕前の期待から考えると思うようなサッカーができずなかなか勝ち点を伸ばす事ができないでいた福岡。両チームのダービーを迎えるに当たっての思いとは裏腹に、その試合の行方は実に思わぬ形で決着をつくこととなりました。
福岡は前節までのスタメンから大幅に選手を入れ替えて来ました。入れ替えてきたスタメンが前回の岐阜戦の後にエントリーした、筆者が考えるもっとも福岡が安定するスタメンというのが...。ダービーで、しかもそのメンバーによって完封負けを喫するというのが非常に皮肉でしたが(苦笑)
鳥栖は、試合開始当初から、これまでの細かいつなぎで崩すスタイルではなく、どちらかと言うと長いボールがいつもより多い状態での攻撃となっていました。というのも、その答えは簡単で、福岡が高いディフェンスラインをひいてきたので比較的裏を狙うボールが通っていたからです。地道に細かいパスで回り道をするよりも、直接ゴールに近いところでボールを受ける事ができるならば、その道を選ぼうとしてしまうもの。シンヨンのオフサイドが多かったのも、裏を一発で狙おうとする動きが多かったから故ですよね。
ただ、福岡もディフェンスラインが刷新した事によって、思っていた通り、前節よりもディフェンスラインが最終局面で強くなっていました。鳥栖も退場後に人数の不利がありながらもサイドの深いところや、ペナルティエリアまではしぶとくボールを運んでいきました。しかしながら、宮本、柳楽という守備に長けている(当たり前ですが)選手が立ちはだかるので最終的には自由な動きができずにブロックされていました。心なしか長野も思い切りのいいプレイができていたような気がします。
鳥栖のディフェンスラインも、これまでどおりに激しくプレスをしかける中盤とのギャップがないようにコンパクトにラインを保っていました。ただ、逆にこのコンパクトなラインがグリフィスや田中の動きが生きる状態を作ってしまったともいえます。グリフィスや田中はマンマークにつかれたり、ディフェンスラインを引いて守られるとスペースをつけなくなるのでなかなか彼らのプレイが生きづらいところ。特に田中は、岐阜戦では大久保、黒部などの味方にスペースをつぶされてしまって仕事ができる状態ではありませんでした。グリフィスと田中の動きを制することに難儀したのは、中盤のプレスを掻い潜られたり、ディフェンスラインからのロングボールによって裏のスペースを上手く使われたところだと思います。退場シーンも、柴小屋がグリフィスに触れていたかどうかはともかくとして、裏を完璧に取られていました。変わって入ったパクも裏に抜けるグリフィスや田中への対応に苦労していましたね。途中、加藤を下げてまでも義希を最終ラインに置いたのは、攻撃の選手を入れる意味もあったのでしょうが、スピードのある選手に対応するという意味で実に的確なベンチワークだったように思えます。
福岡にとっては試合の展開が非常に好都合になりましたね。福岡が一番怖いのは、攻めなければならない状態になったときに攻守のバランスが崩れること。攻撃に注力してしまうと、どうしても前がかりになってしまいがちでリスクマネジメントに欠けてしまい、反撃を食らうことが多くなってしまいます。もらった得点とは言え、先制点と追加点を奪えたことは、その後の時間を精神的な負荷なく守備に注力をすればよくなり、いいところでボールを奪えば、攻めあがってきた相手の裏を単純に狙うことができるので余計に田中とグリフィスが更に生きることになります。
失点についてですが、筆者的には加藤のミスはボールを奪われた事ではないと考えます。ボールを奪われたシーンももちろんやってはいけないプレーですが、そのボールを取り返そうとしてグリフィスに対して簡単に飛び込んでしまいました。これが一番よくなかった対応だと思います。もし、グリフィスが味方のパスによりあの位置でボールを受けて加藤がマークについたのであったら、彼はボールに飛び込まずに時間をかけて味方の守備陣系が整うまで粘りのディフェンスを見せるはずです。ミスでボールを失ったことによって冷静さを欠いて奪いに行こうとしたプレイが田中へのアシストにつながりました。
鳥栖の攻撃ですが、谷口の投入して3トップにしたのは、退場して人数が足りなくてもこれまでと変わらず繋ぎとロングボールの双方を織り交ぜて攻撃を組み立てていた状態から、もっとゴールに近いフォワードの位置で勝負をしようという意図に切り替えたのだと思いました。ただ、それにしては依然とつなぎにこだわる部分が多かったように思えます。攻撃の手順として、どちらが鳥栖らしいかと言えばもちろん素早いプレスから高い位置でボールを奪い、細かく繋いでオーバーラップを交える攻撃がよいというのは実に明白です。しかしながら、この試合は2点リードされて、1人少ないといういつものサッカーが出来ない事態であり、いわばギャンブルをしかけないといけないような状態になっております。そのための3トップで、ロングボールの放り込み続けるのも辞さずの構えだったのでしょうが、現場の動きがベンチの思惑とはちょっと違った部分もあったのではないかなとは思いました。
結果論でしょうが、前線にフィジカルに強い選手がいたので、もっと単純にクロスや長いボールを入れてよかったですよね。サイドで1VS1になっても、ゴール前に味方の選手がそろっていたので必ずしも目の前の選手を抜く必要ありませんでしたよね。ガンバ大阪の橋本は右サイドバックに入ったときは、タイミングのいいオーバーラップを見せてボールを受けた後に、相手を交わしきることないまま実にいいタイミングでクロスを上げています。相手を抜くことはクロスを上げる状態を作る手段の一つであって、必ずしも目的ではありません。キムシンヨンが精神的に落ち着いて試合に望める状況を作りだしたいですよね。
とにかくこの試合の鳥栖の選手はミスが多かったと思います。大小様々なミスがありましたのでこの試合で勝てなかったのは当然の結果だと思います。ただ、選手たちが口々にしていた「ミスが原因であり、技術面や戦術面での問題ではないので次の試合に影響ない」という考えはちょっと危険かなと。今回のミスは草津戦では表立っては目立たなかった積極的なミス(シュートミス、パスミス、連携ミス)から受動的なミス(キャッチミス、トラップミス、キックミス)とミスの種類が変わっております。これらの受動的なミスは積極的なミスに比べて精神面に依る所が大きいです。ミスが原因だから次はこのような試合にはならないという事ではなく、このミスが蔓延する状態になった原因や精神状態、試合への入り方をしっかりと分析して、技術面でも心理面でも不安のないようにしっかりと次の試合に備えて欲しいです。
福岡も、同様にこの試合の事は忘れて、今日のスタメンで更にバランスよく守備と攻撃の時間帯を自らのイニシアチブによって作り上げることが重要ですね。グリフィスと田中が生きるためには大久保はどのような動きをしたらいいのか。タレイのよさを引き出すために久藤、久永、中村、宮本はどの位置で構えたらいいのか。福岡は攻撃のポイントであるグリフィス、田中、タレイを生かす形で全体を構築すれば自ずと守備も安定すると思います。彼らは個々の能力が非常に高いので、局面において人数をかける部分を間違えなったら、必要最低限の約束毎さえ守ることができれば、戦術に依らなくても攻撃も守備も十分に戦える事ができると思います。
最後、筆者の感想ですが、博多の森のピッチがいつもよりも芝が短く、そしていつもよりもボールが弾んでいたように思えます。赤星は福岡大学ですので博多の森でも何度となく試合をした事があるはず。彼の想定でのボールの動きと少し違うところがあったのではないでしょうか。プレー、環境、共に慣れが生んだ悲劇とも言えるかもしれません。ただ、2点目を取られた後、特に後半に何回もあった赤星のファインセーブはこの試合を最後まで分からないと思わせた要因でもあったと思います。
今年最初の九州ダービーはおよそ、予想もつかぬ展開となってしまいました。次回の対戦までには互いにチーム状態をあげていき、技術と精神の充実した戦いであって欲しいですね。

コメント
去年から一方的だったり、自ら墓穴を掘ったり、審判に壊されたり(笑)…
今年はお笑いの要素まで追加されました。
次こそはお互いにヒリヒリする様な、これぞダービーという試合が見たいな。
ハナシカワルケド、
やっと九州リーグも開幕しましたね(ニヤリ)
by今年は福岡市での開催が無い事を悔やんでいる某福岡サポ
Posted by お疲れ様です。 at 2008年4月22日 02:50
>今年はお笑いの要素まで追加されました。
「お笑いの要素」って思わず笑ってしまいましたよ(笑)
まったく第三者の視点からあのプレーを見るとお笑い以外の何者でもないですよね^^;
いつぞやの博多の森での山形のロスタイムゴールでの試合や、鳥栖で伊藤彰のゴールを守りきった試合など、熱く燃える戦いは幾度となく繰り広げられています。こんな試合が見たいですね!
九州リーグですが、ダービーの日にあっていましたね!
日程がかぶっていてなかなか行けないのが残念ですが、とりあえず新日鐵大分が勝利をあげたのでよしとします(笑)
Posted by オオタニ@KS.net at 2008年4月22日 08:01
お笑いの要素・・・。僕は患者さんに「あんなプレーばして。真面目にしよらんちゃなかと。」と怒られてしまいました。一般の方にはお笑いというより不真面目に映ったようで・・・。
しかし、オオタニさんのブログはどこよりも分析が勉強になります。すごいですね。
九州リーグ。九州INAXは勝てません××ヾ
Posted by かいぼー at 2008年4月22日 08:40
あららら。。。
我々は選手は一生懸命にやっているというのは知っているのですが、見る方によってはそういう風にも映ってしまうんですね。そういう考え方をされると、スポンサーに営業に行くときなんかもつらいものがありますね。やはり、ミスというのは可能な限りなくさないといけないですね。先日のミスも何年に一度もないようなプレーですからね。
九州INAXに限らず、Kyuリーグに昇格してきたチームはどうしてもレベルの違いについていけずに1年で降格するチームが多いですよね。久しぶりに佐賀から昇格してきたので、なんとか踏ん張って欲しいですけどね。
私のBlogは文字が多いだけで中味はないんですよ…って一回2ちゃんねるで言われた事があります(笑)読んでいただけるのがすごくうれしいです。ありがとうございます
Posted by オオタニ@KS.net at 2008年4月22日 20:15
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