サガン鳥栖 VS ロアッソ熊本 (ベアスタ)

2008年3月31日 13:20

2008-04 サガン鳥栖 VS ロアッソ熊本

強い雨と吹きつける強風という生憎のコンディションとなってしまった今年初のロアッソとの戦い。試合が終わってから冷静に振り返ってみると、試合をコントロールしていたのは鳥栖のように見えて、実は熊本の方だったのかもしれません。

序盤は鳥栖の出足が鋭く、熊本のディフェンスラインに対してまでも厳しくフォアチェックに行く積極的なディフェンスで主導権を握っておりました。ボールの奪いどころとしては喜名と小森田のボランチのところで奪えていたのが良かった所でありまして、ここで奪う事ができていたので、相手にフォワードまで繋がれることなく、また、こちらもいいところから攻撃を開始することができてリズムもよかったと思います。ただ、風下に立ってしまうと、熊本の攻撃をもろに受けていました。前半、あれだけ機能しなかった小森田と喜名がボールをだす拠点になって機能していたことを考えると、前半のうちに1点しかとれなかったのが最後まで利いたような気がします。

このように、前半は風上に立っていたこともあり、細かいつなぎにフリーランニングの選手も連動して小気味よくつなげていたとは思います。しかしながら、決定的なチャンスを作り出すことができなかったのは、熊本の統率が取れたディフェンスラインと集中力。筆者的には、この試合のマンオブザマッチは河端じゃないかと思うくらい、彼が非常に聞いていました。上村が競り合いに行ったカバーを彼がこなすことによって鳥栖のチャンスの芽を随分とつぶしていたと思います。クロスがあがっても、熊本のディフェンスラインはいわば4人のセンターバックのような人選であったのでかなりの確率ではじき返されていました。

ディフェンスラインと言えば、熊本はよく研究していると感じたのは、オーバーラップする日高と高地のスペースをつこうとの考えがあったのかフォワードの中山と高橋がよく両サイドへと開いていました。通常はフォワード同士は近くにいてふたりで崩すことが基本なのですが、互いに両サイドへ開いてボールを待っていたのは、どちらかのスペースの隙をつこうという考えだったのかなと。鳥栖の戦い方に合わせる動きをやられていましたね。

もうひとつ、熊本が鳥栖を研究しているなと思ったのは、清水がボールを持った時には、オフサイドトラップを狙って非常に高いラインを敷いてパスをださせない動きをしておりました。彼は長い距離のパスを通して決定的な仕事を行う事ができる選手ではありません。小刻みに繋いでフリーの選手へショートパスを送るという的確なプレイの方が得意な選手です。ですので、サイドでボールを受け、裏のスペースがある場合に狙いたくても、一瞬躊躇してしまっていましたね。

ただ、谷口もキムもラインを意識して飛び出しのタイミングを計っていましたし、逆サイドに通るくらいの勢いでもいいですので思い切ったパスを素早く出して欲しいところでした。躊躇してしまう事によって守備の人数がそろい、段々とアドバンテージがなくなっていきましたね。

熊本のこの高いディフェンスラインは、本来は一度でも破ることができたら得点に繋ぐ事ができる諸刃の剣であるはずです。恐れずに繰り返し裏のスペースを狙う事によって相手のディフェンスラインもほころびがでてきます。今日の清水にはチャンスを確実に生かそうとするあまり、ボールを失う事を恐れてしまっていましたね。

清水とは逆に軽率なプレイが目立ったのが高地、義希、衛藤といった攻撃のタクトを振るう面々。特に同点に追いつかれてからは何を焦っているのか、パスミスとポジションミスが非常に多くなりましたね。というのも、後半に入ってからは、フリーランニングで自由に動く事が返って仇となってしまって、中盤に大きなスペースを作ってしまっていました。衛藤、義希が高い位置を保って攻撃に参加することによってシュートで終わればいいのですが、ボールを奪われてしまうとカウンターの機会を作ってしまいます。前半は運動量もあるので中盤も組織が崩れることなく保っていたのですが、後半になると中盤の組織がやや崩れていたように感じました。一発でダイレクトでつなごうとするあまりに、悪い意味であまりに"簡単"にプレイする姿も多く見られましたし、単純なパスミスも見られました。

野崎は目立たなかったかもしれませんが、自由に動く高地のカバーに奔走していて、目立つ機会を与えられなかったと言った方がいいかもしれませんね。本来は野崎の突破ができるような状態にしてあげたかったのですがね。チーム事情と天候がそのようにさせてもらえなかったですね。

中盤の底を支える義希と衛藤の動きは今後の戦いの上でも核となるものです。得点に結びついてはいませんが、互いに隙を見てフォワードを追い越す勢いで前線に顔を出して行くのは、相手を崩す上では必須となるプレイだと思います。だからこそ、崩したときのシュートへのイメージと、彼らの動きを把握してカバーリングする清水と野崎の位置の選手が重要となりますね。無論、サイドの彼らが単独で突破したり、決定的なパスを出したりできるならば前線4人で攻撃が成立するのですが、そういった力がないので攻撃は今後も全員で作り上げなければならないと思います。

フォワードでは、前回のテレビ観戦でも述べたのですが、キムシンヨンがフィットしていないのが気になります。チームのメンバーが欲しい位置、欲しいボールの質に対する要求にこたえられていません。藤田が戻ればその辺りの負担がなくなってよりストライカー的な仕事をこなせるのかもしれませんが。。。キムが得点を取ったのはロングボールに対する彼のがんばりと、個人の身体能力で奪った得点です。決して熊本を崩してとった得点ではありません。そう考えると、鳥栖の得点力の低さはちょっと気になりますね。

そういえば、鳥栖は、ミドルシュートが少なかったように思えました。雨の日の鉄則である、積極的にミドルシュートを放ち、キーパーのファンブルを狙うという意図はあまり見えませんでしたね。逆にロアッソは後半に入ると、小森田、喜名と強いミドルシュートを狙い、赤星のファンブルにあわや中山のゴールというシーンがありました。

今回は、自分たちのサッカーをしようとすることが、返って天候とのミスマッチになってしまった感があります。雨によるボールの判断ミスは前半30分くらいまでには修正をしてほしかった所。強風や雨に悩まされていたかもしれませんが、せめて後半開始くらいまでにはボールの質と流れ方、はね方などを体に埋め込んでほしかったですね。そうなればパスミスもなく爽快な攻撃を繰り広げていたかもしれません。

最後になりますが、前半の終了間際、鳥栖のゴール前で熊本の選手がファールを犯してプレイが止まりました。確かに、赤星がそのまますぐに蹴っていればカウンターのチャンスになっていたかもしれませんが、1点リードしている状況、そしてボールが収まらずにに熊本のペースだった事を考えると、岸野監督の早いスタートをという指示を制してまで、ゆっくりとリスタートした赤星の冷静さの方を推したいと思います。

今回の攻め急ぎとパスミスは、選手のみではなく、チーム全体が作り出したものだったのかもしれませんね。

 

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