デットマール・クラマー氏講演会(抄録) Vol.2
さて、クラマーさんの講演に続きまして、続きましてパネラーの皆様によるパネルディスカッションが行われました。
◆パネルディスカッション
司会:信川氏
パネラー:(ジャーナリスト)賀川氏、釜本氏、リトバルスキー監督、クラマー氏
<<賀川氏 談>>
私はジャーナリストとして現役ではないが...壇上から皆様の写真は撮ります → 会場笑い
(※筆者注 話を聞く中では賀川氏が一番ユーモアセンスと人格的風格を持ってらっしゃる気がしました。もちろん大年配だからというのもあるでしょうが。だからこそクラマーさんも賀川さんと長い付き合いができるのかなと思いました。)
いまのサッカーの何がメキシコ五輪時代と変わったかというと、いいスタジアムでいい雰囲気でやれる。芝生のスタジアムなんて当時はなかった。昔、平和台にアーセナルが来たときには、でこぼこのグラウンドであったので1-0であった。昨日のスタジアムだったらぼろ負けしている → 会場笑い
◆ サッカーに関して一番印象深いこと
<<クラマー氏 談>>
サッカーに関して一番印象深いのは9歳の時のクリスマスプレゼントでサッカーシューズをもらったこと。
<<釜本氏 談>>
サッカーをやったら外国へ行けると聞いてアジアユースで外国へ行ったとき。
それ以来は苦しいことばかり → 会場笑い
<<リトバルシキー氏 談>>
最初にもらったサッカーシューズはサイズが大きくて靴下を詰めて、スキーの板みたいな状態だったこと。もちろん、クラマーさんから教えてもらったことも。
ワールドカップの決勝で2回負けた。取り戻すのにもパワーがいる。自分も取り戻してパワーを持ち直して3回目の決勝では勝てた。サッカーに24時間打ちこめた。クラマーさんもトライすることと言ったが、ネバーギブアップが大事。
◆ 日本について国際的に成功するには何が必要?
<<クラマー氏 談>>
当時に比べて日本が成功するのは難しい。釜本は学生でデビューしたし、リティの言うようにすべてをサッカーにささげることが大事。
以前は横山さんが熱心に代表のコーチをしていた。
釜本もトレーニングを重ねていた。
留学して質を高めていた。
日本車とBMWの比較でも分かる。日本車は質が高いのでドイツでも売れる。
とは言っても時代は変化する。チームという事を念頭に置いてサッカーに対するエネルギー、犠牲を厭わないものがあればよい。チームのためにエゴを捨てること。フリーランニングのみではない、チームの一員としての責任。
<<釜本氏 談>>
昔はアマチュアでサッカー以外に勉強も仕事もあった。自分を高めるためのトレーニングをしていた。
今はプロ。自分が要求されているものを自覚しないといけない。
いまはストライカーが育たない。シュートの練習が少ない。ストライカーとしての動きがない。バックの人間がシュートの練習をしてもいけない。出し手と受け手の練習がある。チームとしての形が作れていない。Jリーグは外国人ばかりが得点王になっている。ストライカーを育てることが大事。
<<リティ氏 談>>
文化と教育が阻害要因となっている。ゴールスコアリング、国際的な選手も含めてフィニッシュ(ミスショット)に責任を負っていない。練習を重ねるのも必要だが、練習は他の国もやっている。
日本の教育は平等が強調されている。18歳でスペシャリストになるのは難しいかも。ドイツの成功理由は技術的、精神的にもだけど、恐れずにやること。何も考えずに「Just Do It」
<<賀川氏 談>>
私はちょっと違う考えでして。国民性、社会環境のせいにするのがよくない。
スペシャルの選手を出すのは難しいことではなく、釜本のような選手も出現する。「点を取らないとおもしろくない」という気持ち。ドイツもベッケンバウアーのような異端児もいるし。
ジレスは小さいのも特長ということで大選手になった。個性を伸ばすことが大事。
日本の文化は西から来ている。昔はラグビーが盛んであった。いまは西でもサッカーが盛ん。
◆信川氏 アビスパについてはどう思いますか?
<<クラマー氏 談>>
1試合しか見ていないので意見は言えない。ホーム、アウェーと試合を見ないとここでは言えない。
<<信川氏 談>>
これまでつらい12年間でしたが、何かアドバイスになることでも...。
※クラマー氏はあまり気が進まない様子でしたが、信川氏の熱意に押されたのか重い口を開きました。
<<クラマー氏 談>>
試合はすべての試合はいい試合はできない。良い時もあれば悪い時もある。やはり、試合を見ていないので簡単には意見できないが、手助けはしたい。交流はしたい。
<<信川氏 談>>
毎試合、ドイツにDVDを送ります → 会場笑い
<<釜本氏 談>>
アビスパの選手を私は知らない。12年間で選手をとっかえひっかえしている。選手が結果を出すためにはサポーターの皆様も必要。カップ戦で勝つことはあっても、リーグは難しい。メンタルもハードに。ガンバ時代にはすぐに「釜本やめろ」と言われていた(笑)サポーターは厳しい視線ももちろん必要だが、長い目で見て欲しい。
<<リティ 談>>
パーソナリティがキー、人がキー。コーチとして数ヶ月で結果を出すにはクラブのために生き、死を厭わない選手を選ぼうと思う。サポーターはそのことに気づくだろう。そういう選手を集めてスペシャルなチームを作る。
まずはワークハード。クラマーさんからのアドバイスを選手も信じて頑張って欲しい。
◆ 子供の頃のトレーニングについて
<<クラマー氏 談>>
小さい頃、ドルトムントでプレー、チェコ人がコーチだったが、コーチはサッカーにすべてをささげていた。他にはないのかと思ったが、女性にもささげていたかも → 会場笑い
それが私にも感染してしまい、そうこうしていいプレーができていた。
スキルは小さいころが大事。ヘディングの練習はボールをロープにかけて50回ほどジャンプしていた。ひとそれぞれ高さはあるけれど、グラウンドはみんな同じ高さ。芝生の下1cmでプレーする気持ちで。
ヘディングの練習をよくやっていると、いいヘッドプレーヤーができた。背の高さの不利を消せた。
<<賀川氏 談>>
戦時中、クラマーはパラシュート部隊であった。運動神経がある。私はパイロットをしていた。そういう縁もある。
今回、クラマーさん通訳が若い人物を指定したのは聴衆の前で通訳をやって成長してほしいからだろう。将来の学びのために。クラマーさんは常に何かを考えて物事をやっているひと。彼はステップを考えて物事をやっている。
(ここで、通訳がしどろもどろの理由が分かりました。賀川氏からのフォローは心の暖かさを感じました。)
日本協会に長沼、岡野をというのはクラマーさんからのアドバイス。FIFAコーチングコースでクラマーさんが30年ほど前に日本に置いていったのがいまのコーチング技術の上昇。
いろいろとクラマーさんのやり方がやっと分かってきた。いま分かったのは遅いけど(笑)
◆ 最後に一言
クラマー氏 「Just do It」
釜本氏 「前進あるのみ」
リティ氏 「Learn to love football」
