スウェーデンVSイングランドに見た世界のサッカー

2006年6月21日 00:39
今日の朝行われたスウェーデンVSイングランドはサッカーのおもしろみがつまった、世界のサッカーとはこういうものなんだなーというのが凝縮された試合だったように思えます。

◆ ミドルシュートの威力
この大会では中距離からのミドルシュートが成功する確率が非常に高いです。この試合でも前半にジョーコールがドライブ気味にミドルシュートを突き刺しました。遠い位置からでも枠の隅をとらえれば必ずゴールへと結びつきます。

クロアチア戦で中田英が数本のミドルシュートを放ちました。「いい試みだ」「惜しかった」「シュートが枠に行っていた」という感想が口々に聞かれました。

しかしそれではダメなんです

この試合でのジョーコールといい、ジェラード、ラーム、フリンクス、ロシツキー、カカ、デコ。世界で勝てるチームの選手はミドルレンジのシュートを次々と決めています。

あえて言います。中田のシュートはコースが非常に甘かった。あの場面で決めるか決めないかで試合の勝敗は決まります。ちなみに中田以外の選手は問題外ですよ。ミドルレンジからシュートを打とうともしないし、打ったとしても彼らのゴールはどうやら観客席にあるみたいですからね。

ジョーコールのミドルシュートが突き刺さるシーンを見てそんなことを感じていました。

◆ 監督采配で戦況一変
後半に入ってスウェーデンが攻勢にでます。コーナーキックからアルバックのヘッドで同点。その後も中盤から選手が次々と前線へ顔を出すようになってクロスもあがるようになってきました。セットプレイを軸にシュートがバーを叩くシーンも何回かあり、このままではスウェーデンが勝ち越しゴールを奪うのが目前になってきた矢先にイングランドが選手交代。

手薄になっていた中盤の人数を増やすためにルーニーをさげてジェラードを投入。ルーニーは不満を顕わにしていましたが、これが奏効して中盤のスペースを埋めることに。段々とスウェーデンのボール回しが厳しくなってきて、手詰まりでキーパーまでバックパスをする回数が増えてきました。

まさにこれが采配の妙。ジェラードはキーパーが飛び出した状態で打たれたシュートを体で防ぎましたし、一旦は勝ち越しとなるゴールを奪うプレーも。この采配による彼のプレーがイングランドの引き分けを呼んだと言っても過言ではありません。

采配の妙といえば、先日のスイスVSトーゴも同じような展開がありました。試合開始当初からスイスが圧倒的にボールを支配して先制点を奪いました。その後もトーゴの前線と中盤が空いていたスペースを利用して攻め立てるスイスでしたが、トーゴは前半25分にして早くも選手交代。クアミ・アグボに代わってムスタファ・サリフが入ります。この采配が大当たり。試合の流れががらっと変わってボールをトーゴが支配し、同点ゴールかというシーンが何度も演出されました。試合はスイスの勝ちに終わりましたが、監督としては人事を尽くしたと言った所ではないでしょうか。

◆ ミスのないトラップ、ミスのないパス、ミスのないシュート
もちろん、ミスがなかったら勝利にぐっと近づくのは当たり前のことです。プレーしているのは人間なのでミスをすることは仕方がありません。しかしながら世界で勝てる選手たちはここぞ!という場面でミスはしないし、フリーの状態...いわば誰も邪魔する者がいない状態ではしっかりとそのプレーを決めてきます。

この試合でのイングランドの2点目。ジョーコールがペナルティエリア付近でフリーでボールを受けました。ペナルティエリア前左サイド45度付近にはジェラードがフリーで待っています。スウェーデンを応援していた筆者はテレビで見ていても「まずい」と思いました。そしてジョーコールはそのフリーでいたジェラードへ綺麗なクロスをあげ、そしてフリーで待っていたジェラードは何のためらいもなくヘディングでゴールに突き刺しました。

このパスとヘディングは決してアクロバティックなプレーではありません。むしろいたって単純に見えるプレーです。しかし、彼らは何度同じ場面が訪れても何度となく決めることができると思います。ボールを止めて蹴る。これを幾度と練習し、そして試合中に練習と同じ事ができる技術がチーム全体としての強さだと思います。決定力不足と言われている部分は、いかにこういった基本技術がしっかりしているか。先ほどのミドルシュートもですが、狙ったところにボールを蹴ることができる確率がそのまま得点力として現れるのです。

日本の試合を見ているとトラップさえできればシュートチャンス...といったところでそのトラップができません。フランス大会の時も思ったのですが、代表チームの10番を背負った選手がトラップミスでチャンスを失う、ましてやトラップミスで相手にチャンスを与えるというシーンは...。世界で勝てるチームにはそんな 10番はいませんね。

◆ その場面に適したプレー、正確な判断力
強いチームは判断力がずば抜けて素晴らしいです。多少、チームの "色"というものがありますのでドリブルをしかけたり、パスでつないだり、長いボールを蹴ったりというのはありますが、ボールのつなぎにおいては至極単純。そのときに空いている選手(フリーになるような走りをした選手)をいち早く見つけては単純に、そして素早くその選手にボールを回します。これがまた難しいのですがいとも簡単に決めてきます。

ドリブルを仕掛けるときも、例えミスしたとしても決定的ピンチにならない場面、もしくはドリブルで抜いたら決定的チャンスを迎える場面、そういったところでしかアタックを行いません。センターサークル付近から無理にドリブル突破をはかったり、自陣ゴール前で危ないフェイント、ましてやおしゃれなヒールパスを見せたりというのはほとんど見ることができません。

パスというのは周りの連携があってからこそのプレーでしょうが、フリーの選手を見つけてその相手に蹴るのはこれもまた技術。華麗なパス回しに見えるのはその単純な技術の粋ですよね。まごまごとボールを持って時間をかけてしまう試合を見るとまだまだ技術が足りないのだなというのを感じます。

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