2008年九州Jリーグ4チーム選手相関

2008年5月15日 12:57

九州のチーム同士で、選手の行き来がないか調べてみたところ、このような結果がでました。

■福岡
なし

■鳥栖
柴小屋(大分)

■大分
ホベルト(福岡)

■熊本
小森田(福岡、大分)
矢野(鳥栖)
喜名(福岡)
有村(鳥栖、大分)
木島(大分)

福岡、鳥栖、大分は意外と選手が行きわたっていなかったですね。一昔前は、鳥栖はアビスパを出された選手を獲得することが多かったですよね。生津、三好、服部、ビスコンティ等々。

鳥栖としては、これまでは予算や地域性などを勘案して補強していたのが、技術やポジションなど、ある程度チームとしての思いの中で補強できるようになった証だと思います。サガンドリームスがチームを経営するようになって、大学卒の即戦力ルーキーも増えましたし、いわゆる生え抜きといった選手たちの試合出場率が格段に増えました。

逆にその路線をいま歩んでいるのが熊本。手短にと言っては失礼かしれないですが、近い地域で練習試合の相手にもなった当該対戦相手の中で戦力外になっている選手を獲得するというのは、その選手の特性もつかみやすいですし、チーム間の因縁を取り除けば実に理にかなった補強だと考えます。生活の拠点も大きく変わるわけではないですからね。

熊本サポーターは1試合、1試合の勝敗に左右されて一喜一憂するのではなく、身の丈経営でオラがチームを支えるという大きな観点で是非ともチームを見ていって欲しいと思います。

 

アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島 (レベスタ)

2008年5月12日 13:24

2008-12 アビスパ福岡 VS サンフレッチェ広島

前節、熊本に敗れた後、進退伺いを出した司令官に対して3節の猶予を与えた福岡経営陣。筆者の感覚では、J1への昇格を本気で目指しているチームにも関わらず、3試合...勝ち点9を失う事の重さをご理解されていない様子だと受け取りました。それは、監督の交代を急ぐか否かの部分ではなく、J2は勝ち点1どころか得失点差で涙を飲む事さえありえるリーグなのにも関わらず、猶予という形で時間を与えるという経営陣の方針です。もちろん、昨年のヴェルディのように司令官を変えずに連敗後チームを立て直した実例もあります。勝負はげたをはくまでは分からないのですけど、監督に預けるのか、いち早く手を打つのか、早めの方針を出さないと動ける部分も動けませんよね。少なくともこの広島戦で残された猶予のうちの1試合が結果を残すことなく消化されました。

福岡は広島に対しての防御策なのか、戦い方がうまくいかない事に対する戦術変換なのかは分かりませんでしたが、なんと今季初めて3バックで広島に対して挑んできました。しかも、前半開始当初は見る限りではほぼマンマークに近く、ストヤノフのオーバーラップに懸命にマーキングする黒部という珍しい構図も見てとれました。開始当初は目の前の選手に集中するという効果もあってか思いのほかしっかりと対応できているように見てとれました。

しかしながら、寿人のワントップに対し、マーキングに当たるのがゾーンで渡されていたのかもしれませんが、寿人が中央に入った時に3バックの中央に位置していた山形が直接見る形になりました。3バックの中央の選手がつり出されてしまうと、ケアする人間が誰になるのかという問題がやはり発生するのでありまして、前半の寿人のシュートがクロスバーを叩いたシーンはその問題点が明確に見てとれました。いとも簡単にスペースに向けて出されたパスと、そこを狙う寿人のスピードに追いつけなかった山形をフォローする選手はいませんでした。

このとき、他の選手はどうだったかというと、柳楽は一人余っていましたし(ツーシャドウの選手がまだ低い位置にいたから)、宮本はツーシャドウの一角の選手のマークを見ていました。5バック気味にという話だったかもしれませんが、久永はリハンジェ、中村は服部についているわけでありまして、山形をカバーできる要素はどこにもありません。これまでの敗因で1VS1の守備が原因と言っていた司令官は、再び、広島の攻撃陣に対して工夫もなく1VS1の弱さを露呈する形になったわけですよね。寿人がノートラップでシュートを打ちやすい左足が使えるエリアを空けていたのも余計に目立たせる結果となりましたね。

余談ですが、何年も前から言っているのですが、3バックにした時のサイドの選手で運動量、攻撃力、守備力がもっともバランスの取れている選手は大分の高橋と思います。

さて、広島の攻撃が素晴らしかったのは、必ず「ワン、ツー、スリー」までは動きが連動していること。

たとえば、ツーシャドウである森崎浩と高柳がサイドの開いてマークを連れていくとそのスペースを狙って寿人がポストプレイに入ってき、ポストを受けた寿人の元へ今度は両サイドのどちらかの選手か(リハンジェ、服部)もしくはボランチ(青山、森崎和)がボールを受けにくる。もしくは、槙野、森脇がボールを持って上がってくると、サイドの選手が受けるための引いてきたエリアに対してツーシャドウが入ってきてボランチ経由でボールを受け取る。

などなど、スペースを作る動き、スペースを狙う動き、そしてそのスペースでボールを受けた選手をフォローする動きが非常にピッチ上で目立っておりました。逆に言うと、J1の上位レベルのようなスリーからの更なる連動や、細かい流れるようなパス交換はありませんでしたが、このワン、ツー、スリーを徹底することにより、必ずいつかはほころびがでてくるという丁寧な動きを続けておりました。

先制点は実にその動きが顕著に結果に現れたわけでありまして、

ワン:
ツーシャドウはボランチがドリブルであがっていくスペースを作り、寿人は中央のスペースを作るためにマークを引き連れてサイドへ逃げる動き。

ツー:
寿人が作ったスペースに猛然と走りこむ森崎浩と、森崎和は中央をドリブルをしかけてサイドに開いた寿人へパス。

スリー:ボールを受けた寿人はスペースへ走りこむ森崎浩へダイレクトの落とし、このとき、左サイドにはゴール前へフリーで走りこむ服部。

このワンツースリーはボールを受けた森崎がそのままシュートしたことによってツーで既に完成系に至ったわけなのですが、思わず感嘆の声をあげてしまうほどの奇麗な崩しでした。福岡は人数が足りなかったわけではなく、2人に対して6人の守備陣が反応していたのですが、寿人と森崎の動きにまったくついていけていませんでした。

これは個人批判ではなく、あくまで司令官に対する質問なのですが、それにしても、山形は、寿人のポストやスペースへの動きに翻弄され、更には森脇のシュートがポストに当たった際にも、その前のプレイで簡単に飛び込んで行って森脇のシュートフェイントに交わされ、以前から彼の守備力のなさをこのサイトで散々と指摘しておりますが、それでもまだ、3バックの中央という非常に大事なポジションで使われるほど司令官に見出されている守備能力とは一体どのあたりなのかというのを知りたいですね。彼はどちらかと言えば攻撃に特化する選手だと思うのですが。そういう意味では布部も同じでありまして、3点目を失うきっかけになった左サイドでの服部のドリブル突破を許したのはまぎれもなく布部です。

広島の3点目も実に秀逸でありまして、服部がドリブル突破をした際に福岡のディフェンスはすべてが寿人の方へ向いていましたね。その前のプレーのフリーキックを蹴った森崎浩に対しては誰もついておりませんでした。森崎浩はフリーキックがバーに当たった瞬間は頭を抱えたかもしれませんが、再びシュートチャンスが訪れた時にははずしませんでしたね。きれいなシュートでした。

福岡は守備はともかく、攻撃はホントにもったいないシーンが続出でありまして、せっかく黒部、大久保という高い選手が中央に構えていて広島の3バックを中央に引き連れているんですが、すべてがさっきの広島の例で例えると「ワン」で終わっていました。広島としては3バックという特性上の問題でもある、両サイドのスペースというのはいかんとも守りづらいところ。中央の二人が広島ディフェンスを引き連れることによってそのスペースが空いていたのですが、そこを狙うべく選手がほとんどいなかったのがホントにもったいなかったと思います。

ボールのないところでそのスペースを狙う事により、たとえボールは引き出せずとも、相手の選手を引きつけていくだけで、タレイ、城後が動けるエリア、狙うエリアというのを作ることができます。いや、むしろタレイ、城後、鈴木がそういったところを狙う動きをしなければならないのかもしれませんね。鈴木は前半で替えられましたが、戦術、パートナーとのミスマッチが非常にかわいそうでしたね。後半に田中が入ってサイドの動きを活発にしたのがその現れでしょう。

ミスマッチと言えば、後半にいつものごとく続々と投入されるパワープレイ要員なのですが、先発でボランチに入っていた鈴木、城後、タレイとの総入れ替えの結果、田中が放り込みの船頭となっておりました。この試合ではフリーキックなどのミスが多かったかもしれませんが、タレイを残すという手はなかったですかね、もしくはこの最終形を念頭において鈴木を残しておくとか。刻一刻と変化するピッチの状況に合わせた戦いをするのも必要なのですが、ビハインド時の点の取り方や最終局面での戦い方を頭に描いていると、交代選手ももう少しうまくやりくりできるのではないかと思います。

...と、司令官ばかりを指摘しておりますが、後半ロスタイム前のハーフナーのシュートは決めなければいけませんよね。ま、福岡の選手も口々にインタビューで答えておりますが、あのようなひとつひとつのチャンスを確実に決めること、そして目の前でマーキングした選手には絶対に仕事をさせないこと、この2つが成し遂げられるだけでも戦況は変わるのでしょうが、それができない状況だからチーム組織で何とかしなければいけないんですけどね。...と結局司令官に戻ってしまったわけなのですが(笑)

いずれにしても、広島の強さが際立った試合ではありました。次節の鳥栖はどのようにしてこの広島を相手にするのかが楽しみです。

湘南ベルマーレ VS サガン鳥栖 (テレビ観戦)

2008年5月11日 18:26

自分達の戦いをするべく挑んで敗れた仙台戦。

相手の良いところを消すべく挑んで敗れた湘南戦。

どちらもJ1昇格を直接争うであろう相手との対決で敗れてしまいましたが、戦い方は全く異なります。選手たちのショックはどちらの方が大きいでしょうか。そして、次節の広島戦ではどのような形で挑んでいくのでしょうか。

鳥栖はアジエルという相手の絶対的エースに仕事をさせないように、山城をマンマークにつけ、岸野監督曰く「10-10で戦う形で」戦いを挑みました。この作戦ですが、中盤の位置では非常に機能していたと思います。アジエルに対して前を向かせない形を作ったり、パスカットを狙えたりというプレイは見せてくれました。しかしながら、肝心のゴール前でのマークはというと、なまじっか他の守備の選手が入るのでマークが甘くなる所がありましたし、何よりも高さという点でまったく対応できていませんでした。山城は元々が守備の選手ではありませんので、ボールを持って前を向かれたり、フィジカルの勝負になると、残念ながら彼がマンマークについている意義というのが感じられない状態になってしまいましたね。

菅野監督が試合直後にインタビューで語りました。

「むしろ積極的にクロスをアジエルに対していれるように」

「アジエルにひとりついている分、スペースができるから周りがそこを使うように」

このように、相手の方が一枚も二枚も上手でありました。実際、前半からも作戦空しくポストやバーを叩くシュートを何度も打たれておりました。徳島のドゥンビア、熊本の高橋のように、エース以外のところでは攻め手が薄いようなチームであれば効果的であったかもしれませんが、加藤、坂本、石原と強烈な選手たちが周りをサポートしている湘南相手では、この戦い方をすることによっていつもの守備組織がつくれないので、厳しかったかもしれませんね。

ただ、後半の終盤は2点差があったからとはいうものの、キムシンヨンが入ってからはボールポゼションしてシュートチャンスを作っていただけに前半からいつもの戦いができていればという思いは少なからず燻りますね。前半からいつもの選手が入っていればもしかしたら勝てたのではないかという思いは高まります。

攻撃面では、後半になって、再三クロスをあげていたのですが、野崎の低い位置からのクロスは可能性のあるボールを蹴ることができませんでした。チャンスをことごとくつぶしていた元凶にもなっていたのですが、キムシンヨンへのアシストとなった深い位置へのドリブル突破は非常に魅力があります。鳥栖はハーフの位置でパスが出せる選手、昔で例えるならば濱田のような仕事をするべき選手がいないので、チームとしての戦い方、チャンスができる方法というのがこのあたりに隠されているのではないかなとは思います。チーム全体でサイドの深いところからのクロスで藤田、シンヨンのシュートチャンスをもっともっと作り出したいですね。福岡戦でのパワープレイも実りませんでしたし、チームとして低い位置から一発でチャンスをつくろうというのはどうしても厳しいものがあるのかもしれません。

今回の試合は、あくまで結果論なのでしょうが、山城のアジエルへのマンマークとしての投入は、敗れて勝ち点を取れなかったという結果でしたので大失敗だったと考えます。ただ、岸野監督としては、いまの鳥栖がこういった相手に応じた戦い方ができるのか、湘南へそのやり方が通じるのかというのを試してみたかったのだと思います。そういう意味では、もちろんこの試合の分析が必要なのでしょうが、ただがっぷり四つで負けるよりは、何かのヒントにもなったでしょうし、今年の残りの湘南戦で2勝できれば価値のある敗戦だったと言えるのではないでしょうか。

ただ、それにしても、何かもやもや感が残る試合でしたし、この一戦がきっかけで歯車が狂わなければいいなとは思います。

アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本 (レベスタ)

2008年5月 7日 13:09

2008-11 アビスパ福岡 VS ロアッソ熊本

互いに前節に大敗を喫してしまい守備の立て直しが必須とされる両チームの戦い。九州ダービーとタイトルを打たれた試合ではあったのですが、目の前の敵よりも如何に自分たちのチームの力を発揮して戦う事ができるのかという試合であったのですが、思わぬ形でロアッソ熊本の勝利と相成りました。

まず、ロアッソ熊本ですが、攻撃面ではボールを持って隙を見つけるとロングボールを福岡のディフェンスラインの裏へ送っておりました。ただ、その攻撃が実効的であったかというと、中山が長野や柳楽に競り負けていたので必ずしも組み立てに直結するわけではありませんでした。しかしながら、そのセカンドボールを福岡が完全に支配していたかといえばそうでもなく、時折、熊本にとっても好都合な状態が作れていました。極端な言い方をしてしまえば熊本にとっての攻撃の起点はルーズボールを拾ったエリアと言ってもいいかもしれません。熊本としては、サイドバックなどをあげて人数をかけて攻撃に手数を加えるわけではないので、下手にボールポゼションをとって相手にとって高い位置でボールを奪われるよりは、蹴り合いの試合にして元々組織的ではない福岡の守備を乱す事ができれば自ずと崩れるという意識があったように思えます。

実質、その攻撃が効果を表すわけでありまして、1点目も4点目も上村からのロングボールを高橋の技術力(トラップの見事さ!)であまりにあっけなく得点に結び付けてしまいました。ロングボールに対処できなかった柳楽と宮本は周りが見えていなかったのか、あまりに簡単にボールに飛び込んでしまいましたね。それにしても、高橋の落ち着いた決定力は見事でした。もちろん、フリーキックも圧巻でしたが。

熊本の守備は特に後半から顕著になっていたのですが、意外にもサイドの選手に対しては特に厳しくマークをつけず、ボランチに入ったボールに対しては確実に人数をかけてプレスに入ってしました。なるほど、鈴木、タレイというところから長短のパスを織り交ぜられると対応がやっかいになります。おそらくそのパスの起点をつぶす事によってグリフィスの飛び出しや田中、久永へのスルーパスを未然に防ぐという狙いがあったように思えます。鈴木やタレイが前を向けずに後ろに下げると、福岡のディフェンスラインはフィードに難があり、また、フォワードを狙うにしても距離の長いボールになりますので、上村や河端、矢野と言ったディフェンス陣がしっかりと跳ね返す事ができておりました。

サイドにマークをつけずとは言いましたが、このからくりは、久永や田中にボールが入っても福岡のフォロー(ボランチやサイドバック)が遅いため、ワンツーや彼らのスルーパスなどで完全に突破される危険性は非常に少なく、ボールが入ったときについた選手が1VS1で飛び込んでしまわずに時間さえかける事ができれば、中央の守備をそろえたり、福岡のフォローへの対応も可能となります。また、久永や田中は圧倒的なスピードや圧倒的な技術(フェイント)でかわし切るタイプではなく、ドリブルで突破する際に"間"を取りつつ、相手の動きを読んで逆に動いてかわすようにして抜いていくタイプですので、ディフェンス側さえ誤らなければある程度の時間を稼ぐ事ができます。よって、必要以上にサイドを警戒するよりは、このようにボールの出どころである鈴木とタレイの局面でつぶす方が効果的ではありました。

前半終了間際の福岡の2点目がタレイから飛び出した中村へのフィードである点、鈴木が前を向いてドリブルを始めるとファールで止めざるを得なかった点などを考えると、ボランチに対するプレスはもしかしたら後半から修正が入ったのかもしれません。ちなみに、福岡の2点目は熊本にとってはタレイのフィードに対して飛び出したキーパーの小林が触れることができなかったのが致命的でしたね。

上村は2点をアシストしたのはよかったのですが、福岡の1点目はその上村がマークについていた大久保を完全に見失っていました。このプレイの前にちょっとした小競り合いがあったのでたまたま上村を見ていたのですが、コーナーキックが蹴られる瞬間に前ではじこうとして大久保よりも更に前に出すぎてしまった結果、頭を飛び越えてフリーにしてしまいましたね。ある意味、得点も失点も彼の出来次第で左右されるチームですね(笑)

さて、よく考えると、このコーナーキックもタレイが蹴ったボールですね。福岡は、現代サッカーとはちょっと離れますが、彼を完全な司令塔において、彼のためのチームを作りあげる方が勝ち点にはつながるような気がしますね。そのためにも相方には守れるボランチがいればと思うのですが、どうしても福岡の両ボランチは攻撃に特化してしまって、中盤での守備に貢献できません。

また、この試合でちょっと目をみはったのが小森田。彼も元福岡の選手でありますので、御礼参りというにはちょっと遅いかもしれませんが、きっちりと決勝ゴールという形で恩返しを行いました。彼は、福岡や大分時代には、ディフェンスラインの前にいた状態でボールをさばくだけでなかなか運動量が上がってこなかったのですが、今日の小森田はロングボールが入る際には、高い位置にポジションを取ってセカンドボールを狙ったり、時には自らロングボールを競ったりと、積極的に攻撃に関与しておりました。そのような運動量がチャジホが左サイドを突破した際にニアに飛び込んだゴールにつながりました。筆者としてはまったく動かない選手であるような印象であったので、この試合の小森田の活躍は目をみはりましたね。ボランチでありながらも攻撃に特化するという彼に与えている役割がうまくはまっているのでしょう。

福岡は攻撃の際に、ディフェンスラインの裏を狙おうというプレイが多くて、大久保や黒部という選手を生かす事ができませんでした。彼らが足元でキープすることによって、味方の押し上げや、起点より前方への飛び出し等が期待できるのかもしれませんが、すべてのボールがポストプレイヤーとなるべき選手の上を越えたり、横へ展開されたりしております。もっと足元へ入れてみたらおもしろいのになとは思っていました。

福岡の守備ですが、相手の狙い目は裏へのロングボールであることは明らかであったはずです。相手の明確な目的に対して対処の方法を確立できていなかったのが悔やまれますね。特に、高橋がロアッソの攻撃の軸...いや、攻撃はそこからしか成り立たないことは明白であったにも関わらず、その高橋にロングボールを通されていとも簡単に決められたのは十分反省の余地があるのではないでしょうか。得点にはなりませんでしたが、後半開始早々に左サイドにいた上村からのアーリークロスを高橋がフリーでヘディングした際に、マークの確認がまったくできておりませんでした。このように交替で入った山形とセンターにしぼった宮本のコミュニケーションのなさも気になりました。

司令官は、サイドの選手がえぐってクロスを中央の選手が決めるという、いかにもなドイツ的な戦い方を好んでおりますが、なかなか福岡では浸透しきれません。もしかしたら、いまの福岡は、昨年の愛媛のように快速ツートップで組んだ方が相手チームの裏へのフォローが分散されるので点につながるかもしれませんね。2点差があって相手が中央を固めてきた際には、大久保、黒部、ハーフナーにクロスをあげることによってゴールのチャンスが生まれてはいましたが、90分間できる戦い方ではないですからね。

この敗戦によって福岡の司令官が苦境に立たされた事は言うまでもありません。これからどのようにチームが向いていくのでしょうか。

 

サガン鳥栖 VS 水戸ホーリーホック (ベアスタ)

2008-10 サガン鳥栖 VS 水戸ホーリーホック

晴天に恵まれ、風薫る五月というにはあまりにも暑い中で行われた水戸戦。鳥栖としては前節に仙台に0-3と完敗を喫しているだけに、どうしても勝ち点3が欲しいところ。しかしながら、水戸はその仙台に3-3と引き分けるという開幕当初に比べるとやりたいサッカーが実現しつつあるチーム。ここで敗れると後々まで響いてきそうなこの試合でしっかりと勝ち点3と得失点+3を稼いだのは最高の結果でした。

暑い中でのスタートであったので、前半は互いにスローペースでのスタートという形でしたが、どちらかというと、鳥栖の方が手詰まり感を起こしつつスペースをめがけて蹴る展開で、水戸は最小限の人数でありがならもつないで攻めようという形でありました。これまでの水戸には感じなかった意思を感じましたね。互いにリスクマネジメントがしっかりとしていた極端にカウンターを受けるシーンはありませんでした。

このような感じだったので、前半は、どちらも決定機をつくるにはなかなか至らない状態でありましたが、崩せる一歩手前まで持っていけたのは鳥栖の方でした。キムシンヨンがサイドでいい形でボールを受ける事ができたり(クロスはミスに終わりました)、今期初出場の鐵戸が、特にパスに置いていい動きを見せてチャンスを作っていました。鐵戸が際だったプレイはシンプルに縦に突破してクロスを上げることと、狙えるときは、バイタルエリアに構えているフォワードに直接ボールを入れること。これらのプレイをきっちりと正確に使い分けることができていたのが非常によかったと思います。厳しい状況では無理にドリブルを仕掛けることもなく、プレーの判断のよさも光っておりました。。一つだけ上げるとしたらショートパスのスピードでしょうか。その1~2秒で展開が変わることがあるので、ショートパスであってもしっかりとしたスピードで繋いで欲しいなとは思いました。

ただ、前半も途中まで来ると、気が早いのですがスコアレスドローも考えられるような互いの守備でしたが、水戸の中村の退場によって一気に状況が変わりました。それまで攻めあぐねていた鳥栖が数的有利を生かしてボールをつないで崩すことができました。開幕から、ランニングによってスペースを作りつつ、細かくボールをつないで局面的な数的優位を作り出すという自分達のサッカーをしっかりとできているからこそ、相手の退場によって数的優位に立つことが、そのまま試合においても優位に立てるのかなと思いました。

数的優位に立って一番良かったことは、高地をトップ下の位置でフリーマンで置いて、彼が自由に動ける状態を作れたことでしょう。ドリブルでも崩せますし、ワンツーというアイデアも出せる彼が、一番生きる形であったように思えます。水戸が一人退場してからは引ききっていたので、高地が低い位置にボールを受けに来た時よりも、高い位置でボールをさばく時の方が生きていたと思います。

ここで、鳥栖の得点を振り返ってみます。

義希がミドルシュートを打つ前に彼にボールを落としたのは後ろ向きでボールを受けた高地。

高地が決めたフリーキックは、ファールをもらった野崎に対してボールを落としたのは藤田。

石田のミドルシュートに対して、ポストプレイでボールを落としたのも藤田。

前節の仙台戦で筆者が課題としてあげておりました、フォワード(の位置の選手)のポストプレイやボールをしっかりとためるプレーがあったからこそ得点に繋がっております。もちろん、シュートを決めた彼らのプレーは数的優位が関係ないほどの見事なシュートだったのですが、それもフォワードの正確な落としがあったからこそのシュートチャンスであり、得点でありました。

前半にチャンスが生まれなかったのは、前を向いた藤田がラストパスを焦ってミスになっていたところや、フリーのシンヨンがダイレクトで蹴ってクロスをミスしたりと、前線の選手のパスミスも原因の一つかと思います。藤田、シンヨンというところがしっかりと攻撃の起点になることが今後も重要なポイントだと再認識させられた試合でした。

岸野監督の采配ですが、後半になって、4-1-4-1で義希をアンカーとして、トップの藤田の下にフリーマンの高地と、守備も見つつなのですがやや高い位置のポジションを置いた衛藤を中央に置き、両サイドに鐵戸と野崎を置いたのははまりましたね。中央にボールが持てる選手が集まっていたので、中央突破を試みてマークが重なったときに、サイドにできたスペースを鐵戸や野崎がうまく利用することができました。一人退場して引いている相手な割には、大きなサイドチェンジがもっともっとあってもよかったくらいにスペースを作れていましたね。

今日の岐阜戦も無失点で勝ちましたし、今後の湘南、広島、甲府といった強豪チームに対していい形で試合に臨むことができると思います。ここからが前半の正念場と言ってもいいかもしれませんね。仙台戦のような完敗を喫してしまうと逆に今年は厳しいかなという雰囲気になりそうなので是非とも勢いに乗るような勝利を願いたいです。

 

ベガルタ仙台 VS サガン鳥栖 (テレビ観戦)

2008年5月 2日 17:44

鳥栖にとってはほぼ完敗と言ってもいいくらいの内容でしょう。
これまでの相手は、サッカーの質という点においても、鳥栖を大きく上回るパフォーマンスを見せてくるチームはあまりありませんでしたが、この試合の仙台は、鳥栖が自分たちのサッカーをさせてもらえないほどに守備、攻撃ともにインパクトのあるチームでした。

鳥栖は、とにかくボールをキープすることができませんでした。フォワードが不調でキープできなかったという事もあるでしょうが、中盤やディフェンスがボールを奪ってからフォワードに対していいボールがまったく入りませんでした。

福岡戦、そして仙台戦の無得点で共通するところは相手チームのセンターバックが二人とも体躯のあるストッパータイプであったという所です。フィジカルや1VS1の技術で完全に上回れないディフェンダーを相手にするので、フォワードのキープ力が低下しがちになるのですが、その際に如何にフォワードがキープしやすいように中盤の選手が丁寧にボールを供給できるか、また、如何にフォワードがキープできないこぼれ球を拾ることができるか、このようなチーム全体の押し上げに影響するプレーがうまくいかなかったので全体的に仙台に押し込まれました。

仙台はこれまでの相手チームになかったチェックの速さというところもありました。仙台の永井、千葉というボランチがこちらの攻め手に対して果敢につぶしにかかり、チャンスの芽をことごとくつぶしておりました。鳥栖自慢のプレスを逆に相手チームが行ってきたときにどのように対処できるのかという面がまだ確立されていませんでしたね。

鳥栖のセンターバックの二人も連携があまりとれていなかったのも気になります。仙台の二列目からの飛び出しへの対処やスペースに対するケアが、自分たちが仙台の攻撃のスピードがうわまっていてついていけなかった印象があります。

それでも、前半はシュートのピンチにおいて体を張って止めていたのですが、やはりセットプレイでの失点は痛いですね。セットプレイでの失点も練習や守り方、コミュニケーションによって強化できる部分は大きくありますので、今後の糧としてほしいですね。

さて、福岡戦の後に積極的なミスと受動的なミスという表現をしましたが、今回もレオナルドが致命的な3点目を与えてしまう大きなミスを犯してしまいました。

このような受動的なミスとは非常に怖いもので、これまでチーム内でも発生していなかったちょっとの油断やモチベーションの低下というのが段々とチーム内に恒常化してきて、ミスのスパイラルに陥る事があります。

受動的なミスは心の油断が発生原因の一つであります。チーム全体としてミスを許さない雰囲気にならなければ、次の試合でも必ず発生します。福岡戦、仙台戦のこのようなミスがこれからのスパイラルの前兆とならない事を切に願います。

ミスは偶発的に起こるものではありません。必ず何かが起因して起こるべくして起こるのです。相手チームのプレッシャーに負けない強さ、油断しない緊張感、チーム全体として引締め直す時ではないでしょうか。

次節のホームでの戦いに期待します。

 

アビスパ福岡 VS ザスパ草津 (レベスタ)

2008年5月 1日 00:36

2008-09 アビスパ福岡 VS ザスパ草津

非常に辛らつな言い方をしますが、これぞまさに日本の2部リーグの11位と14位のチームが争っている戦いという感じでした。両チームの選手のみならず、審判の判定なども含めて、チケットの料金を払ってでも見に来る価値があるとはとても言えない試合でした。そのくらいの試合でありましたので、客席に空白が多いのはやむを得ないのではないかというところです。福岡の選手たちの潜在能力を考えると、この程度のサッカーの質で戦っているのは非常に残念です。

まず、全体的に感じたのは、第三の動きがまったくなかった所。ひとりひとりが何かをやろうと動きだす事はもちろんあるのですが、残念ながら、その動きに合わせて他の選手が動かない。結果、草津の選手はロングボールに終始し、福岡の選手もボールを預けるところがなくてドリブルをつぶされる。時折、ワンツーやサイドチェンジが繋がりますが、それは空いている選手を使っただけに過ぎず、そこに導く過程に工夫があったかと言えば首を横に振らざるを得ません。特に福岡は、フォワードの頭をボールが通り越していくか、もしくは足元に入っても次の攻撃に繋ぐことができないことが多くて、攻撃をじっくりと組み立てる余裕がありませんでした。それにしてもツートップがまったくかみ合っていなかったですね。

草津は、登録では鳥居塚がFWだったのですが、実際は島田がトップの位置に入っていました。草津はチーム全体として島田に任せるという意図がありますので、他のメンバーは基本的には全体が守備を意識した戦いだったのですが、そういう意図があるにしても、もっと攻撃のバリエーションを作っていかなくては今後も厳しいなとは感じました。そういう意味では、草津のセットプレイはいろいろと動きやサインプレーを駆使して魅せてくれましたけどね。どうしてもしっかり守ってセットプレイなどの少ないチャンスを決めるという形で行かざるをえないですよね。

サッカーは個々の動きが連動した結果によってチーム全体で作りあげるものですから、たとえサイドでの攻防が行われていたとしても、たとえフォワードが攻めている場面であったとしても、その逆サイドの選手もディフェンスの選手も次の動きを予測し、また、予め決められたチームオーダーの元に動くことがチーム全体の活性化でもあり、質の高いサッカー(=勝てるサッカー)に繋がっていきます。この両チームではそのようなシーンが見られることはほとんどありませんでした。ただ、目の前に空いたスペースを使ったり、目の前に空いている選手にパスを送ったりと、相手を崩すアイデアやボールを奪うアイデアが個々の力に委ねられ、互いが巧妙に繰り出すパズルの解き合いのような展開とは程遠く...。

草津の失点ですが、筆者的には、久永一人の個人技で上げた得点だからこそ、責任を負うべきは崔成勇のみだと考えます。実は、草津のボランチ(松下だったかな)が中央でボールをキープしていた時に、フリーでいた右サイドの崔成勇ではなく、左サイドに展開を行いました。その際、右サイドの崔成勇は両手を広げてなぜこちらにボールが来ないのかのような形でアピールしました。その後、ボールが松下まで戻ってきて、もう一度右サイドにいた崔成勇へ大きく展開。先ほどあれだけアピールしたので、何かやってくれるのかと期待したら、なんとトラップミスして久永に奪われる始末。更に、ドリブルで攻めあがる久永の切り返しに簡単に飛び込んでシュートを叩き込まれるという悲惨さ。こういうワンマンシーンを見せられると、この試合で頑張っている他の10人が不憫でならない気がします。。。前のダービーで一人のミスが全体に影響するシーンを2回も見ただけに、このシーンも見ていて少しだけ切なくなる瞬間でした(苦笑)

草津の得点も、島田は左足しかないとわかっていながらも、福岡のディフェンス陣(宮本、タレイ、長野)はその左足を止めることが出来ませんでした。切り替えしに2人が振られてしまってましたね。宮本はこのシーンだけを見ると残念な対応でしたが、全体の動きとしてはよかったと思います。味方が攻めあがっているときに、しっかりとしぼってセカンドボールを拾ったり、草津のカウンターの基点をつぶす働きをしていました。彼が左サイドバックで入ってクロスやドリブルなどの攻撃面では貢献できないかもしれませんが、その分、しっかりと守備で貢献できていると思います。

気になったのは、福岡は終盤になると柳楽が非常に疲れていて(怪我でもしてた?)草津のフォワードの動きに対応できていませんでした。草津が終盤にセットプレイが多くなったのは、足がついていかない柳楽が体で止めざるを得なくなったからが主な原因でしょうね。

福岡はもうちょっとエンジンをかけてチーム作りのピッチを上げていかないと、このまま何も創られる事なく終わってしまうシーズンになりそうです。ただ、同じ指揮官の下で既に1年半戦っているので、この先に伸び代があるかどうかは分かりませんが。。

 

サガン鳥栖 VS 徳島ヴォルティス (ベアスタ)

2008年4月29日 01:01

2008-08 サガン鳥栖 VS 徳島ヴォルティス

日にちも経って、明日も試合があることですし簡単に振り返ります。

全体的には、非常にいい形で試合を進めることができたと思います。相手のゴールキーパーのミスによって得たフリーキックを早々の先制点に結びつけたところはゲームプランとしては最高でした。その後もいつも通り、前からプレスをかけてパスコースを限定し、最終ラインの手前であるボランチの位置でボールを奪うことができていました。

相手のパスの出しどころを未然に防ぐことができていたので、徳島の生命線であるドゥンビアへのパスが制限され、ディフェンスラインの裏へ長いボールを出されることはあっても、ドゥンビアがボールを受けて前を向いてプレーするということは許しませんでした。

この試合はチャンスが多く作れていたので、攻撃が目立ったような感じですが、むしろ守備がしっかりしていたからこそ、ボールを高い位置で奪い、そしてスペースを突いた早い攻撃に繋げることができたのだと思います。ボールを高い位置で奪うことは攻撃に直結するので非常に大事ですね。

そんな試合の中、気になったところを何点か挙げます。

まず、徳島のプレスがそこまできつくない時であっても、無理に狙って長いボールを蹴って攻めようとしていたところ。落ち着いて回せば自然と崩す事ができるのに、一発を狙うばかりにむざむざとボールを失っているプレーがあった点があったのが残念です。

次に、ラストパスの部分でショートパスの精度がかけていた点がありました。特に、義希と衛藤は繋いでいながらのラストパス、もしくは、フォワードが作ったスペースをついてフリーで受けてからのミドルシュート。チャンスを作る過程に問題はありませんが、キックの精度に問題がありましたね。このあたりは1にも2にも練習あるのみです。

もうひとつ、フレッシュな谷口を入れたことによって、筆者的には前線のプレスを強化することが主眼であるように思えました。ところが、谷口は点差と交代した時間帯がなかなか自分の体にしみこまなかったのか、攻撃に参加した後に守備がおそろかになることがしばしば。この時間帯は追加点を狙って中盤が攻撃に馳せ参じる事はあったとしても、ボールを奪われてしまったならば、フォワードであっても中盤をカバーリングするべく素早く頭を切り替えて守備へと走らなければなりません。それが交代で入ったフレッシュなフォワードの役割でもあると思います。ビハインドの場面であれば、自分が前線に残ることが大事なのでしょうが、点差と時間帯を考えるプレーを学んでいって欲しいですね。

今回は、谷口を代表として指摘してしまいましたが、チームとして、追加点を奪いに行くところと、全体を抑えて守備に注力する所の区分けがいまいち明確でないような気がしました。逆に1点を取られてからは非常に素晴らしいクロージングをしたと思います。時間稼ぎと言うと聞こえが悪いのですが、コーナーフラッグ付近でボールを奪われずにキープをし続けたプレイは秀逸でした。だからこそ、最後の場面で慌てることなく1点差で逃げ切る事ができました。

2点差の状態であのプレーができるかと言えばなかなか難しいですが、決定的チャンスが何度も決まらなかったときに、切り替えのきっかけとして割り切る事ができればよかったですね。ま、シュートチャンスが作れていただけに難しいでしょうけどね。

最後に一つ。鳥栖の攻撃はボールを奪ってからが非常に早いと思います。ただし、奪ってから中盤を経由するところまでは早いのですが、そこからシュートまでにワンテンポかかってしまうシーンが多々...。味方のフォローがない状態でも(少ない人数であっても)攻めきるプレーができればもう一つレベルの高いチームとなるでしょうね。今は、奪って、つないで、全体がスピードアップしても、攻め切る前に相手に固められてしまうことが多いので、シュートで終わる形へともうワンテンポ早めることを考えて欲しいですね。

さて、この試合で初スタメンであったパクは潜在能力は十分に魅せてくれたと思います。ヘディングでのクリアなど、センターバックとして大事な高さという部分も見せてくれました。後は味方とのコンビネーションですね。本人も語っていましたが、味方とぶつかるのだけは注意しないとですね(笑)

さて、明日は仙台戦ですが、この仙台を筆頭に、攻撃力のある水戸とFC岐阜、総合力の湘南、J2ダントツの戦闘力である広島、そして復調してきた甲府と鳥栖にとって試金石となる試合がまだまだ続きます。第1クールの後半にもいかに自分達の戦いができるかという所が今シーズンを占うといっても過言ではないでしょうね。

アビスパ福岡 VS サガン鳥栖 (レベスタ)

2008年4月22日 01:10

2008-07 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖

「好事魔多し」

サガン鳥栖サポーターにとっては身に堪える試合、アビスパ福岡サポーターにとっては溜飲の下がる試合になったのではないでしょうか。これまで、開幕前の不安から考えると、ここまで思いの他順調に勝ち点を重ねてきた鳥栖と、開幕前の期待から考えると思うようなサッカーができずなかなか勝ち点を伸ばす事ができないでいた福岡。両チームのダービーを迎えるに当たっての思いとは裏腹に、その試合の行方は実に思わぬ形で決着をつくこととなりました。

福岡は前節までのスタメンから大幅に選手を入れ替えて来ました。入れ替えてきたスタメンが前回の岐阜戦の後にエントリーした、筆者が考えるもっとも福岡が安定するスタメンというのが...。ダービーで、しかもそのメンバーによって完封負けを喫するというのが非常に皮肉でしたが(苦笑)

鳥栖は、試合開始当初から、これまでの細かいつなぎで崩すスタイルではなく、どちらかと言うと長いボールがいつもより多い状態での攻撃となっていました。というのも、その答えは簡単で、福岡が高いディフェンスラインをひいてきたので比較的裏を狙うボールが通っていたからです。地道に細かいパスで回り道をするよりも、直接ゴールに近いところでボールを受ける事ができるならば、その道を選ぼうとしてしまうもの。シンヨンのオフサイドが多かったのも、裏を一発で狙おうとする動きが多かったから故ですよね。

ただ、福岡もディフェンスラインが刷新した事によって、思っていた通り、前節よりもディフェンスラインが最終局面で強くなっていました。鳥栖も退場後に人数の不利がありながらもサイドの深いところや、ペナルティエリアまではしぶとくボールを運んでいきました。しかしながら、宮本、柳楽という守備に長けている(当たり前ですが)選手が立ちはだかるので最終的には自由な動きができずにブロックされていました。心なしか長野も思い切りのいいプレイができていたような気がします。

鳥栖のディフェンスラインも、これまでどおりに激しくプレスをしかける中盤とのギャップがないようにコンパクトにラインを保っていました。ただ、逆にこのコンパクトなラインがグリフィスや田中の動きが生きる状態を作ってしまったともいえます。グリフィスや田中はマンマークにつかれたり、ディフェンスラインを引いて守られるとスペースをつけなくなるのでなかなか彼らのプレイが生きづらいところ。特に田中は、岐阜戦では大久保、黒部などの味方にスペースをつぶされてしまって仕事ができる状態ではありませんでした。グリフィスと田中の動きを制することに難儀したのは、中盤のプレスを掻い潜られたり、ディフェンスラインからのロングボールによって裏のスペースを上手く使われたところだと思います。退場シーンも、柴小屋がグリフィスに触れていたかどうかはともかくとして、裏を完璧に取られていました。変わって入ったパクも裏に抜けるグリフィスや田中への対応に苦労していましたね。途中、加藤を下げてまでも義希を最終ラインに置いたのは、攻撃の選手を入れる意味もあったのでしょうが、スピードのある選手に対応するという意味で実に的確なベンチワークだったように思えます。

福岡にとっては試合の展開が非常に好都合になりましたね。福岡が一番怖いのは、攻めなければならない状態になったときに攻守のバランスが崩れること。攻撃に注力してしまうと、どうしても前がかりになってしまいがちでリスクマネジメントに欠けてしまい、反撃を食らうことが多くなってしまいます。もらった得点とは言え、先制点と追加点を奪えたことは、その後の時間を精神的な負荷なく守備に注力をすればよくなり、いいところでボールを奪えば、攻めあがってきた相手の裏を単純に狙うことができるので余計に田中とグリフィスが更に生きることになります。

失点についてですが、筆者的には加藤のミスはボールを奪われた事ではないと考えます。ボールを奪われたシーンももちろんやってはいけないプレーですが、そのボールを取り返そうとしてグリフィスに対して簡単に飛び込んでしまいました。これが一番よくなかった対応だと思います。もし、グリフィスが味方のパスによりあの位置でボールを受けて加藤がマークについたのであったら、彼はボールに飛び込まずに時間をかけて味方の守備陣系が整うまで粘りのディフェンスを見せるはずです。ミスでボールを失ったことによって冷静さを欠いて奪いに行こうとしたプレイが田中へのアシストにつながりました。

鳥栖の攻撃ですが、谷口の投入して3トップにしたのは、退場して人数が足りなくてもこれまでと変わらず繋ぎとロングボールの双方を織り交ぜて攻撃を組み立てていた状態から、もっとゴールに近いフォワードの位置で勝負をしようという意図に切り替えたのだと思いました。ただ、それにしては依然とつなぎにこだわる部分が多かったように思えます。攻撃の手順として、どちらが鳥栖らしいかと言えばもちろん素早いプレスから高い位置でボールを奪い、細かく繋いでオーバーラップを交える攻撃がよいというのは実に明白です。しかしながら、この試合は2点リードされて、1人少ないといういつものサッカーが出来ない事態であり、いわばギャンブルをしかけないといけないような状態になっております。そのための3トップで、ロングボールの放り込み続けるのも辞さずの構えだったのでしょうが、現場の動きがベンチの思惑とはちょっと違った部分もあったのではないかなとは思いました。

結果論でしょうが、前線にフィジカルに強い選手がいたので、もっと単純にクロスや長いボールを入れてよかったですよね。サイドで1VS1になっても、ゴール前に味方の選手がそろっていたので必ずしも目の前の選手を抜く必要ありませんでしたよね。ガンバ大阪の橋本は右サイドバックに入ったときは、タイミングのいいオーバーラップを見せてボールを受けた後に、相手を交わしきることないまま実にいいタイミングでクロスを上げています。相手を抜くことはクロスを上げる状態を作る手段の一つであって、必ずしも目的ではありません。キムシンヨンが精神的に落ち着いて試合に望める状況を作りだしたいですよね。

とにかくこの試合の鳥栖の選手はミスが多かったと思います。大小様々なミスがありましたのでこの試合で勝てなかったのは当然の結果だと思います。ただ、選手たちが口々にしていた「ミスが原因であり、技術面や戦術面での問題ではないので次の試合に影響ない」という考えはちょっと危険かなと。今回のミスは草津戦では表立っては目立たなかった積極的なミス(シュートミス、パスミス、連携ミス)から受動的なミス(キャッチミス、トラップミス、キックミス)とミスの種類が変わっております。これらの受動的なミスは積極的なミスに比べて精神面に依る所が大きいです。ミスが原因だから次はこのような試合にはならないという事ではなく、このミスが蔓延する状態になった原因や精神状態、試合への入り方をしっかりと分析して、技術面でも心理面でも不安のないようにしっかりと次の試合に備えて欲しいです。

福岡も、同様にこの試合の事は忘れて、今日のスタメンで更にバランスよく守備と攻撃の時間帯を自らのイニシアチブによって作り上げることが重要ですね。グリフィスと田中が生きるためには大久保はどのような動きをしたらいいのか。タレイのよさを引き出すために久藤、久永、中村、宮本はどの位置で構えたらいいのか。福岡は攻撃のポイントであるグリフィス、田中、タレイを生かす形で全体を構築すれば自ずと守備も安定すると思います。彼らは個々の能力が非常に高いので、局面において人数をかける部分を間違えなったら、必要最低限の約束毎さえ守ることができれば、戦術に依らなくても攻撃も守備も十分に戦える事ができると思います。

最後、筆者の感想ですが、博多の森のピッチがいつもよりも芝が短く、そしていつもよりもボールが弾んでいたように思えます。赤星は福岡大学ですので博多の森でも何度となく試合をした事があるはず。彼の想定でのボールの動きと少し違うところがあったのではないでしょうか。プレー、環境、共に慣れが生んだ悲劇とも言えるかもしれません。ただ、2点目を取られた後、特に後半に何回もあった赤星のファインセーブはこの試合を最後まで分からないと思わせた要因でもあったと思います。

今年最初の九州ダービーはおよそ、予想もつかぬ展開となってしまいました。次回の対戦までには互いにチーム状態をあげていき、技術と精神の充実した戦いであって欲しいですね。

サガン鳥栖 VS ザスパ草津 (ベアスタ)

2008年4月15日 11:04

2008-06 サガン鳥栖 VS ザスパ草津

サッカーとは、ボールをどれだけ支配したか、シュートを何本放ったか、パスが何本つながったか、これらの要素は試合が終わってしまえば勝敗には全く関係ありません。結果を決めるのはどれだけゴールを奪う事ができたか、というたったひとつの事象に尽きます。サッカーには判定勝ちというルールはないのですが、この試合だけは判定による勝ち点が欲しいくらい鳥栖が試合を支配したゲームでした。

全体的な出来具合としては、最後の最後までハードワークを続けた選手たちを讃えたいと思います。組織と個人技のバランスがとれたいい戦いをしているチームであるというのをすごく感じました。現在のサガン鳥栖を支えているのは言うまでもなくボランチの二人ですが、ボールの奪い方が実にいいですね。鳥栖は前線とハーフのプレスがパスコースを限定する形で相手を追えていますので、衛藤と義希がボールを奪える場所にショートパスを出させるような動きができています。衛藤や義希が相手がパスを出す前に、ここぞとばかりに受け手の方に「すっ」とよって行き、そこにパスがでる瞬間は非常に痛快ですね。また、中盤でボールを持った瞬間にその選手を囲い込むスピードも速く、いまは実に中盤の守備が充実していますね。

鳥栖の今の味方を追い越す動き、味方をフォローする動き、選手たちが全体で小気味よく走る姿は見ていて非常に熱くなりますね。

さて、それはさておき個人評。

キムシンヨンですが、味方を生かそうという動き、チームとして点を取ろうとする動きが得点が取れない焦りからか、昨年よりも影をひそめています。シュートを打つことは決して悪いことではありません。長い距離でも短い距離でもシュートを打たなければ点が入らないからです。しかし確率的に考えてシュートを打つことが最適の選択であったかというと、決してそうではない場面が多かった気がします。雨が降っていてピッチがスリッピーであったならばあの選択もまだ悪くはないと思いますがね。点を取りたいという事で頭が熱くなっている状態、点を取りたいという意識が過剰にあるからこそ、スルーパスを受けて1VS1になった時に冷静に決める事ができないのかなと思います。彼の持ち味は中央でもサイドでもキープできる身体能力と一瞬のスピード、そして強力なシュート力。彼の持てる力をチームのためにフルに発揮したら、必ずシュートチャンスは彼の目の前に転がってくるはずです。このままの状態が続くようでは、個人能力としては断然上であるにも関わらず、チーム戦術上という形で谷口にスタメンを奪われる可能性がなきにしもあらずだと思いました。

藤田は交代直後に点を決めました。彼のポストプレイとシュートに至るまでのどろくささ(トラップは微妙にミスしていますしねw)は相変わらず彼らしいなと思ったのですが、コーナーキックのこぼれ球を右足でボレーシュートを放ったときは絶対に決めて欲しかった。草津に点を取られたのはその直後ですよね。藤田に限らず、先制してからもゴールのチャンスは何度もありましたが決めきれなかったですね。とりあえず復帰してゴールを決めてくれてほっとしました。今年も活躍を期待できる動きであったと思います。

野崎がチームの中でいまひとつ輝いていないように見えたのは、判断力の問題だと思います。中に選手がそろっているのに(ゴール前に鳥栖の選手が4人もいるのに!)目の前の選手をドリブルでかわす必要があるのでしょうか。(しかもドリブルはミス)上背のある選手が前線にいますので、中が見えたら簡単にクロスを上げてシュートにつなげるのも立派なチャンスメイクだと思います。また、逆に中に選手がそろっていないのにクロスを上げる場面があって、そこはドリブルで交わせばシュートチャンスが来るというところで勝負できず。彼はいいプレイをしていますがプレイの判断力が弱い。そこは監督、コーチが野崎に対して求めているプレイを伝え、そして試合に出続けてプレイの選択を肌で感じるしかないでしょうね。

先ほどの野崎のクロスの話ではないですが、草津の1点はロングボールをフォワード2人のスピードに託した結果でのゴールです。この日の草津の攻撃はショートパスをつなぐことに非常に窮々としていて、チャンスを作るにはもはやロングボールしか残っていませんでした。しかしながら、鳥栖はそのロングボールに対する処理を誤り、この試合でディフェンス陣が犯したたったひとつのミスが同点ゴールにつながってしまいました。

この試合でディフェンス陣を攻めるのは非常に刻です。なぜならば、攻撃陣はディフェンス陣が犯した何倍ものミスを犯しているからです。シュートミスは利益になりませんが、目に見える損益にもなりません。ディフェンスの選手のミスは必ず損益につながります。だからディフェンス陣のミスの方が目立つのですが、前線の選手は自らのシュートミスがこの試合を引き分けた理由だということを受け止め、そして次の試合での活躍を期待したいですね。

また、監督が自らおっしゃっていたように、いい形で試合を進めていた段階で、疲れていたレオナルドに変えてそのポジションにそのまま清水を入れるのではなく、島嵜を入れて守り方を変えてきたあたりも策に走ったかなという感はありますね。でも、あのロングボールの処理を誤らなかったら、試合をしっかりと締めていたはずですので、監督采配について言及するのは結果論と言えば結果論のような気もします。

鳥栖の歴史としてはこれまで劣勢に立つ試合の方が多かったです。そんな中でも時おり見せる上位に勝っていく様からジャイアントキラーのありがたい名前を頂戴することもありました。サッカーは強い方が、支配した方が、個人技がある方が絶対に勝てるというわけではありません。熊本戦、そして草津戦と勝てなかったのはとても悔しいですが、長いシーズンの中では「この内容でどうして勝てたんだろうか」というような試合ももちろん出てきますからね。この試合が今後の戦いの糧となってくれれば勝ち点2がなくなったのも惜しくないですよね。

ひとつだけ気になるのは開幕から3試合無失点だったのですが、ここに来て形はどうあれ3試合連続で失点を喫しております。失点の悪い癖を止めるべく、ディフェンス陣には再び気合いを入れてもらって、ダービーでは再び博多の森のアウェー側に勝利の雄叫びを響かせたいですね。

 

このページのTOPへ▲