サガン鳥栖 VS コンサドーレ札幌 (ベアスタ)

2009年3月17日 15:09

2009-04 サガン鳥栖 1 - 2 コンサドーレ札幌

札幌を迎えてのホーム開幕戦。後半終了間際に双方点を取り合った結果、1-2と敗れてしまいました。筆者としては開幕3連戦は3引き分けでよいと考えていたのですが、願いとは裏腹にあえなく2連敗という結果でスタートとなってしまいました。ただ、札幌戦はC大阪戦とはかけ離れたパフォーマンスのよさでしたね。しかしながら勝ち点が0であった事もまた事実。仙台戦はアウェーであるのですが、勝ち点が欲しい大事な1戦となります。無失点で終えることこそが最低でも勝ち点1となり、また、今後の戦いにつながるのでまずはそこを目指してほしいですね。

この試合ではボランチに島嵜の変わりに高地を入れてきました。義希と二人で組んだのですが、彼ら二人がアンカーとして良いバランスを保っていましたね。特に義希は相手の攻撃の基点をつぶす役割として、攻守の切り替え時に相手フォワードにファーストプレスをかける役割をこなしていました。キリノに入ってくるボールをよく対処して攻撃の芽を幾度もつぶしていましたね。ボランチがつぶしにいくことによって最終ラインが他の選手たちへの対応に余裕ができ、中央を突破されることによるピンチを迎える事は皆無でした。まあ、人数は11人ずつしかいないので、中央や片方のサイドに手間をかければ逆サイドが空いてしまうのはしかたのない話でありまして、札幌の長いサイドチェンジで何度か藤田のオーバーラップを使われていました。ただ、磯崎が粘り強い動きで対処していましたし、クロスをあげられてもマークをおこたらずフリーにせずに何とか我慢しておりました。

また、再三再四フリーキックやコーナーキックのピンチがあったのですが、後半終了間際まで跳ね返していた要因としては、山田の頑張りがありました。ビデオを撮っている方は確認したら分かるのですが、セットプレイのピンチを跳ね返していたのはほとんど山田でした。彼の経験からくるポジショニングと体躯の強さが非常に効いておりました。昨年までだったら早々にセットプレイから失点をしていたかもしれません。

結果的には、札幌がC大阪のように個人技を駆使したドリブルでがつがつ来るのではなく、長短のパスをつないでポゼションで押し込んでくるサッカーであったのも、守備側としてボールの動きだけに集中すればいいので何とか対処できたのではと思います。ドリブルなどの個人技で交わされると守備陣形を立て直さなければいけないのですが、まだまだ組織として整っていないのでどうしても守備にひずみがうまれます。C大阪戦とはそこの辺りが違いましたね。守備陣形を整える間を与えてくれると言ったら聞こえが悪いのですが、鳥栖としては対処可能な範囲で会った事は否めないと思います。対人に強い内間がミスなく対応できたのもそのあたりかと思います(笑)

ただ、攻撃時にボランチを起点つぶしで残しておくせいで2列目からの飛び出しという攻撃の飛び道具がほとんどなくなってしまいました。ボランチが低い位置でしたので、その位置から前へ出るためにはボールポゼションかフォワードの的確なポストプレイが必要なのですが、じっくりとボールを回す技術がありませんので、ボールを蹴る事が多くなってしまい、動きとしては停滞してしまいましたね。義希はともかくとして、高地はもっともっと前にでていかないと彼の良さが生きてこないですよね。チームオーダーだったかもしれませんが、攻撃面で映える場面が少なかったです。

攻撃面はまだまだ個人能力に頼っている部分が多かったと思います。右サイドを柳沢と山田の二人で崩した良い場面があったのですが、それは彼ら二人の経験がなしたもの。もちろん、その経験と技術が攻撃の糧となること自体はまったく大歓迎なのですが、チームとしての崩し方はまだまだこれから築いていかなければなりません。特に、スペースを作るためにフォワードの前後の動きでディフェンスラインを操作する動きがまったくできていなかったと思います。

また、カウンター攻撃の際のポジションの取り方、ボールの動かし方がまだ洗練されていませんでしたね。もちろん、相手のポジショニングにもよるのですが、相手のセットプレイのチャンスでは前線に残る選手は決まっています。それらの選手たちがワイドに行くのか、相手の裏へ走り抜けるのか、無理にスピードを上げずに慌ててボールを失うことなく押し上げを待つのか。チームオーダーがはっきりとしてなかった印象がありました。カウンターのチャンスがチャンスになっていなかったのが残念でしたね。(ちなみに草津はそのあたりは洗練されていましたよ。福岡があたふたしておりました。)

ただ、後半になって両チームの運動量が低下し、中盤にスペースが空いた状況になると、鳥栖もフリーで前を向いてボールを持てる機会が多くなってきました。そこで人数的有利な場面でもゴールを決めきれなかった事が最後まで響きましたね。先制点を取れるチャンスは僅かながらも確実にあったのですが、実を結びませんでした。

さて、開幕戦も含め、この2試合の岸野監督の采配の"当たらなさ"が気になります。今日の磯崎は出色の出来と言ってもいいくらいの活躍を見せておりました。札幌の鮮やかなサイドチェンジにより、何度も藤田とのマッチアップを向かえておりました。1度は交わされはしたものの、その他は粘り強くクロスをあげさせずに対応しておりました。谷田に代わってから、早速サイドから中央への侵入を許してやや低めの位置からのクロスを砂川に決められました。相手との間合いの取り方が磯崎の方が谷田よりもよかったのでしょう。交替は当初からのゲームプランなのかもしれませんが、いじらなくてもよいポジションをいじってしまいましたね。結果論なのかもしれませんが、采配はすべて結果が重要視されますから。

当然ですが、ゴールというのはシュートのチャンスを迎えた際にいかにゴールの中に決めるのが大事でありまして、同じような位置からのクロスに対して、飯尾は磯崎のクロスをはずしましたし、砂川は藤田のクロスをものの見事にボレーシュートで決めました。決定力という能力の大事さを感じたシーンでしたね。勝負のあやとはこんなもんなのですよね。

ゲームプランとしても、最後も勝ちに行った結果とは言い難い結末でしたし、引き分けの勝ち点1が大事な試合だっただけに、後半終了間際での同点劇を守りきれなかったのは残念です。開幕前にも言っていたのですが、今年は勝ち点0を1に、勝ち点1を3にあげていく事が大事でしたが、勝ち点0を1にできなかった上に、札幌に3を与えてしまいました。この勝ち点の積み重ねが終盤に大きな影響を与えるのです。昨年と同じ過ちを繰り返してしまったことは大反省すべきではないでしょうか。

では、個人的な寸評を。

トジンはこの段階ではまあこんなものでしょう。目についたのはヘディングの落下地点の読みのよさや、ドリブルやパスの動きが前方へ向いていた事という所でしょうか。足元の技術もそこそこありまして、彼にボールを預けることによってコーナーキックを得たのが3回、ゴール前のフリーキックも2回ありました。突破を試みるという面はチャンスを広げることに関してもいいところだと思います。後半は審判にファールを取ってもらえないことがありましたので、やや動きが悪くなったところもありましたが、早いカウンターの場面では持ち過ぎることなくいいパスも送ってましたね。不満な点としては、簡単にはたいてもいいポストプレイでやや持ちすぎていた面があったところと、ゴールエリア内での動きが少ないところ。特にゴールエリア内においては、もっともっとストライカーらしい動きを要求したいところ。クロスへの読みやゴール前でのポジショニングが向上すれば相手にとって得点の危険性を感じるプレーヤーになるでしょうが、この試合では得点感覚というのは発揮されていませんでした。

柳沢は非常にいい動きをしておりましたね。これまでの鳥栖にいそうでなかなかいなかったガツガツディフェンスというのを久しぶりに見たような気がします。個人的には北内を彷彿とさせてくれて心躍りました(笑)また、チームの精神面にも大きな影響を与えておりました。後半に島田のフリーキックが大きくゴールをはずしたときに、チーム全体に切り替えを促すべく大きなジェスチャーでポジションへ戻ることを誘引しておりました。チーム全体の活気という意味でも非常に良い選手だと思います。

札幌ですが、仙台戦よりも攻撃に緩急が少なくてやや単調になっていたような気がします。石崎さんらしく高い位置からのプレッシャーと素早い攻守の切り替え、そして長短の早いパスでゴールに迫るサッカーというところは垣間見えましたが、チーム全体のポテンシャルから考えるとまだまだ本領ではなかったのではないでしょうか。それでも、ミドルシュートやサイドチェンジを織り交ぜてゾーンを広く使ってくる辺りは流石でしたね。その中核をになうべき上里のパフォーマンスがあがっていたのは他チームにとっては脅威となるでしょう。大きな怪我をしてからなかなか活躍の場面がなかったのですが、今年は主将もまかされておりますし、高いモチベーションでシーズンに臨んでいるのではないでしょうか。彼の長くて正確なパスと攻撃のアクセントの変化が札幌のキーとなるでしょうね。

さて、仙台戦ですが、早速ですが、エリゼウは非常に素晴らしいディフェンダーです。彼のマンパワーが大きな守備の原動力となっており、もしかしたら札幌戦よりもチャンスが少ないかもしれません。だからこそ、守備陣は集中を途切れさせることなく最後まで無失点で守り切ってほしいところですね。

サガン鳥栖 VS HONDA FC (トレーニングマッチ)

2009年3月 2日 12:22

2009-03 サガン鳥栖 5 - 3 HONDA FC

開幕を1週間前に控えたこの日、ベストアメニティスタジアムにおいてHONDA FCとのトレーニングマッチが行われました。これまで行われてきた練習試合や北九州市長杯ではなかなか結果をだせなかったのですが、さすがにそろそろ結果にこだわらないといけない時期です。筆者としては今年初めての観戦ですので、期待と不安を入り混じらせながら試合を観戦に行ってきました。

まずは、得点経過をベースに話を進めます。フォーメーションや時間ごとの出場選手(スタメン・交代選手)などは記載しないでおきます。3本目が終わるまでには、現在試合に出ることができる(怪我をしていない)すべての選手が出場していたように思えます。

まずは1本目。
先制点は15分頃、鳥栖が上げました。

自陣深くで日高がボールを奪って、そのまま右サイドライン際に開いていた廣瀬にボールを送ります。廣瀬が前を向くと同じくらいに山田が素晴らしい上がりでディフェンスラインの裏へ走りこみます。右サイドからは義希が廣瀬を追い越す動きを見せます。この両者の動きがそれまでよく守っていたHONDAディフェンスのプレスのぶれを生み出します。

廣瀬は、中央にいた山田に直接スルーパスを送り込むかと思ったら、ファーサイドに走りこんでいた池田に長いボールを送ります。池田はうまくボールをキープしてフォローに来た島田にバックパス。そして島田が左サイドから素晴らしいクロスボールをそのままゴール前に走りこんでいた山田に送り、ヘッドでゴールを決めました。

この試合では5点が生まれましたが、流れの中で組織らしい全員で奪った得点はこの1点だけでした。ただ、この1点は非常にいい攻撃だったと思います。ボールを奪ってからのスピードも速かったですし、ピットをワイドに大きく使えていたからこそ、相手のマークをずらすことに成功したと思います。

そして5分も経たずにHONDAが同点に追いつきます。

試合序盤から、攻撃時に鳥栖の右サイド(HONDAの左サイド)にスペースをつくりがちだったのですが、HONDAの選手も当初は左サイドをつこうという選手がいなくて事なきを得てました。初めて、左サイドを20番が上がって行った時、右サイドから大きな展開を左に直接出さずに、一旦中央に戻しました。すると、鳥栖の選手がそのまま中央に向けて集まってきたのですが、その隙を狙って左サイドへボールを流しました。義希のスライディングも届かずに一番遠い位置にいたHONDAの20番がボールを受けて、狭い角度からニアにゴールを決めました。

この段階でチームの中で一番動きが悪く、一番体が重そうなのは島嵜であったように思えます。(正確に言えば、絶好調時点からの乖離が大きい選手)相手に押し込まれたときにディフェンスラインに吸収してしまってボールの出どころのケアにいけていない点、ボールを奪ってからの動き出しが遅くてつなぎのボールを受けても相手プレスを受けてしまうポイントとなっている点、サイドのスペースに対するケアができていない点、大きく上げると3つですかね。体が重いからか、常に相手の動きに対してのリアクションがワンテンポ遅れているんですよね。レイトチャージ気味で入っていたこともありましたし、相手を正面から対峙してからの守備ではなく、相手の背中を追いかける後手後手の守備となっていました。早くいい状態に戻ってくれればいいのですが。

さて、そのまた10分後くらい、鳥栖が勝ち越し点を上げます。

池田が左サイドでしかけようとしてファールをもらいます。このフリーキックを島田がファーサイドにいた飯尾へいいボールを蹴りましてヘッドで決めました。その前のコーナーキックでも同じようなボールを飯尾に送り込んでいましたが、同じような形を作らせてしまったHONDA守備陣は反省が必要でしょうね。

すると、そのまた5分後くらいにHONDAが同点に追いつきます。

この失点は...一番反省すべき失点ではないでしょうか。1失点目と同じような形で左サイドにスペースを作ってしまって、先ほど得点を決められた20番にボールが渡ります。清水が慌ててプレスに行きますが間に合わず。中央にパスを送られて、センターバック二人もプレスが遅れてミドルシュートを決められてしまいました。

そして、また5分後くらいに鳥栖が勝ち越し点。

相手のスローインからだったと思うのですが、廣瀬がペナルティエリア付近でつっかけて奪い、そのまま中央へドリブルで入り込んで左足で決めました。ドリブルは3人ほど交わしていたと思います。

2本目は両チームともに得点が入りませんでした。

次にエキストラ。エキストラではHONDAの選手たちの質も鳥栖の選手達と相当に落ちております。

鳥栖の4点目は市原でした。

市原は相手ゴールライン間際でコーナーを狙って相手に当てるもののでなくて相手ボールに。相手がまごつく間を狙って再び市原がプレスでボールを奪い、そのまま切り込んで左足でシュート。キーパーの股を抜くゴールでした。

鳥栖の5点目は高地でした。

市原が中央でポストを受けてダイレクトで左サイドの谷田へ。谷田は高地へボールを送り、高地が数人を交わしてペナルティエリア外45度付近より右足でシュート。ゴールの右隅に奇麗に決まりました。

HONDAの3点目ですが、鳥栖のディフェンス二人がサイドの選手を気にしすぎてぽっかりと中央のフォワードの選手をフリーにしてしまい、中央でボールを受けた20番の選手がそのままミドルをたたき込みました。いいシュートでした。

以上が得点経過です。以下、課題点。

攻撃に関しての問題点はやはり、フィニッシャーを誰にするかという所と、そのフィニッシャーに至るまでのプロセスが全員の頭に確立されていないことでしょう。顕著だったシーンは、左サイドで島田が左サイドでボールを持って、縦に廣瀬、中に清水、池田とフォローに入り、縦の廣瀬にいいパスがでたものの、ゴール前に人がいないためにクロスもままならずという状況がありました。また、池田が引いてボールを受けようとして、廣瀬が左サイドに流れている時に、右サイドにいた山田に高地(だったかな?)が長いボールを送りヘッドで落すもののゴール前には誰もおらずという事もありました。

もちろん、フリーランニングでスペースを作るのも必要だと思うし、ボールを失わないように味方のフォローをすることも必要だと思います。ただ、そこに人をかけすぎていざ崩した時に誰がシュートを打つのかっていう状態で「誰もいない」という事になるのは本末転倒な感じです。攻撃とは、崩す事が完成なのではなく、シュートを打つ事が完成なので、やはりシュートを打つためにどうするかという意識の統一が必要だと思われます。(ゴールが決まる事は完成後の成功事例ということで。あくまで崩してシュートを打つまでのプロセス作りが重要だと思います。)

そういう意味では、動きの質はともかくとして一番フォワードらしい動きをしていたのは市原だったと思います。ターゲットになろうという意識とストライカーであるという意識を持って動いていたのは彼が一番だったと思います。それでも、HONDAディフェンス陣だからやれたというところがあるでしょうし、屈強なディフェンス相手にどこまで通用するかは未知数です。同じ未知数であるならば、トジンを使ってみたい気がしますね。トジンがフォワードらしいフォワードであれば意外と鳥栖にはまるかもしれません。かつての仙台にいたマルコスのような活躍ができればいいですね。筆者の瞼の裏には「岩本-マルコス」のホットラインが「島田-トジン」に重なって見えるのですが(笑)

1本目はままなならなかった攻撃も、2本目になると少しずつサイド攻撃の形ができてきたように感じました。(これは、義希が右サイドバック、谷田が左サイドバックに交替で入った事が大きかったと思います。)島田にサイドチェンジが展開されて、それに敏感に反応した谷田がオーバーラップで抜けだし、島田からのパスを受けて深い位置からの折り返しを清水がフリーでシュートを打ったシーンもありましたし、右サイドで清水と義希が二人で拠点を作ってクロスを廣瀬がボレーシュートというシーンもありました。(このとき、山田が中央で上手にディフェンスをひきつけております。だからこそファーの廣瀬が生きたのです)

次に、守備面ですが、上述の山田の上がり、日高(義希)の上がり、谷田の上がりをケアする方法が確立されてなくて、そのスペースが相手の攻撃のポイントとなってしまっていました。磯崎はほとんどオーバーラップしませんでしたので、そういう意味では崩されるポイントとはなっていませんでしたが、鳥栖から見た右サイドは2失点の温床となってしまいましたね。

HONDAの9番と11番が上手だったというのもあるのですが、ディフェンスラインの前のスペースが空いていると、一瞬の動きで引いてボールを受けて、遅れてついてきた内間や飯尾をあざ笑うかの如くにダイレクトで展開。そしてそのまま踵を返してゴールに向けてダッシュを行うという翻弄する動きで内間と飯尾が混乱しておりました。まあ、これはチーム全体の問題ですね。くさびのボールを出させるのも、ポストからのパスにおいてフリーの選手を作っているのも、すべてチームとしての問題でしょう。内間と飯尾は最終ラインにいるばかりにすべての問題を解決しなければならずに大変だったでしょうが(笑)

全体的に、随所にひとつかみ合えばいい形ができる場面は垣間見えましたが、いまの段階ではまだまだチームとして出来上がっていませんでした。個々人のアイデアや能力でサッカーをしている感じですね。岸野監督の手腕ならば、開幕してから公式戦を重ねていく毎に修正されるでしょうけど、チームの完成までにどのくらいの時間を要するかで今年の順位が決まりそうです。開幕試合でも最終戦でも勝ち点の重みは一緒ですからね。序盤で取り返しのつかないような状態にならないくらいは勝ち点は取っておきたいですね。

では、何人かの選手の感想を。

武岡は単発で見たら非常にいいプレイがあったと思います。体をうまく利用して抜けだしたシーンや、中盤まで戻ってボールを奪うシーンなどですね。ただ、自由に動きすぎてフォワードとしての役割がまったく果たせていない。廣瀬も中央に構えるタイプではありませんし、チームとしてのターゲットがいなくなってしまったためにボールを奪ってからの切り替えが遅い原因となっていました。チームの中での自分の役割を理解し切れていなかったのか、それとも監督からそういうフリーに動いていいという指示だったのかはわかりませんが。

池田はボールに対する反応とレスポンスが抜群。その辺りを生かしたいですね。ゴール前で生きるタイプなのかもしれません。

谷口は調整不足?疲れ?下半身が安定していなかったのですべてのプレイにおいて精度が低かったです。

渡邉は新人にしては完成度の高い選手だと思います。今後、公式戦に早い段階で出して欲しいですね。内間と競い合わせれば互いにいい刺激になると思います。

清水に対してはみなさんいろいろな先入観があるようで(笑)
本日一番スタンドがどよめいた(←笑)シュートを打たなかったシーンですが、メインスタンド側から見ていたのでシュートを打つ角度があったように見えましたが、バックスタンドから見ていたら角度がなかったのかもしれません。もちろん、チャレンジという積極的な姿勢でシュートを打ってもよかったとは思いますが、たぶん、シュートを打っても外していたでしょうw。その他の動きは彼がだいたい求められている事をこなしていたように思えましたが、2失点目のシーンだけは猛省すべきでしょうね。あの失点シーンだけは求められていた動きができなかった故の結果だと思われます。あと、不要なファールが多すぎな点も注意。

トレーニングマッチのレビューはこういったところです。


 

ラグビー トップリーグ入れ替え戦

2009年2月16日 12:42

2009-01 キューデンボルテクス 31 - 10 マツダブルーズーマーズ
2009-02 福岡サニックスブルース 38 - 22 豊田自動織機

観戦記Blogと銘打ってエントリーを続けておりましたこのBlogですが、試合を見に行くことができないのでほぼドムドーラ化しておりました(笑)今年初めてのスポーツ観戦は何とラグビーです。

本来ならば、この日は島原のがまだすリーグに行きたかったのですが、家庭の事情で遠方へ出かける事がままならない状況ですので、近場での試合を探していたら、偶然、博多の森でラグビーのトップリーグとの入れ替え戦が行われるというのを発見しました。

ラグビーそのものはかなり好きで、テレビでは結構見たりするのですが、これまで一度も生で観戦した事がなく、しかも入れ替え戦ということは熱い戦いが繰り広げられるのではないかという思いもありまして、初めてのラグビー観戦にでかけました。

結論としましては...

かなりおもしろかったです!

熱さという意味では、サッカーの入れ替え戦程ではなかったのですが、インゴール前の攻防やら、バックスが展開している際の攻防やら、随所にサッカー以上のチームプレイの重要さを垣間見る事ができました。

特に、守備の面においては、サッカーでは、守備側が一人がアタックに行って、攻撃側が交わす時にボールが離れた瞬間を狙うために、もう一人が後ろに構えておくという守備でボールを奪えるのですが、ラグビーは手でボールを持ってますから、ドリブル(?)で手元からボールが離れる事がありません。ですので、守備側は横のスペースを空けず、ディフェンスの選手達が横の距離感を保って、突破されるほころびを可能な限り埋めつつ、相手との間合いを計るという動きが印象に残りました。サッカー以上に組織での動きが多大な影響を及ぼすんですね。

まずは、九州電力とマツダの戦いですが、前評判を覆すかの如く、素晴らしい粘りを見せるマツダの健闘が光った試合でした。惜しむらくはキッカーが絶不調でペナルティキックをことごとくはずしていたことですね。ゴール正面、20mくらいのペナルティキックをはずしたりと、非常に精度を欠いておりました。前半に3~4回ほどあったペナルティキックを着実に決めて点数を重ねていえれば、リードを奪える展開だったのですけどね。後半すぎまでに5-3と粘りを見せていましたから、キッカーに関しては実に残念な不調でした。

また、両チームともにミスが多くて、大事なところでノックオンがあったりパスが誰の手にも渡らずに抜けてしまったりと、守備が優れているわけではなく、ミスで自滅しているパターンでしたね。特に九電は、スタンドオフが相手にパスを渡してしまうという致命的ミスを犯してしまいまして、そのままトライを与えてしまい、一時期同点に追いつかれてしまいました。

同点になってからは、九電が目を覚ましたのか連続トライで引き離して勝負をつけました。ラグビーのルールでいいなと思ったのは、「認定トライ」というルールがある所ですね。マツダが、ゴール前のスクラムで3回ほどスクラムを壊すという反則があった際に、レフェリーがインゴールに走って認定トライを宣言しました。反則のやり得を防ぐ意味ではいいルールだなと思いました。(たぶん、このルールに関してはいろいろと賛否両論あるでしょうね)

さて、次はサニックスと豊田織機の試合です。
こちらも挑戦者としては豊田織機の方がマツダよりは実力が上であるものの、前評判では、サニックスが勝つだろうという感じでした。ただ、ふたを空けてみたらサニックスがリードを保ってはいたものの、圧倒的に支配しているという感じではありませんでした。逆に後半は受けてたつサニックスに対して、豊田が圧倒的な攻めを見せており、あと一歩まで追いつめたけど負けてしまったという感があります。

この試合は、1試合目と違って両チームのキッカーが非常に上手かったです。どちらのキッカーも角度のないところでもしっかりとゴールを決めてきました。キックのミスがないので試合が引き締まり、点差が離れていても緊張感があっていい試合だったように思えます。

豊田織機はハーフウェーラインから、相手の22mライン付近まではナンバーエイトやバックスの選手がうまく抜け出して陣地を稼ぐのですが、ゴール前になってしまうとサニックスの守備陣に水際で止められてあと一歩崩す事ができませんでした。ゴール前のラインアウトで相手に渡してしまったり、スクラムを押してあとわずかでスクラムトライのところで崩れてしまったりと、非常にもったいないプレーがも多かったですね。しかしながら、この最後の所でトライを許さないところがトップリーグたるチームなんでしょうね。最後の守備が効いてトライを許さなかったところが実力差なんでしょう。

そして、サニックスが攻撃面で良かったのはモールやラックになってからの球出しの速さ。味方がランでつぶされても、すぐにスクラムハーフがボールをだして、そしてそれに合わせて味方のラインも形成されているので、ファールなどでプレーが切れない限り、素早い攻撃が絶え間なく続いておりました。後半早々のサニックスのトライも、豊田織機はそのプレーの速さに構える間もなくやられた感じでした。

豊田織機とサニックスの攻撃の違いはこの速さとフォワード陣の出足でしたね。豊田織機はせっかくいい形でボールを回したり、ポイントを作ったりしても、フォワードもバックスもフォローが遅いので攻撃に時間がかかったり、モールで逆にボールを奪われたりしておりました。トップリーグに上がるためにはその辺りが課題になるのではないでしょうか。

また、試合を通じて振り返ってみると、豊田は前半にもったいない失点が14点もあったんですよね。

そのうちの7点は、シンビン(10分間の一時的退出)の間に7点を奪われているんですよね。もしも、あのシンビンがなかったら...というところかもしれませんね。

もうひとつの7点は、こんなシーンがありました。ラグビーは、怪我で倒れた選手が発生したならば、インプレーの最中でもドクターが入って治療を行ってもいいんですね。前半の終了前、豊田の陣地10mラインと22mラインの間くらいに、怪我で倒れたサニックスの外国人選手がいましてドクターが入って治療を行っていました。ゲームそのものは、プレーが途切れてなかったのでサニックスの陣地側で試合を続けていたのですが、サニックスの選手がインターセプトして抜け出し、相手のフルバックと1VS1になった瞬間に、なんと、その怪我をして倒れて治療していた選手が突然立ち上がってフォローに行ったんですよ!嫌らしい待ち伏せすぎるwwwwww。もちろん、味方は1VS1だったので、その外国人選手にボールをパスして、外国人選手はそのままトライしました。そして、トライした所で再び倒れこんで治療を受けてるwwww。ルールとしては認められているのでしょうが、豊田織機としては、何ともはや腑に落ちない失点だったでしょうね。

ラグビーはアドバンテージの取り方がサッカーよりも分かりやすくて、アドバンテージを取った地点より前方へ進まないとアドバンテージが解除されません。ですので、アドバンテージがあって30秒間くらいボールをキープして攻撃をしかけていても、攻撃に失敗して相手に奪われた地点が、アドバンテージを取った地点よりも後ろであるならば、アドバンテージがあった場面に戻して、ファールから再開するんですね。あまりに長い時間がたっていたならば、アドバンテージが解除されたりはしてましたが、実に明確でわかりやすいアドバンテージでした。サッカーの場合は、審判の思いでとったりとらなかったりする事がありますからね。

ラグビーはサッカーに比べて審判に対しての抗議が少ないとは聞きます。おそらく、サッカーの場合よりもラグビーの方が反則の内容が明確だからだとは思います。サッカーは足をひっかけたり、シャツをひっぱったり、進路を妨害したりと、その程度に応じてファールをとったりとらなかったりしますが、ラグビーの場合は、ボールを持っている選手に対しては足を捕まえに行ったり、シャツを引っ張ったり、進路を妨害したりするタックルが認められていますからね(笑)(ちなみに、足を足でひっかけるのはファールみたいです。)

また、サッカーの場合は、ファールに応じて審判のジェスチャーはあまり変わりませんが、ラグビーの場合は、ひとつひとつのファールに対して審判が明確にジェスチャーをします。だから、何のファールが発生したのかが見ていて明確なんですよね。

ラグビーの試合で驚いたのは、スタジアムDJが常に試合の流れやファールの内容を解説しているんです。

「いまのプレーは○○が××をしたから反則となりました。この場合は、スクラムかペナルティキックのどちらかを選択できます」

みたいな感じでですね。観客としてもあまりラグビーに詳しくなくても、どういう事があってこの状況になったというのが分かるので非常に見やすいです。スタジアムDJがルールを熟知する事も大事ですし、何が起こったかを審判のしぐさで理解できるからこそできる事でしょうね。

ちなみに、サッカーで言うと、どこかの服部さんなんて、内間が足の裏を見せたタックルでファールを取られたのに、

「いまのはボールに行ってますけどね!なんでファールなんですかね!」

なんて言ったりしますからね(笑)サッカーはプロとしてやっている選手自身がルールを理解していないくらいのスポーツ...というわけでもないでしょうが、ファールの際にラグビーより解釈が難しいことは確かですよね。だからこそ誤審やら基準やらが問題になるのでしょう。

最後に、サポーター席について。
九電の試合では、最初は観客は多くなかったのですが、前半の20分くらいには、バックスタンドの半分が埋まるくらいの勢いで九電の応援が繰り広げられておりました。長細いバルーンを膨らませて叩いて応援するバレーボールみたいなスタイルですね。選手たちには大きく励みになったことでしょう。

しかしながら、九電の試合が終わってしまうと、そのほとんどの応援者が帰ってしまったんですよね。純粋にラグビーが好きならばサニックスの試合もそのまま見たのでしょうが、単なる会社の指示で来た方が多かったのでしょうか。このような会社の応援に依存した状況では、地域のラグビー文化というのはなかなか根付かないだろうなとは思いました。

サニックスの応援ですが、こちらは唯一、バルーンを使わないで手拍子と声の応援で非常にシンプルでよかったです。旗も大漁旗が振られていたりして、玄海の漁師をイメージさせるものでした。

残念だったのは、いろいろと応援が見たくて、メインスタンドとかバックスタンドとか前半後半で行き来していたのですが、汚い野次を飛ばしていたのは、サニックスのサポーターだけでしたね。選手たちもベンチからも、もちろん、観客も誰も審判や相手選手に対して抗議もしなければ文句も言わないのに、サニックスのサポーターだけは、スタンドから審判を罵る声や相手選手をけなす言葉がが複数人によってしょっちゅう上がっておりました。スポーツを愛する心も、ユーモアのセンスも、どちらも持ち合わせていない野次の連発が非常に残念な思いでありました。

そんなこんなではございましたが、非常に楽しいラグビー観戦でした!九州にはトップリーグ所属のチームが3つもありますし、今年は通常のトップリーグの試合なども含めて、ラグビーを見る機会も少し増やしていきたいなと思いました。

 

サガン鳥栖 VS 横浜Fマリノス (ベアスタ)

2008年12月22日 14:13

2008-29 サガン鳥栖 VS 横浜Fマリノス

サガン鳥栖の小さな冒険でもあり、大きな挑戦でもあった、天皇杯優勝という目標への道のりが終わりました。今年最後の試合で、公式戦という正面から立ち向かってくるJ1との試合ができたこと、また、その試合をホームであるベアスタでできたことは大きな収穫となったのではないでしょうか。

戦前にこちらで書いていたのですが、やはりセットプレイの守備が命取りとなってしまいました。マリノスのセットプレイに高さがあるのは誰が見ても明白であり、チームはディフェンスの内間を中澤につけるなど対策は施してきたのだと思います。しかしながら、その注意していたセットプレイで失点を喫してしまいました。これは、言い逃れようもない実力差があったに過ぎません。警戒していた内容でやられたという点では逆にあきらめがつきましたが。

中澤、栗原の高さもさることながら、狩野のキックの精度も抜群でした。J2の試合であれほどまでに綺麗な弧を描くコーナーキックを見ることはめったにありません。そして、そのボールの弧が到達する点を把握してしっかりとポジションを取る中澤と栗原もまた能力の高い選手だと思いました。浅井はいい勉強になったのではないでしょうか。

鳥栖は先制点をとるまでは、相手の基本技術の高さに翻弄されていました。J2であれば高い位置からの素早いプレスでボールを奪えないながらも、相手が勝手にミスをしてくれてマイボールになる。受動的ながらも結果的に自分たちのボールにすることは、J2相手では現在の組織守備で決して難しくはなかったのでしょうが、マリノスはそのミスさえもありませんでした。何よりも、焦らずに的確に味方へボールを送る能力が鳥栖とは格段に違いましたね。

防戦一方の鳥栖ではあったのですが、攻守というのは不思議なもので、マリノスが段々と前がかりになって、全体が押し進みすぎてしまうとDFが上がれる範囲というのは決まっているので、そこにスペースという綻びができてしまいます。鳥栖がカウンターをしかけるにおいて、藤田が引いてボールを受けることができるスペースをマリノスの両ボランチが作ってしまったことが、先制点のきっかけとなりました。相手のちょっとした間延びを利用して段々とボールポゼションができるようになり、結果として廣瀬のゴールにつなげた所は非常に素晴らしいと思います。

鳥栖の成長の部分は、防戦一方で、クリアボールがまったく味方につながらない状況であっても、相手のバランスが崩れることによって、自分達が攻撃をしかける体勢ができてしまえば、しっかりと形を作ることができるようになった所だと思います。どんなに防戦状態であったとしても、綻びが出来たときにその隙を突くことができるのは、攻撃に対する全体の意識の統一ができているからこそですよね。

幾度となくチャンスを作るきっかけはあったのですが、チャンスを作る起点となったのは言うまでもなく藤田のポストプレイでした。鳥栖が悪い時はフォワードでボールが収まらずに、味方の押し上げがままならないので、前に送りたくても選手がおらず、前に上がったと思ったら、フォワードがボールを奪われて逆にピンチを迎えるという悪循環で、結果的にじりじりと下がるしかない状態だったのです。しかしながら、前線でボールを持てる藤田のおかげで、躊躇することなく味方が相手の裏へ向けてランニングを始めることができます。それがサイド攻撃であろうが、中央突破であろうが、藤田が落としたボールを飛び出していく選手に送り込むことによって、攻撃のスピードがより生きることになります。

ただ、なぜかそのスピードが相手のゴール前になると止まってしまったことが2点目、3点目を奪うことができなかった要因ではなかろうかと思います。攻撃をしかけるスピード以上のダッシュで相手ディフェンスは戻ってきているので、トラップしてシュートを打つまでの間ができてしまうと、そこは相手に守備の機会を与えることになってしまいます。的確にプレイをしなければならない場面と的確さよりもスピードが要求される場面の判断力は今後の課題として残りましたね。

そして、その課題を解決する道はやはりキックの精度向上に他ならないわけです。相手ディフェンスをドリブルでかわしてシュートを放った高地も廣瀬も、キックの精度が高ければゴールとして決まっていたのです。せっかくフリーでいながらも、シュートを迷って相手に奪われるきっかけとなってしまった廣瀬も、清水も、日高も、レオナルドも、キック力、そしてキック精度という裏づけがあればダイレクトであろうが、トップスピードであろうがいかなる場面でもシュートを打っていたと思います。シュートというチャレンジの選択肢が多くなると当たり前ながらゴールの数も多くなります。自分達の技術の裏づけがないので、大事にしようとしてシュートのチャンスを逸してしまったわけなのです。

選手達には酷ですが、より上位のチームと対戦することによって自らの現在の能力を痛感できたと思います。そして、首脳陣は厳しいチーム相手に能力を発揮できるかできないかというところで選手の潜在能力を測る材料にもなったと思います。より高い位置へ上がっていくためには、結局はどうしても選手の個々の能力の向上が必要になるのです。組織というのは個々の現在の能力を100%発揮させるための手段であって、個々の能力以上のものをだせる魔法の言葉ではありません。鳥栖には組織での戦いというのは監督の指導力の賜物ではありますが、何年かかけて十分に備わってきたと思います。あとは、個人能力を磨く環境、もしくは個人能力の高い選手を見つけるスカウト能力、そしてそれらの費用を捻出する経営が実務的な課題ではないかと思います。

守備面ですが、鳥栖はサイドの選手のマークの受け渡しにはあまりずれは生じませんでしたが、中央突破で交わされたときの対応はできていませんでしたね。サイドなどの動きに制限がある局所において、人数をかけて守っているときはよかったのですが、ひとたび中央で1VS1を交わされてマーキングがずれると、相手の選択肢が多い中での守りは迷いが生じて、瞬時に対応するとまではできていませんでした。ただ、最後のシュートの所では体を張って自由にさせなかったのは素晴らしかったと思います。

心配していた船谷の離脱でしたが、高地、谷田は十分に船谷の穴を感じさせない動きをしていましたね。失点のパターンもセットプレイでありましたし、船谷がいてもいなくても勝敗には関係なかったかとは思います。

さて、マリノスは狩野が攻撃の核を担っていたと思います。小椋と河合が適度なちらしを見せていたのですが、攻撃のスピードが上がった瞬間は狩野が1列下がってボールを受けた時でした。狩野が下がってきたスペースに対して、坂田や兵藤が猛然と裏を付いてくるときにディフェンスラインが下がります。その隙を突いてもう一度小椋、河合がボールを受けて、田中、小宮山に対して前を向かせる形で配球をしたり、そのまま裏のスペースに向けて坂田や兵藤を生かすパスが出せると、ひとつの形として成り立っていましたね。狩野が攻撃に寄与する役割は非常に大きかったと思います。

ただ、兵藤と坂田も、攻撃のアクセントという意味ではいまひとつ機能していなくて、彼らのやや単調な動きが流れの中からの得点が生まれなかった要因かなとも思います。特に坂田は足裁きで勝負するタイプではなく、スペースを付くのが仕事でありますので、単純に裏へ出すことを続けて鳥栖のディフェンスラインを押し下げる役割としての利用でもよかったのかなと思います。

田中、小宮山にしても、思ったよりも動きが制限されてしまったのではないでしょうか、鐵戸、野崎、日高、谷田はボール奪取とまでは行きませんでしたが、ワンツーをしかけてくる相手を自由にさせずにマーキングもできていましたし、何よりもドリブル突破のコースを読んで体を入れて防いでいたのもよかったと思います。

個人的には、坂田、狩野、兵藤が入って、左右、上下で、それぞれの動ける範囲を制限してしまうよりは、田中と小宮山のサイド攻撃をフォローする役割として中盤に一人入れてよりポゼションを高め、最終的には(出てませんでしたが)クロスによって大島の高さを生かしたほうが、鳥栖相手にはより攻撃が機能したのではないかとは感じました。マリノスは鳥栖のサイドバック、サイドハーフに加えてボランチまで守備としてサイドに引っ張っておくことができれば、しめたものだったのでしょうけどね。

マリノスの守備はところどころ集中力をなくしたかのように、ボールを失っていたり、裏のスペースを空けてしまったり、プレスが緩んでしまったりとぽっかり病があったのが気がかりですね。鳥栖は決定機を逸してしまったのですが、天皇杯のベスト4では相手は許してくれないだろうと思います。優勝する上では、もうひとつ締めていくことが重要ですね。

--------

昨年70試合を観戦しておりましたが、今年は激減して29試合の観戦となってしまいました。サッカーはどのカテゴリの試合であっても現場で生で見るのが一番楽しいので、試合を見る機会が減ってしまったのは残念です。来年は目標としては1.5倍ということで、45試合を観戦目標としたいなと思っております。

今年1年間、ありがとうございました。

 

アビスパ福岡 VS 湘南ベルマーレ (レベスタ)

2008年12月 8日 20:22

2008-28 アビスパ福岡 VS 湘南ベルマーレ

前日からの寒波の影響によって、寒風吹き荒む中行われたアビスパ福岡のホーム最終戦となる対湘南ベルマーレ。

湘南ベルマーレにとっては、入れ替え戦への出場となる3位の目を僅かながらも残しているだけあって、選手、サポーターともにその意気込みは非常に高いものでした。対する福岡も、戦力外となった布部がベンチ入りするとあって、リトバルスキーよりも遙かに求心力の高い篠田監督とともにモチベーションは決して低くない状態が見てとれました。単なる消化試合にはならないだろうなというのは感じていました。

ただ、実際の試合においては、昇格を目指す湘南にとっては、これまで上位争いをしていたのが嘘であったかのように動きが悪く、有終の美を飾りたかった今シーズンの締めくくりが、逆に寒い風が心の中までしみるような形となってしまいました。

福岡としては、来年からの本稼働を見据えての試用運転であったのか、この時期に初お目見えとなった新しいビジョンもほぼ順調に動作し、試合内容とともに非常にいい状態で最終戦を終えました。今年はつらいシーズンではあったでしょうが、最後はいい形で締めくくることとなりました。

試合内容ですが、前半から全体の構成とラインの上げ下げにおいて、非常に明確に差があったように思えます。湘南としては、早めに先取点を取って楽に試合を進めたいという気持ちはあったでしょうが、ボールを前に送ることを焦りすぎて攻撃にゆとりがなく非常に前後の動きが速くなっておりました。その事が、全体の押し上げを遅らせる要因となりまして、失点をせず、堅実に試合を進めたいディフェンスライン、そしてボールを送り込んだボランチの上がりが追いついていませんでした。

そうなると、早くも前半から間延びしたように中盤にスペースを作ってしまいます。この事が攻撃面においてはセカンドボールを拾えない状態を生み、守備面においては二列目が飛び込んでくるスペースを与えるという状態を生んでおりました。

ただ、前半の当初に関しては、福岡も効率的な攻撃ができていたとは思えません。サイドで久永や中村北斗がボールと受けてもフォローが遅れたために(この場合は、サイドバックやボランチではなく、崩そうとするフォワードの動きに対してです)孤立してしまうことが多くて、高さのあるフォワードがセンターに待ち構えていても、いい形でクロスを上げる事はなかなかできませんでした。

そんな状況下、前半の30分くらいに鈴木惇がいいミドルシュートを放ちました。前述のように全体のバランスの悪い湘南でありましたので、カウンターなどの対処がうまくいかずに中盤の真ん中にはぽっかりとスペースができる状態でした。そして鈴木はそのスペースを見逃しませんでした。このシュートは枠を捉えるには至りませんでしたが、福岡の全体の動きとして、サイド一辺倒とフォワードへのロングボールでなくとも、ディフェンスラインの前でボールを受けてしまえば、低い位置からのパスやシュートで崩せるというヒントを得ることになったと思います。また、鈴木はチーム全体の遠い位置からのシュートが少ない状態であったので、非常に良い判断であったと思います。

セットプレイからの失点は致し方ないとして、湘南が致命的なシーンを迎える事になったのは後半になって顕著になりました。サイドに飛び出した選手に対して、3人がかりでボールを奪いに行っても奪えないどころか、パスコースを限定することもできずに、容易にマイナスの折り返しをバイタルエリアに送らせるようなプレイが目立ち始めます。明確にボールを奪うプロセスと、そして後ろから飛び込んでくる福岡の選手に対する対処法が確立されていない事が、その後の失点につながっていきました。

後半に奪われた得点は、決して福岡が奥深くまで攻め入っているわけでもなく、福岡の組織の攻撃として崩されたわけでもなく、ましてや人数が足りなかったわけでもありません。単純に局所的に発生する福岡の攻撃に湘南ディフェンスがついていけてませんでした。2点目の鈴木のシュートは秀逸でしたけど、長いグラウンダーのパスに対して、ボールも奪えずに鈴木も完全にフリーにしていた状態が失点を招きました。3点目の大久保のヘディングに関しても、山形へのマイナスのパスから容易にクロスをあげさせる状態を作られたことがあります。大久保のマークについていた選手が、受け渡しされていたのでしょうがセンターバックではなく菊池であったというのも対人プレイで負ける原因となりました。

湘南の攻撃も、アジエルを経由している時はよかったのですが、後半が進むにつれて、アジエルの頭を超えるボールが多くなって来ておりましたので、なかなか深く攻め入ることができませんでした。左サイドの鈴木も低い位置からながら鋭いボールを放りこんでいましたが、福岡センターバックの体を張った守備と、そして福岡の全体のコンパクトさがセカンドボールの奪取を生み出しており、湘南の波状攻撃につながるまでには至りませんでした。

結果的には、湘南はもっと落ち着いて試合に入ってゆっくりボールを回す余裕が欲しかったですね。前へと急ごうとする余りに全体のバランスを崩しているような気がしました。前半の決定的なチャンスは鈴木が左サイドの深い位置からクロスを原に送った場面くらいでした。逆にこのようなシーンが他に生まれなかったのでチャンスがなかったのかなとは思います。福岡のプレスが鋭くとも、湘南の選手の足元の技だったらバックパスを交えてもゆったりとボールを回して隙を探る事は可能だったと思います。そして隙を探りながら出来た綻びをついて、アジエルにいい形でボールを渡せば坂本の得点につながったような決定的なパスを他にも送ることもできたような気がします。

シーズンを終え、鳥栖もなのですが、湘南もまたいいところまで行きながら昇格を実現するには至りませんでした。来年にどのような課題解決法を持って昇格を実現させようとするのかが見ものですね。

最後に。

今シーズンもまた、チームに残る社長の挨拶の時には留まることを知らないブーイングの嵐が発生し、チームを去っていく布部に対しては惜しみない拍手が送られておりました。危惧すべきなのは、ゴール裏(実際にはSAですが)のサポーターが主導してブーイングを行っても、一般の観客は拍手を送るようなセレモニー(社長の挨拶)であるはずが、一般のお客さまもどこか社長に対する責任を問いかけているような雰囲気になっていることです。

社長が挨拶をしているときに「社長が戦力外」などのダンマクが数多くだされました。やめろコールもありましたし、基本的には挨拶の間中はブーイングでした。果たして、このようなシーンを見て、どこの企業がスポンサーとして名乗りをあげようとするでしょうか。私が経営者であったら、福岡のスポンサーになること自体がイメージダウンのような気がしてなりません。

そして、布部の万感の思いに浸った挨拶はどれだけフロントの人間の心に響いたのでしょうか。戦力外という形でチームを追われる事になったにも関わらず、最後の挨拶でここまで無念の感情を表す選手をサポーターが支持するのは当然のことではないでしょうか。福岡というチームを愛する人間が毎年去っていく度に、このチームの将来が少しずつはがされているのを感じます。

しかしながら、福岡は来期は篠田という生え抜きの監督が指揮を揮い、久藤というベテランがチームを統率します。福岡に残された希望は彼らしかいないわけでありまして、篠田、久藤をないがしろにするような動きを見せれば間違いなくチームは崩壊の一途をたどるでしょう。

 

サガン鳥栖 VS ベガルタ仙台 (ベアスタ)

2008年12月 3日 11:51

2008-27 サガン鳥栖 VS ベガルタ仙台

前回のエントリーが2008年9月29日であるので、サッカーの生観戦は実に2か月ぶりということになる。その間、天皇杯での快進撃や徳島戦敗退による昇格の絶望などを経てきたのだが、なんとか最終戦だけは生で観戦できてよかった。この場を借りて、最終戦が見られるように仕事を頑張ってくれた同期の彼に感謝したい。

さて、試合であるが、仙台にとっては勝てば3位以内を確保できるという事もあったのか、全体的にやや硬い感じでの立ち上がりとなった。さらに彼らを硬くさせた要因になったのが、永井の負傷退場という不運。いろいろなアイデアを持っている手倉森監督を持ってしても、想定していた戦い方が試合早々にできなくなった事が最後まで響いてしまったのではないか。

鳥栖が全体的に攻撃が機能したのは、「無駄走り」が奏功したと言えるであろう。鳥栖も仙台も攻撃の態勢にはいると、サイドバックが果敢に上がってくるが、それによって生じる裏のスペースを付いていきたいのは双方ともに同じ事。筆者は互いにサイドをどのようにして使っていくか、そして相手に使わせないでいるか、という事にフォーカスして試合を見ていた。

そういう観点で見ていると、「無駄走り」という結果に辿りついた。互いにスペースが空いているサイドを使おうが使わまいが(サイドにボールが運ばれようが、運ばれまいが)、そこに選手がオーバーラップで入ってくるだけで、守備側としては何らかの対応をしなければならない。選手を前線においておくということは守備側にとってはリスクにも繋がるわけだが、相手にとっては少なくとも何らかの圧力になる。

また、全力で上がって全力で戻る体力があれば、守備に対するリスクをリスクと感じさせない事も可能である。日高、野崎、高橋、彼らのこの試合の走りは相当なる運動量があったし、次から次へと前線へ飛び出してくる形、特に日高のクロスとシュートは非常に形がよく、直接点にはつながらなかったのだが、仙台の守備陣を混乱させるには十二分の活躍であった。

先制点においても、藤田が中央のスペースに入ってくる際、さらに大外では野崎が果敢にもスペースに走りこんでいた。仙台のディフェンスとしては、遠い位置ではあるものの、外のスペースに入ってくる野崎の姿が目に入っているはずである。もし、ダイアゴナルで入ってくるのが藤田一人であったならば対応の仕方も変わっていただろう。しかしながら、野崎の走りが見えただけに、対応に一瞬の躊躇が生じ、その隙を縫って船谷の素晴らしい浮き玉のパスがダイアゴナルランで入ってくる藤田の足元につながった。

藤田のハットトリックには目を見張るものがあったのだが、今回、特に素晴しかったのは、彼の3つのゴールのすべてがキーパーとの1VS1を制して、しかもサイドネットにゴールを決めたところである。シュートそのものだけではなく、トラップとそしてシュートに入る前の初動が、常に自分が動きやすい体制に持っていける形にできていた。先制点のトラップもしかり、2点目のシュート前のパスを受けた直後のドリブルもしかり、そして3点目は軽くフェイントをいれる余裕まであるボールコントロール。シュートだけではなく、ゴールに至るまでのプロセスに、彼のストライカーとしての技術力が上がってきているのを感じた。今回の3ゴールはシュートを蹴りやすい位置にボールを置いておくと、サイドネットという、ゴールの確率が高くなる位置へボールを運ぶことができる典型的な例であった。

中盤では、船谷のパスセンスとそして特に島嵜の全体のバランスを見た動きはこの試合を影に日向に支えていた。島嵜は相手の早いリスタートを読んでしっかりとマークについたり、次から次へと飛び出してくる自分と同列、もしくは後ろの選手たちを見据えてしっかりとスペースをカバーしていた。飛び出して行った彼らが全力で戻る猶予を作ってくれたのも島崎の働息によるところが大きい。また、その分、同じ位置にいる船谷が余裕をもってひとつ前の位置からゲームをコントロールすることができていた。攻撃と守備とは表裏一体であるのだが、彼らがこの表裏を十分に支えていた。

全体的に鳥栖は味方を信頼して動き出しができていた。自分が動く事によって他の人間にどのような影響をもたらすのかというのを、それぞれが把握しながらプレーをしているのを感じた。チームとして成熟してきただけに、この段階でレギュラーシーズンが終わってしまうのが非常にもったいない気がした。その分、天皇杯で思う存分J1のマリノス相手に暴れてほしい。

さて、仙台であるが、永井の負傷退場というのがあった点と、思いのほか早めに失点してしまったというところから完全にゲームプランが崩れたいたような気がする。流れの中において、筆者としては平瀬がラストパスを送るような展開になりがちだったのが少し気になった。ゲームの組み立てという意味でボールを平瀬に触らせるのは常套手段ではあろうが、平瀬や関口がラストパスを送るような形になってしまうのは、仙台としては果たしてどうだったのだろう。リャンが思いのほか目立たなかったのも気になった。

それに加えて仙台は動きに精彩がないように見えてしまったのだが、当然ながらさぼった試合をしていたわけではない。仙台のセットプレイのチャンスにおいて鳥栖がカウンターをしかける際に、まっ先に戻って守備をしていたのは関口であった。様々な場面においても決して手を抜かず、全員が勝利へと突き進んでくる姿は見えた。もちろん、この試合にかける意気込みは選手全員の中にあったはず。

しかしながら、仙台の選手たちはなぜか足が動かない。混乱している風でもなく、完膚なきまでに崩されているわけでもない。実際、攻撃のでは浅井の好セーブに阻まれたものの、何度もチャンスを作っているわけであるし、失点の際もラストパスが送られる際には、ディフェンスラインの人数はそろっている。鳥栖のパスの絶妙なタイミングはあったにしろ、藤田を3回も完全にフリーにしてシュートを打たれてしまったのは、もはや戦術やマーキングの問題のみではなく、単に動きについていけず足が動かなかったという所ではないだろうか。あんなに簡単に裏を取られまくる仙台であったなら、この時期にこの順位には絶対にいない。

仙台はホームに戻って、あの大声援を背中に背負ってのびのびといつもどおりに戦えるかという所が草津戦のポイントだと感じる。仙台はここまで勝ち点を積み上げて、現在3位の位置を得ているチームである。普通に戦えば勝てる確率の方が高い。ただ、彼らの動きが鳥栖戦と変わらなかったら、島田、高田、そして途中からでてくる後藤にやられてしまうであろう。

 

サガン鳥栖 VS 横浜FC (ベアスタ)

2008年9月29日 13:02

2008-26 サガン鳥栖 VS 横浜FC

終盤までもつれた混戦を制してJ1へ昇格をするチームは、必ずと言っていいほど劇的な勝利をあげてチームが連勝の波に乗るという出来事があります。山形戦の薄氷の勝利と、横浜FC戦の逆転勝利、これらの試合は連勝の波に乗るという意味では非常に大きなきっかけとなりえる試合だったと思います。

前半は、フォワードと中盤があまり離れすぎていてボールがまったくと言っていいほど回らず、前線にいい形でおさまっていませんでした。全体のバランスが悪くて、引いた位置でのボール回しから前へつなぐ選手がおらず、後ろの選手がパスコースを探すのに苦労していました。船谷、島嵜の二人のうちの一人でも中央からフォワードの近くまであがることができれば中継地点としての役割を果たすのですが、彼らの位置が低すぎて、また、パスコースを作ろうとする動きが弱くて停滞の原因となっておりました。内間、飯尾、野崎、豊喜はボールをどこに出したらいいのかわからず蹴ってしまっていて、傍目にはミスが多いように見えましたが、根本的には中盤の選手たちに原因があったと思います。室に戻して彼がロングキックを行うシーンも多く目につきましたね。

このようにボールのつなぎ役がいないという事を見越してか、義希がよくボランチの位置まで下がってきてボールを受けていました。ここでポジションチェンジという形で誰かが義希が空けたスペースへ入っていけばよかったのですが、結局は後ろでボールを回す人数が多くなっただけで、前への圧力へのきっかけとはなりませんでした。

こういった展開を打破したきっかけとなるという意味においても、筆者的にはこの試合の影のMVPは清水と言ってもいいのではないかと思います。ハーフが絞ってパスコースを作るという動き、そして前後に動いてボールを引き出す動きを清水がうまくやってくれたかなと思います。義希一人だけでやろうとしていたことが二人でこなせるようになって、右サイド、左サイドの双方からパスが回るようになりました。一時は勝ち越しとなる豊喜のクロスを引き出したのも右サイドの彼から正確なパスが入ってからでしたね。

ただ、もっともっと攻撃の質を上げてほしかったのは、たとえば、豊喜が右サイドでボールを持って、まっすぐ縦に清水が走りこんでその奥にボールを蹴るという縦のみのパターンでは相手もついてくるのでよほど正確なボールを送らない限りはなかなか崩しきることができません。

いい動きだと思ったのは、豊喜がボールを持つ、清水が引いてくる、藤田が中でボールを要求する、そして右サイド奥の空いたスペースに義希が走りこんでくる。このパスは繋がりはしなかったのですが、チーム全体としての崩しとして非常に有効だと思いました。ただ、願わくば空いたスペースに飛び込んでくるのは船谷であり、島嵜であってほしいのです。そうすれば、フリーで受けた彼らがクロスを上げたときに中央にフォワード2枚とファーサイドに義希が構える事になるので、崩した後のシュート、そして得点という確率が格段にあがります。

結局、崩すと言ってもフィニッシュを決める選手がいないといけないわけで、藤田や廣瀬などがサイドで形を作っても今の鳥栖には中央でフィニッシュできる選手がいないというのが現状です。クロスを上げた時に何人ゴール前に選手を配置することができるかというのが重要ですよね。だからこそ、中盤の選手だけで(フォワードはポストとして利用するくらいで)チャンスメイクを行ってほしいという気持ちはありますね。

前述のように、本来ならばもっともっとボランチが1列前に上がってきて攻撃に厚みを加えてほしいところでしたが、この日の船谷と島嵜は終始、消極的な動きだったのが残念です。特に、島嵜はパスコースを作るという単純な動きによってチームが活発になれたにも関わらず、動きも足も固まってしまっていた場面が多く見られました。自ら動いて味方を呼んで前を向いてボールを受ける体勢を作り出す事によって、味方も彼にパスを出しやすくなると思います。彼の動きが悪いために横浜FCのプレスでボールを奪われたシーンがありました。もちろん、彼が直接的原因ではないのですが、間接的な原因となる動きであったことは確かです。

バックパスというのは必ずしも安全というわけではありません。バックパスが相手が押し上げるきっかけとなってしまって攻守が入れ替わるきっかけとなったらそれは安全なバックパスではありません。前を向いて、ボールを相手の背後に送ることによって、よりこちらの押し上げに寄与したり、相手からのカウンターやプレスをふせぐきっかけとなれば、たとえボールを失っても安全に守備への時間を作る事ができます。

島嵜は鳥栖のボランチとして、その辺りのパスコースの作り方と、前後の動きの状況判断がまだまだだという事を感じました。チーム全体の動きの波に乗れていなかったですね。彼がドリブルしていて後ろからつっかけられてボールを奪われるシーンもありました。周りの声がでていなかったのか、それとも彼自身が舞い上がって聞こえなかったかはわかりませんが、少なくとも、チームに溶け込め切れていないのは感じましたね。この日の島嵜の出来としては素晴らしいキック精度を持っている彼にしては残念な思いがしました。同じ動きをしたとしても、周りの状況や得点差、時間帯によって、安全にプレイしたことにもなるし、消極的なプレイになってしまうこともあります。状況に応じた動きができるようにもっともっと成長してほしいと思います。

話は変わりますが、私は岩丸がボールを持ちすぎて間接フリーキックを相手に与えるのを現地で見るのがこれで2回目です。自分で注意すれば回避できるという過ちを繰り返す事はプロとしてはあまり褒められたものではありませんね。ただ、鳥栖としてはあの同点弾で助けられたことは確かです。

最後に、義希の決勝点はキムシンヨンの頑張りが生んだゴールだと思います。彼が個人技で右サイドから切り込んだ事で、横浜のディフェンスラインを下げる事ができました。9/1にも書いておりましたが、キムシンヨンの爆発こそが連勝への数少ない手がかりだと思っております。

この時期まで昇格争いができる幸せをかみしめ、残りの試合を見守っていきたいと思います。


 

サガン鳥栖 VS ロアッソ熊本(ベアスタ)

2008年9月25日 16:50

2008-25 サガン鳥栖 VS ロアッソ熊本

過去最大の観客動員数を集めたにも関わらず、この大一番に勝てなかったという事実は非常に重くのしかかります。ただ、シーズンは終わったわけではないので、最終的にこの試合をどういう契機にするかは選手たち本人が決める事です。筆者はシーズンの最大の山場はこの試合ではなく、もっと後に現れると思っております。

ただ、1年を振り返ってみた時に実はシーズンがここで終わってしまっていたのか、それともこの悔しさをバネに這い上がってもっと大きい山場があったのかというのは、これからの試合次第ですし、その頑張りが彼らの今後の道にも影響するでしょう。

幸いにも次の節の山形戦に勝って首の皮1枚繋がりました。横浜FC戦ではホームで負けた熊本戦の借りを返したいところですよね。昔の商人は江戸の敵は長崎で討った模様ですが、鳥栖の選手たちはホームでの敗戦の借りはホームでの勝利によって返したいところです。

では、試合のポイントをいくつか。

1.藤田の後ろのスペース
藤田が前後の動きを繰り返し、ディフェンスラインとボランチの間のスペースに一瞬ひいたときに、楔のボールがはいると非常にいい攻撃をしておりました。熊本の池谷監督がしきりに河端にラインをあげるように指示していましたが、藤田の背後のスペースを使われたくないんだなとは感じておりました。鳥栖としてはそのスペースをもっともっと作ってそしてもっともっと使う事ができればと思いました。高橋なんかはいい形で絡んできたんですけどね。シュート精度がなかったのが残念。

ただ、熊本の中盤は喜名が非常に攻守に聞いておりました。ボールの散らし、ファーストチェック、常にボールに絡むプレーはさすがベテランの味でしたね。彼が試合を落ち着かせていたことが、鳥栖が絶対的に試合を握れなかった原因の一つだと思います。

2.サイド攻撃のちぐはぐさ
藤田が手前でもらいたいときに奥のスペースにボールがでたり、藤田が奥に走りこんでディフェンスの選手をひきつけてもそのスペースがつかえなかったりとなんかちぐはぐさが多かったです。また、思い通りの所にボールがでても正確性のないボールであったりもしました。サイドバックの攻撃参加も生命線であるのですが、彼らの行く先をわざわざつぶしているプレーもありましたね。攻撃時の長谷川、日高のスピードはいいものがありますので使いたいですよね。今一度、選手たちの中でも連携を再確認してほしいものです。

3.出足の遅さ
セカンドボールを拾うのが圧倒的に熊本の方が早かったですね。鳥栖はボールウォッチャーになっていて、ボールが目の前に来てから動き出す事が多かったように思えます。メンタル面だけではない何か重大な欠陥を抱えているような気がするんですよね。選手間にボールに絡む時のスペースを空ける遠慮というか、現在のシステムを壊したくないというか、そういった消極的なぎこちなさを感じました。この時期にこのちぐはぐさはあまり見たいものではないですよね。修正という部分ではないのかもしれませんが、なんとか積極的な動きの連動で解消してほしいものです。

ただ、リスクマネージメントというか、攻めている時に守りの事を考えるのは修正できる部分であります。最近は攻撃の方に人数が偏ることも見受けられるようになりました。これ自体はいい事だとは思いますが、点を取られてしまっては意味がないのでバランスを考えてプレーしてほしいですね。

とにもかくにも1試合ずつ全力で頑張ってほしいですね!

サガン鳥栖 VS ヴァンフォーレ甲府

2008年9月 8日 14:10

勝たなければいけない試合だった甲府戦、同じく勝たなければいけない試合だったダービーと同様に勝ち点1を分けあえる無念の結果と相成りました。ただ、後半も終盤にて相手に先に点を取られたにも関わらず同点に追いついたことは今後に首の皮一枚繋がるゴールだったと思います。悲観してばかりもいられないのですが、勝利できなかった事自体は後々まで響く事を感じております。

この試合で引き分けまで持ち込んだ粘りを見ると、「サガン鳥栖は昇格"できる"チームであること」を認識すると同時に、最後のチャンスで決められない姿を見て、「サガン鳥栖は昇格"する"チームではない」事も認識しました。

昇格するチームは土壇場の義希、船谷のどちらかのチャンスは絶対に決めています。大分が昇格した年も、鳥栖スタジアムにてまざまざとその実力と勢いを見せつけらました。試合展開から鳥栖が勝つと思っていたのですが、大分に同点ゴールを浴び、そして終了間際の土壇場に西山のミドルシュートを決められたあの試合です。

正直、ひとつの試合において勝ち点3を得るためには、最後の瞬間に相手よりもゴール数が上まわっていれば、それまでの試合の経過はどうでもいいのです。確かに、藤田に多くのチャンスがあって決められなかったのも痛かったのですが、先制、同点と紆余曲折を経て、最後の最後に勝てるチャンスが回ってきたのです。それは、義希のシュートでもあり、船谷のシュートでありました。それでもゴールを決められなかったことが今回の結果であり、結果として、45節42試合の集大成になる気がします。

この試合、序盤から積極的な攻撃が繰り広げられ、久しぶりに前線を追い越す動きが次々にでてきました。全体的に人もボールも流動しており、見ていて楽しめるサッカーであったと思います。これは、ボールを受けてからドリブルへ入るタイミングや周りへのルックアップがキムとレオナルドで異なるところにも起因していると思いました。キムはまずは自分がドリブルなどでチャンスメイクをしてからラストパスをサイドから供給するプレーが多く、レオナルドは最後は自分がゴールゲッターとなるべく、早めに周りの選手を使うという違いですね。どちらも攻撃の起点となるプレーヤーですが、どちらがいいかはその日の調子や相手との折り合いもあるでしょうね。今回のレオナルドはレフェリーとの相性の悪さもあってかわいそうでしたが、よく頑張っていたと思います。

義希がハーフという戦略は攻撃のスピードアップという点では非常に功を奏しました。奪ってから早い段階で左足でのクロスがあがっておりまして、残念ながら結果には報われなかったものの、「あわよくば」という形は多々作れていました。右サイドからのダイレクトプレイ(ダイレクトのクロス)も見る事ができまして、得点の気配というのは感じ取ることができました。やはり、得点を奪うには遅攻よりも速攻の方が可能性が広がる事という事を改めて感じました。

また、船谷のコーナーキックも非常に精度が高いですね。ゴールのシーンはもちろん、ゴールにならなかったシーンでも味方に合っているボールが多くて、どきどきさせてもらえるフリーキックでした。

ただ、そうやって全体的にいい流れで試合を進めていても、得点できないのはシュートミスであり、相手に奪われた先制点もやはりミスからなんです。谷口の不要な行為、内間の目測誤り、そして飯尾の連携(クリア)ミス。ここがこのチームが毎年昇格争いの大事な場面でつまづいてしまうポイントなんですよね。例年、昇格するチームはミスというのは最小限に抑えられていますし、大事な試合ではミスは犯しません。

ただ、人間なのでミスは必ず発生します。でもそのミスをどのようにして取り返せるのかというところが非常に大事なのです。飯尾は得点という大きな形でミスをとりかえしました。筆者は、谷口に取り返してほしかったのですがそれはかないませんでした。

ひとつだけポイントを。後半ロスタイムに義希が左足でシュートを放つシーンがありますが、義希が切り返そうとしたときには谷口は動きがとれていません。もし、谷口が相手のDFを引きつけるべく右サイドのスペースへの飛び出しができていれば、もしかしたら義希は谷口へのスルーパスカか、もしくは左サイドでフリーだった藤田へのパスを選択したかもしれません、義希がパスを出さないにしても、谷口が動く事によって更なるシュートコースを生んでいた可能性もあります。ツートップの動きが重なっていた事がホントもったいないです。

サッカーとは22人の動きの組み合わせによる妙があり、その中で偶発性のあるスポーツですから何が最適の手段で何が最良の結果かというのは誰にも分かりません。だからこそ結果がすべてなのであり、逆に結果論が通用するのかなとも思います。パスの方がよかった、シュートの方ががよかったというのは得点という結果が生まれなかった故に論じられる事なんですよね。

さて、最後に。この試合が終わったあとに、ゴール裏からはブーイングではなくサガン鳥栖コールが巻き起こりました。やっと、サポーター、選手、そしてチームが一丸となって戦えるフェーズが来たのかなと思いました。

サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ (ベアスタ)

2008年8月25日 20:43

2008-24 サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ

消化試合が湘南よりも1試合多い鳥栖にとっては、勝ち点差4とは言っても事実上3位を受け渡すか、それとも死守するかと言っても過言ではない重要な対戦。

両チームともに死闘をつくした戦いは、僅差であるというスコア以上に試合運びと作戦面、技術面、状況判断能力、すべてにおいて湘南に軍配があがりました。守備に関しては早い時間に先制点を奪った湘南の攻撃の威力が弱まっていたのでともかくとして、とかく攻撃に関しては見た目で感じた惜しい試合という感触以上に選手たちは力の差を感じたのではないでしょうか。

鳥栖はカウンターで失点を喫していましたが、試合開始当初からの鳥栖のコーナーキックの場面に失点の布石はありました。鳥栖のコーナーで湘南の選手が3人も攻撃用の選手として残しているにも関わらず、鳥栖も同じく3人の選手しか自陣に守備用の選手を置いていませんでした。これは、相手の選手よりも1人多く自陣に残すという定石からはずれたプレイであり、相手のカウンターに対する防御の意識の欠如としか言いようがありません。実際、得点をとりにいくためにリスクをかけなければいけない状況でもなく、相手の動きに対して適応する能力が欠けていたということでしょう。結果は事なきを得たのですが、このようなひとつひとつの場面に対する集中力が最終的には試合の結果を生んでいます。人数の残し方が、意図のあるプレイであったとすれば、前半のこの時間帯でリスクをかけた攻撃を行うという事自体が状況判断ミスだと思います。

点をとられたカウンター時にも守備に対する統一性の希薄さからか、カウンター攻撃に備えてディフェンスの人数は戻ってくるものの、人に対するマークがあまりにも分散しすぎて湘南の攻撃に屈してしまいました。ただ、この失点時の湘南のプレイに関しては相手を褒めざるをえないでしょう。右サイドから左サイドへの大きな展開のパス、そして左足でダイレクトでクロスを上げる技術と、その早いクロスをボレーで確実に決める技術。まるでテニスを見ているかのように首を右に左に振りながら見ていたらゴールが決まってしまったという早い展開でした。

対して、鳥栖の攻撃は、サイドでボールを受けた選手が1VS1で抜こうとして、完全に抜いてからクロスをあげようという動きや、ゴール前でも相手を完全に抜いてからシュートを打とう、パスでディフェンスを崩してからシュートを打とうという、つまり、いい形で持ってからボールを蹴ろうとしようとしすぎたのではないかと思います。だからこそ、せっかくクロスをあげても守備側が中をそろえる時間がありますのでセンターバックにはじき返されてしまうし、抜いてシュートを打っても、次のディフェンスの選手がシュートブロックに入ってきておりました。

では、多少無理な体勢からでも素早く正確なボールを蹴る事ができるかと言われれば、いまの鳥栖の選手ではミスキックの連続になってしまう。ゴールの枠にさえ飛ばないシュートや、直接ラインをでてしまうクロスが如実に物語っておりました。要するに、まだまだ技術として未成熟な選手が多いという事ですね。

構えている相手を崩さなければならない状態になってしまうのは、当たり前ですが相手に守備体制を整える時間を与えてしまっていることがひとつの原因でもあります。相手に守備を整える時間を与えないためには、これも当たり前ですが相手が守備を整える前にしかける事が必要です。そのひとつの方法としてのダイレクトプレーを利用するがあります。そういう観点から言うと相手の守備が整う前のダイレクトプレイは少なかったように思えます。相手のゴール裏で整った守備を崩すためにダイレクトでしかけるプレイも見えましたが、そうなってくるとそろっている相手が襲いかかってくるためにプレッシャーが半端ではなく、結果、パスミス、トラップミスにつながって決定的チャンスを作るには至りません。

また、中盤でボールをカットしてから前を向いてボールを持っても、フォローがない場合はドリブルで前進しようとする動きが見えないことが多かったですね。鳥栖のハーフ陣の清水、山城、という面々は往々にしてこのような状態に落ち入りやすいです。相手はリトリートするしかない状態ですので停滞するのはもったいないかなという場面もありました。ゴール前で相手が人数をそろえている状態でのしかけと、中盤でボールを持ち出して一人交わしたら後は独走ができるという状態でのしかけというしかけの位置の違いはあるかもしれませんが、チャンスを作るという点では低い位置でのしかけもたまにはあった方がいいのかなとは思いました。

ここで「たまには」と書いたのは、無理してしかけることによってボールを失うことの怖さがあるからです。その辺りは状況として押し込んでいるのか、押し込まれているのか、もしくは対面している相手との力関係ですね、その辺りでの判断力というのを選手に求めなければなりません。局面での1VS1で助けてくれるのは戦術でも何でもなく、あくまで個人の力なのですからね。

失う怖さという観点で言うと、バックパスで溜息をつく観客が多いのですが、バックパスはボールを奪われないための一つのプレイなのです。筆者としては、確率の低い飯尾や内間のロングフィードを見るよりは、確実に室にバックパスで返してボールを失わず、室のロングフィードで一気に前線へ放り込んだ方がまだ可能性はあるような気がします。観客の皆様にはバックパスは消極的なパスと意図のあるパスの2種類がある事をご理解していただけたらサッカーが更に面白くなるかもしれません。たとえバックパスでもボールを保持している間は相手にゴールを奪われる事はないのです。

さて、今回の試合は、相手の守備がマークに付く前、相手のラインが整う前にパスを供給するプレイができるか否かで今回の勝負は決着がついた感があります。サッカーは0.5秒の違いでゴールの有無が変わるスポーツです。0.5秒を作り出すために、90分間を走り続けなければなりません。しかしながら体力は無尽蔵にあるわけではないので、効率的な走りが要求されます。そのプレイが鳥栖はできずに湘南はできたということだと思います

では、効率的な走りというのはどういうことか。筆者は湘南のプレスと守り方にその一端を垣間見ました。

今回の試合は中盤の選手は比較的ボールを持たせてもらうことができました。それは、湘南としては中盤にプレスをかけても鳥栖のフォワードを交えた組織の攻撃でかわされてしまう可能性があり、ゆくゆくは藤田やキムをフリーにしてしまう恐れがあるので、それならば中盤を作られてもゴール前で防げばよいという考えがまずひとつあったのではないかと思います。

次に、ロングボールによって裏を取るということも鳥栖の攻撃のひとつなのですが、湘南はセンターバックがボールを持ったときには一転してするどくチェイスをかけて自由にボールを蹴らせませんでした。センターバックからのロングボールは藤田、キムと高さがあるだけに、正確なボールを蹴られてつながれると厄介でもあり、更に鳥栖のセンターバックは足元の技術がないためにつっかけることによって容易にミスを生み出してボールを得る事ができる。

この辺りの強弱のついたプレスと守り方は見事としか言いようがなく、事実、ある程度中盤やサイドにボールを持たれる事に対して目をつぶっても、ゴール前を固める事によって中盤からの玉だしやサイドからのクロスはジャーン、斉藤、田村という屈強のディフェンス陣+高さのあるボランチにことごとく跳ね返されていましたし、鳥栖のセンターバックにつっかけることによって何度となくキックミスを誘ってマイボールにしていました。

湘南は組織での戦いを挑むよりは、可能な限り個人能力での戦いに戦場をシフトさせることによって結果的に鳥栖の動きを封じたというのが全体的な感想です。

また、鳥栖は全体的に、岐阜戦もそうだったのですが、ボランチ、サイドバックがフォワードを追い越すシーンはほぼ皆無でした。特に、高地のドリブルは相手にとっても驚異なはずなのですが、いかんせん、ドリブルを開始する位置が低すぎました。とにもかくにも、この試合は攻撃に人をかけているようで肝心な肝のパターンを作り出すことが果たしてできていたかという点と、キックミスとも戦術の実行ミスともどちらともとれないプレイが多すぎていささか首をかしげたくなるシーンが多かった事は確かです。

特に、流れの中のクロスやコーナーキックなどのセットプレイはほとんどがニアでつぶされていたのですが、そのニアに入ってくる選手がいないためにチャンスがチャンスになっていませんでした。流れの中のクロスでニアサイドが多かったのは相手の守備陣が交わされてもくらいついてコースを切っていたためにそのようなボールになっていたのか、はたまた単なるキックミスなのかわかりませんが、それにしてもニアに来ると分かっていてもそこに飛び込んでこない藤田とキムのツートップには試合中に何を学習しているのかと問いたい気分でした。しかもこともあろうに、クロスが悪いと両手を広げて不満を示す始末。鳥栖の選手のクロスの精度が悪いのはいまに始まったことではありません。だからこそ、そのクロスにこの日ならではの癖があるのならば、その癖を読み切ってそのポジションへ飛び込んできてほしかったと思います。鳥栖の選手は前提としてクロスが下手なんです。だからこそ、鳥栖のフォワードは一人がニアサイド、一人がファーサイドなどと分散して待ち構えるような形で自ら打開していかなければならないのです。ニアやファーに分散してこぼれ球が中央に入って来たときにはそこに飛び込んでこないハーフの選手やボランチの選手の責任にしてもいいと思います。藤田とキムの動きはチームオーダーだったのかもしれませんが、もしそうだったら、得点がとれなかったのは首脳陣の責任ですね。

コーナーもニアばかり狙っていたのですが、あれが作戦だったのかよくわかりません。作戦だったとしても、止まっているボールや操っているボールですらまともに蹴る事ができない選手が、早いボールを正確にパスという形(もしくはいると思われるところにそらす)ことができて、さらにそのボールをゴールにシュートするという一連の流れが彼らにできるかというご甚だ疑問ですね。コーナーキックの狙いがよく分かりませんでした。

船谷は評価保留です。遠いところでも狙える繊細なパスの技術がありましたが、それだけにボールの回し方がJ1と違ってディフェンスラインの後方に蹴ってほしいと要求する放り込みJ2サッカーになじんでしまう可能性があります。また、試合序盤に比べて段々と運動量が落ちて存在感が後方になってきました。前方での仕事ができない堅実なボランチならば鳥栖には五万といます。彼の技術は高く買いますが1試合だけなので評価保留です。私はあのプレイっぷりだったら衛藤の方が鳥栖に向いている選手だと思いました。

最後に、内間の退場は彼が悪いのではありません。コーナーキックをミスキックで終えた高地と、こぼれ球の放り込みをミスキックしてしまった日高、彼らの二つのキックミスが呼び起したものです。結果的に攻撃態勢に入っているチーム全体のピンチを内間が救った事になりました。もちろん、内間も1枚カードをもらっているので対処の仕方は他にもあったかもしれませんが、あの状況では審判の心証も含めていたしかたないことだと感じます。

今年のJ2も例年のように広島以外のチームが上位にたったらたちまち勝てなくなるという循環で混戦模様になってきております。この混戦を勝ちきれる力が備わっているかどうかは今後の彼らの戦いっぷりが証明してくれるでしょう。

次節のダービー...負けたら終わりを予感させる上位、湘南との戦いでした。

 

このページのTOPへ▲